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クリスマスイブ

 それなりに大きなところだった。5部屋ぐらいありそれぞれカップルが使用しているようだ。私たちも荷物を運んでいた。周りのカップルはそれぞれ若かった。パッと見じゃ見た目なんてわからないが年相応に見えた。私たちはどう見えているんだろう。ふとそう考えていた。


 彼女は一体どう思っているんだろう。まったくわからなかった。そういう話をしてこなかったから。でもあのディズニーランドの一件で彼女の思いがわかった気がする。あえて知らない振りをしていた。


 

 「すごい良いところ!」

 「雰囲気もいいね□□君♪」


 「うんうん。」


 「ねえ?もうちょっと感情表に出せない?」


 「これが精いっぱいなんだけど。」


 「もっと笑いなよ。そのほうがいいよ♪」



 やはり私は感情を表にだすのが苦手だった。愛想笑いがそもそもできなかった。だから怒ってるだの興味がないだの散々言われてきたのだ。確かに笑顔を作るべきだなとはその時思った。相変わらずだったけど。


 彼女と特別な夜を過ごした。夜ごはんを食べた後は外の景色を見ながら雰囲気に酔っていた。お酒も進む。テレビではまだ解散してないSMAPとさんまのクリスマスの番組をやっていた。タイトルはなんだったっけ。それを二人でケラケラ笑って見ていた。見終わった後、2人の時間が始まった。


 クリスマスイブにスキー場近くの民宿に泊まり一緒に夜を過ごす。カップルのデートとしては100点を上げていいんじゃないかって思うくらいのシュチュエーションだった。文字通りキラキラしていた。雰囲気にも夜にも酔っていた。もちろん彼女にも私にも。


 何度も確かめ合いながら2人の未来についても話した。お互いに不安しかなかった。このまま進んで結末がどうなるのか想像ができなかった。こんなに幸せなのに別れるって結末が頭の片隅にあった。不安からくるものだった。それを刺激しないように楽しいことだけ考えていたかったけれど。


 夜は明けていく。明日の朝一にスキー場に出ようって話した。朝早く出てゲレンデを二人占めしようと。そういう計画を立てて眠りについた。それぐらいしてもいいんじゃないかって思っていた。すでに朝方だったけれどアラームをかけて眠った。素敵なクリスマスイブとクリスマスを送りたかったから。今までで一番幸せなクリスマスだったかもしれない。思い出になってしまったけれど。




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