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新しい出会いは突然に



 

 ――本当に〇〇と仲良くしてくれてありがとうございます。〇〇はあなたに隠していた見たいだけれどずっと病気でした。いつも話を聞いていました。あなたに会いたがっていたけれど約束を果たすことはできませんでした。指輪をとても喜んでいました。〇〇のことは忘れてください。本当にありがとうございました。

 

 

 電話は相変わらず繋がらなった。解約したのだろうか。繋がらない。状況を飲み込めずにいた。最後に話したときはそんな風に見えなかった。病気だなんてまったく気が付かなかったしその片鱗も見えなかった。


 頭の中が混乱していた。とにかく話をちゃんと聞きたかった。でもそれ以上接点を持つことはできなかった。彼女とはそこで終わったんだ。

 

 今となってはこれが嘘か本当かわからない。確かめようがないからだ。少なくとも彼女は連絡手段とともに消えた。これだけは事実だった。

 

 この思いはどうすることもできなかった。指輪も大した額ではない。自分の心を癒すのはやはり時間だった。このことがあってからしばらくは何もする気がおきなかったけれど再び例のチャットを始めた。気分転換になるとおもったからだ。しばらくやっていなかったけれど久しぶりだとネットの先の人達は受け入れてくれた。


 そんな時に新しく知り合った女性がいた。あんじゅというニックネームだった。話を聞くと鈴木杏樹に似ているかららしい。年も最初は教えてくれなかったけれど33歳だということを教えてくれた。3歳の子供もいるらしい。彼女とチャット上で沢山話した後に自然と二人で電話で話すようになっていた。

 


 「おつかれさま。今日何してたの~?」

  

 「いつも通り学校行って帰ってきたとこだよ。」

 

 「そうなんだ。私も仕事終わって今から子供迎えにいくとこだよ。」


 「気を付けてね!後でまた話せたら話そう。」

 

 「うん!またあとでね。」




 頻繁に電話するようになっていた。長い電話も短い電話も。最初は取り留めない会話だったのだが例の彼女の話もしていた。彼女は私を慰めてくれた。そして前を向こうと言ってくれていた。私は彼女と話す時間が大切になっていた。また大好きな時間を過ごすことができるようになっていた。

 

 お互いに写真も交換した。今みたいにアプリなんて加工できないからそのままの画像を。彼女は履歴書の画像をそのまま送ってきた。そのまんまの人だった。とても好感を持ったのを覚えている。


 ずっと電話で話していた。そんな時間をずっと楽しんでいた。ある時、彼女から提案してきた。


 

 「ねえ。今度そっちに遊びにいってもいいかな?」

 

 「こっちに来てくれるの?」


 「うん。子供を元旦那の元に預けることができるからその時にそっちに行きたい。」

 

 「泊まるの?」

 

 「ダメかな?」

 

 「ううん。全然。嬉しい。やっと会えるね。」


 「なら今度の連休にそっちにいくね。私も楽しみにしてる。」


 「わかった。迎えにいくね。」



 この時にはもう疑似恋愛のような関係になっていた。電波で繋がっている恋人同士。お互いに好きな気持ちは持っていた。ネックなのは彼女が横浜に住んでいるということ。私は神戸だった。また遠距離だった。

 

 あっという間に次の連休がきた。夕方にこちらにつくらしい。はやる気持ちを抑えて私は新神戸駅まで迎えにいった。新幹線で夜七時過ぎにつくらしい。私なりにお洒落して部屋も掃除して家をでてきた。約束の時間が過ぎる。10分ぐらい到着時間から経っただろうか。

 

 

「……□□君?」

 



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