初アルバイトで旅費を稼ぐ
電話に出た女性が電話に応対してくれた。アルバイトしたいという意思を伝えると早速、店長に話を通してくれた。早速、明日面接に来てくれということだった。そして次の日に面接に行った私は初めてのアルバイトに合格した。中華まんの店頭販売だった。基本ワンオペで複数のスナックの近くにその店はあった。
その店は水蒸気をもくもくと上げていていかにも本格派なお店に見えた。実際は冷凍された肉まんや中華まん、シューマイなどを蒸して客に提供する店だった。一通り店長に教えてもらった私は数回のアルバイトを終えた後、1人で店を任せられていた。時間帯は夕方6時から朝3時まで。長時間のバイトだった。
このバイトを始めてから尚更、学校の勉強に支障が出ていた。単純に睡眠時間が足りなかったのだ。朝3時まで店を開け、掃除をして家に帰る。そして朝9時には学校に行かなければならなかったから。授業中に寝ていた。そんな生活を2か月送る。それなりに限界が来ていた。
「すいません。もうやめたいです。」
「……! やめるの早いだろ!」
「すいません。無理です。」
店長は少し怒っていた。やめるというまではあんなに優しかったのだけれど。少し前に休みなのに店長が店を覗きに来ていたことがあった。窃盗があったのだ。結論としては以前のアルバイトがカギをあけて盗んだのではないかということだ。それもあってピリピリしていたのだろう。
そうして店をやめた。お金は短期とはいえ長時間シフトで入っていたのでそれなりにお金は溜まっていた。しかし、お店をやめてから一か月を過ぎたころ、夜中に頻繁に非通知のいたずら電話がかかってくるようになった。非通知の電話にでると一切声を発しない。それが何度も何度も続いた。
一度だけ非通知ではなく電話番号が乗ったままかかってきた。相変わらず返答はなかったのだけれど。電話番号は画面で見て控えた。この番号が犯人だと悟った私は友人に相談してみる。私が電話しても出ないので代わりに電話してくれるようだ。お願いをしてから2日後あっさり犯人は判明した。
以前のアルバイト先の店長だった。友人が□□が困っている。何してるんだと電話してくれたらしい。店長はある人と間違えたと言い訳をしていたようだ。そして友人に今度遊びにいくからなと言われたらしく私に謝罪の電話をしてきた。間違っていた。すみませんと。
メンドクサイ展開になるのが嫌だったのでその場は流した。実際にはそこからお店に行くことはなかったのだけれど。半年後たまたまそこを通りかかったとき、その店は潰れていた。その後は知らない。
こうしてお金を貯めることができた私は彼女に会いにいくことに決めた。いつも来てもらっているから今度はこちらから行くと。会いに行きたいと彼女に伝えた。彼女はとても喜んでくれていよいよ横浜に彼女の元に向かうことが決まった。そして彼女の子供とも会うことになる。
「あのさ、今度そっちに行くよ。」




