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証明

 何をもって愛情を証明できるのか。言葉なのか。体の繋がりなのか。それは人それぞれでありその時による。その時で正解は変わるだろう。どれが正解なんてことはない。私たちも手探りで証明の仕方を探っていた。正解なんてどこにも書いていないから。自分たちで探すしかなかった。


 「来てほしいって言ってほしい。」

 「そうしてくれたらすぐに行く。」

 「全て捨ててでも。」


 「……。」


 「私との未来は考えられないかな?」


 「いや……。」

 「そういう訳じゃないんだけど……。」


 「……けど?」



 彼女の問いにすぐに返答はできなかった。愛していると自負していたが覚悟を決めていなかった。覚悟があるつもりだけだった。彼女との年齢差も血の繋がりを持たない子の父親になることも。周りの理解が乏しいことも。全てに怯えていて全てから逃げていた。ただの臆病者だった。


 いつだって臆病者のとる行動は一つだけ。のらりくらり先延ばしにするだけだ。仕事が忙しいから。職人にならなければ、一人前にならなければいけないから。自信がまだないから。理由なんていくらでも後付けできた。何一つ彼女を納得させる言葉は浮かばなかった。


 体を重ねる時でさえ彼女は私の心を引き留めたがった。よく今日は大丈夫だから。安全日だから。そう言った。そのまま最後まで果てたこともある。結局一度も子供ができることはなかった。出来ていたら未来は変わっていたかもしれない。きっと変わっていた。


 子供を授かるというのは奇跡で万人に同じ奇跡は起きない。生まれてきてくれた子供はみんな奇跡だった。また親に恵まれる子供も全員ではない。巡り合えた奇跡を大切にしなければいけなかった。独りよがりではいけないのだ。生まれてきた意味を知らなければならない。


 息子君はますます私になついてくれていて私のことを好きになってくれた。私も息子君の無邪気な顔が好きだったし心が安らぐ不思議な感情を頂いていた。父親としての自覚が少しだけ。ほんの少しだけ芽生えてきていたのかもしれなかった。自分ではよくわからなかったけど。


 夜が明けると必ず朝はくる。それは太陽がまぶしい快晴なのか、はたまた雷雨が降り注ぐ雨空なのかわからないけれど。私たちの夜明けはいつも太陽がまぶしい快晴だった。それだけは信じることはできた。この先もずっとこのままいける。そう確信していた。そう証明したかった。




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