帰り道
楽しいUSJだった。帰り道は余韻に浸っていた。帰りの高速で途中食事をとる。お金を沢山使っていた。バイトしていてよかったと本当にそう思った。適当なフードコートで食べた。人混みで溢れていたが不思議と疲れなんてなかった。笑顔だけがそこにあった。
「帰り運転しようか?」
「いや、大丈夫。」
「ありがとう。疲れたら言ってね。」
「うん!」
「……でも楽しかったね~。」
「また行こう。」
彼女とUSJに行ったのはこれが最後だった。それでも楽しい思い出として残っている。本当に行ってよかったと思っていた。帰り道は長かったけれど幸せな長距離運転だった。
マンションに帰ってきた。3人で部屋に戻る。父親としての自覚なんてものはなかった。わからなかったし。でも息子君を楽しませることが出来たのは純粋に嬉しかった。こういう気持ちになるなんて思いもしなかったのに。息子君も含めて彼女が大好きだった。
そしてまた優しくキスをした。息子君を起こさないように。彼女を大切にしたいと本気で思った。うまくいく未来しか見えなかったし彼女しか見えなかった。心も体もとても満たされていた。
「……私がバツイチで子連れでごめんね。」
「……もっとはやく君に会いたかった。」
「……好きだから。」
「……うん。」
うまく返答できなかった。どうすることもできなかったから。うまくいけばうまくいくほど不安や自責の念に蝕まれていく。不思議なように。それでも歩みを止めることはできなかった。希望も絶望も両方抱えていた2人だった。どちらもおろすことはできなかったんだ。
「愛してるよ。」
「……私も!」
無邪気に彼女はそう言って抱き着いた。唇を重ねる。体を重ねることでしか確かめようがなかったから。確かめ合った体温だけが真実だった。どんなに言葉を重ねても埋めることはできなかった。理想と事実は混在するから。例えそれが彼女の半身だったとしても。
それでも幸せな1日を過ごせたことは忘れない。彼女を形成しているすべてを愛することができた1日だったから。ずっと続くものだと思っていた。忘れることができない幸せへのパズルのピースの一つになった。全てのピースを集めることはできなかったけれど。
「忘れないでね。」




