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到着

 冬が訪れた。クリスマスがやってくる12月に入った。クリスマスに息子君は相手に預けることになっていた。私たちは2人でコテージに泊まってスノボーに行くことに決めた。彼女が手配してくれた。24日の晩に民宿に泊まり25日を2人で過ごすのだ。久々の恋人気分を味わえるイベントだった。


 車は彼女しかもっていなかったので私は神戸から横浜まで深夜バスで向かった。時間はかかるけど一番安上がりだったから。夜七時に三ノ宮を出れば次の日の朝6時前には東京に着く。それから彼女と合流して民宿まで行った。久しぶりに出かける遠出に2人は興奮していたと思う。


 車内は興奮した2人で話は尽きなかった。音楽は何をかけていたっけ。適当なアルバムを流して歌いながら向かった。道中からすべてが楽しかった。近づくにつれ彼女が選んだ曲は広瀬香美のロマンスの神様だった。スキー場で聞くにはぴったりの曲で彼女も私も大好きだった。


 

 「もうすぐつくね♪」


 「この歌好きだ。」


 「私も大好きだよ♪」


 「テンション上がるね~。」


 「ロマンスの~神様~♪♪」


 「高音きついよね。」


 「出るから!~この人でしょうか~♪」



 彼女はこういう人だった。明るく前向きな人。前だけを見てる人。だから私は大好きだった。あまりにも自分とは違う人だったから。刺激と成長しかなかった。そんな彼女だった。


 こんな彼女だから毎日楽しく生きてるんだろう。そんな風に思っていた。でもこれは彼女が経験して得た性格だった。生まれつきこういう性格だったわけじゃない。生きるためにこうなった。


 彼女はスノボはしないでファンスキーをすると言った。スティックが無く、短い2枚の板で滑るものだ。私はスケボーをしていたこともありスノーボードに決めた。元々、神戸に来る前にも友達とスノーボードをしたことはあった。なので滑れないことはなかった。


 

 「やっとついた。」

 「あ~つかれたよ~。」


 「うん。お疲れ様。」

 「荷物運ぶね。」


 「うん。私受付に行ってくる。」

 

 「わかった。荷物おろす準備しとく。」


 

 彼女は足早にかけていった。楽しくて仕方ないんだろう。そういうところも好きだった。感情をそのまま出す人。今の私を形成したのは間違いなく彼女だった。そういう意味で私の人生に影響を与えた人だった。2人のクリスマスが静かに始まろうとしていた。


 





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