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イルカショー

 


 ――イルカショーへようこそ。



 会場に着くとイルカショーが始まった。数頭のイルカとインストラクターのショーが始まった。水の中は思ったよりも深く多くのお客さんの歓声に溢れていた。イルカたちの演技はどれも素晴らしいものだった。イルカがあんなにピンポイントでジャンプするなんて。


 私は少年のようにドキドキしていた。息子君をふと見ると目をキラキラさせながら歓声を上げていた。もちろん、彼女もとびっきりの笑顔で見ていた。その会場には笑顔しかなかった。素敵な笑顔に包まれて私たちも自然と笑顔でいれた。


 この笑顔を私だけのものにしておきたかった。叶わなかったけれど。本当は私次第でこの笑顔は手に入れることができたはずだったのだけれど。彼女は何も悪くなかった。私に覚悟がなかっただけだ。


 

 「面白かったね♪」


 「うんうん!」


 「楽しかったーーーー!」


 

 息子君も上機嫌。彼女も上機嫌。私ももちろん上機嫌だった。イルカショーが終わると須磨の海岸を歩くことにした。人もそれなりいたし散歩している人が沢山いた。風景は湘南の海に似ていた。砂浜をはだしで歩いた。はだしの砂浜は少しくすぐったくて足でも海を感じることができた。


 日が暮れるまでのんびりしていた。息子君が退屈しないように貝殻を探したり少し海の水に触れてみたり。息子君も海が大好きなようだった。このままそこやかに大きく育ってほしい。その過程を見ていたい。素直にそう思った。


 帰りに食事をして帰ることにした。今回は息子君の希望通りにすることにした。レストランでお子様ランチが食べたいらしい。おもちゃ付きの。帰り道は少し込んでいたが帰る途中にあるレストランで食事をとった。3人の海遊館デートが成功した夜だった。彼女にお酒を飲ませて素敵な空間を過ごした。


 私は運転するので飲めなかったけれど。食事の後、珍しく彼女が助手席で寝ていた。いつもはちゃんと起きてずっと話してくれている人だったのだ。よっぽど楽しくて興奮していたらしい。そのまま寝かせることにした。息子君もぐっすり寝ていたから。


 すぐに起こしたくなかったからほんの少しだけ遠回りして帰った。幸せな夢をみているなら少しでも長く見せて上げたかったからだ。神戸の夜はやけに綺麗だった。ただただ充実感に満ち溢れていた。これがやはり3人で過ごした最後の幸せな時間になった。この時に戻れるなら戻りたいと願う。




 

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