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須磨の海岸

 3人で一つの布団で寝た。文字通りの川の字だった。ただ真ん中が彼女だったけれど。これが私たちの川の字だったんだ。左から順番に短くなっていく川の字。彼女がいつだって真ん中だった。


 いつもの朝を迎える。一番に起きるのはいつも彼女だった。私は一番最後。目が覚めるとすでに彼女と息子君は起きていた。時刻は6時30分。休みの日なのにやけに早かった。そういや今日、須磨の海遊館に行く約束だったのを思い出した。車で向かうつもりだ。


 朝食を取る。昨日の買い出しで買っておいたパンを食べた。私はいつも甘いパンを食べる。息子君も。彼女は総菜パンを好んで食べた。野菜も取りたいらしい。コーヒー牛乳でそれらを流し込むと水族館に向かう準備を始めた。私自身も初めてだったし、須磨の海岸線を歩くのが楽しみだった。海が好きだったから。


 この日はよく晴れていた。天気予報でも晴れとでている。最高な一日になりそうな予感がした。息子君の着替えも終えた。あとは彼女だけだった。彼女のメイクする姿を横からさりげなく見ていた。見ないでと怒られたけど。ばれないようにすっと横目で見ていた。


 女性のメイクする姿というのはなにかそそられるものがある。見られたくはないだろうけど。綺麗な彼女を見ていたかったから。彼女がメイク中は息子君と遊んだ。息子君とは信頼関係が築けていたと思う。



 「お待たせ♪」


 「用意できた?」


 「うんうん♪はやくいこ。」



 準備ができた彼女ははやく行こうとせがんできた。少しだけいつも勝手だったけど。そんな彼女が大好きだったけど。だから今でも意思表示をはっきりする人が好きだ。そしてその人の自由にさせたいと思っている。それがその人を一番輝かせることができることを知っているからだ。


 自由になりたい。だから自由な人が好きだった。無邪気なところも天邪鬼なところもちょっと我儘なところも。全てが彼女を構成している要素の一つだから。その一つ一つがあってはじめて彼女が完成される。よく言う好きなところも苦手なところも好きになるっていうのはこういうことなんだと思った。


 車を運転して須磨の海遊館に向かう。午前中だからそんなに混んでいなかった。それに住んでる場所からかなり近く電車でも近い。そんなところに住んでいた。3人とも気分が高揚していたし朝から楽しい日になる予感でいっぱいだった。そしてこれが一番最後の楽しい思い出になった。





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