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予兆

 ショッピングを楽しんだ後、3人で食事をとる。今回の連休も佳境だった。メニューを注文した。お子様ランチよりも先に料理が来た場合は食べないか、息子君に先に少しわけてあげた。こういう配慮もこの関係になって学んだ。自分のことしか考えてない人生だったから。他人を思うことを知った。


 「おいしい!」


 「よかったね。おもちゃあるからね。」

 「後で見に行こう。」


 「うん!!」


 「ほら、△△。ちゃんとお皿を近づけて食べて。」

 「お野菜も食べてね。」



 息子君がお子様ランチを食べているのを尻目にこれからのことを彼女と話していた。季節は秋に移り変わっていく。ディズニーランドに行きたいようだった。彼女の希望を叶えて上げたいと思った。


 「いいよ!」

 「次の連休もくるから一緒に行こう。」


 「ありがとう!」

 「△△、よかったね!」


 「ミッキーに会う!」



 2人の笑顔が純粋に嬉しかった。そして私も今まで一度も行ったことがない。私自身も楽しみな予定になった。次に会う約束が決まっていて次に向けて気持ちの整理が出来た。この2人を楽しませたい。帰ったら準備をしよう。そう考えていた。


 新横浜の駅に着く。やはり最後は感傷的になる。お決まりのこと。いつまでもこの生活が続く。そう思っていた。でも春になれば私は就職しなければならないし、息子君も保育園に行くらしい。生活環境が変わるのはもうすでに決まっていた。


 自由にできる時間も限られている。それまでは時間を大切にしたいと思った。この2人に時間を使いたいと思った。あとは私次第なのだから。



 「もうお別れだね。」

 「もう!次が待ち遠しい。」

 「はやく連休来ないかな。」

 

 「まだこれから帰るとこだから。」

 「気が早いなあ。」


 「何よ?会いたくないわけ?」


 「会いたいです。」


 「よろしい。」



 そんな会話をしていた。そしてまた私は新神戸まで帰った。新幹線の中はいつも考える時間だった。これからのことを。3人の未来のことを。このときはやっぱりまだ前向きだった。ずっと続くと思っていたから。そんな保障なんてないのに。


 ディズニーランドではちょっとした悲しい出来事があった。わかっていたけれど。知らない振りをしていたけれど。一緒にいれば感じることはない。それでも事実を認めなければならない。それをどうするかは2人の気持ち次第だった。


 歯車が少しずつ狂っていく……。




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