打ち上げ花火
入場口についた。3人で手を繋いで歩く。彼女も息子君も私もニコニコしていた。いつだって遊園地はワクワクする。みんな気持ちが高揚していた。楽しい一日になりそうだ。
「入場券お願いします。」
「大人2人。幼児1枚で。」
大人2人と幼児はUSJに踏み込んだ。当時のアトラクションは数は少なかったけれど色々回れて楽しかった。
バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド。
ジュラシック・パーク・ザ・ライド。
ウォーターワールド。
バックドラフト。
ジョーズ。
色んなアトラクションがあった。順番にそれぞれ回っていった。出来たばっかりだったし。息子君が乗れるもの、楽しめるものから攻めていった。待ち時間も短くて本当に当時はお手軽アトラクションだった。
バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライドは実際にデロリアンが外に置いてあったから写真を撮った。映画を知っているだけに感激だった。何枚も写真を撮った。写真の中の3人は今でも笑顔だった。
ジョーズなんかも息子君は喜んでくれた。実際に小さな船に乗るしね。乗れるものは一緒に乗った。何か被り物を買ってあげた。何を買ってあげたかは忘れたけれど。3人とも買った。
「おなかすいた~。」
「そうやね。食べよっか。」
「うん!」
レストランで食事をとった。思った以上に高かった記憶がある。味は思い出せない。でも美味しかった。だって笑顔の記憶しか残っていないから。食事をとって息子君にもデザートを頼んであげた。
食事をとって休憩した後はまたアトラクション巡りをした。相変わらず待ち時間は少なめで本当に楽しめた。待ち時間があったらあったで沢山話ができた。それだけで楽しかった。
アイスを買って3人で食べた。ただ楽しい時間が流れていた。こういうのも悪くないなって思えたし大切にしたいと思った瞬間だった。ずっと続けばよかったんだ。
「夜、花火があるみたいだよ。」
「見たい!」
「見てから帰ろっか!」
辺りはだんだんと暗くなっていて息子君も眠たくなったようだ。息子君をおんぶしていた。花火が見えるところに移動することにした。この位置からならよく見えるはずだ。3人で同じ方向を見ていた。同じ方向を見ていると思っていた。
――ヒューーーーーー。
――ヒューーーーーーー。
――ドドドン。
――ドドドドドン。
花火が始まった。鮮やかな花火が空一面に広がった。夜空に色がついた。未来は明るかった。明るい未来しか見えなかったし花火だけが見えていた。ずっと同じ空を見ていた。




