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ラジオから流れる恋

リアルを忠実に再現しています。

回想シーンと現実が入り乱れます。

一部フィクションがあります。

大切だった彼女の記憶。

 君が思い出になる前にもう一度笑って見せて――

 


 ラジオからこんな歌詞が流れてきた。どこかで聞いたことある曲だ。適当な駐車スペースを見つけて車を止め歌詞に耳を傾けてみる。ラジオのボリュームを少し上げるとやさしい歌が流れてきた。


 

 優しいふりだっていいから子供の目で僕を困らせて――


 

 私は何故か当時のことを思い出していた。何も世の中を知らなかった10代最後の時のこと。希望にも絶望にも満ち溢れていた。何もかもが喜びでもあり苦痛でもあったキラキラと輝いていたあの時代。当時を思い出すとやはりあの人の思い出が蘇る。


 

 君が思い出になる前にもう一度笑って見せて――


 

 サビの歌詞を聞くと忘れていたものがこみ上げてきた。何年も前に過去に置いてきた感情。もう思い出すことはないと思っていた。少しずつ記憶の糸を辿っていく。意外と忘れないものだ。


 

 冷たい風に吹かれながら虹のように今日は逃げないで――


 

 やはり当時のことを思い出す上で欠かせない女性がいる。彼女が全てだったんだ。悔しいぐらいに。思い出になってしまったけれど。

 

 一通りの感傷に浸った私は再び車を走らせた。何かしていないとさらに感情的になってしまいそうだったからだ。涙は零れない。ただただ懐かしく頭がぼんやりとしていた。

 

 車線変更をしていつもと違う道を走る。少し遠回りしたくなったんだ。ゆっくり思い出したくなったから。

 

 ラジオから流れるこの曲はもうすでに終わってしまい次の選曲に移っている。今夜はバラードの曲で繋いでいるようだ。感傷的になるにはもってこいの選曲だった。

 

 30分ぐらい車を走らせて家路につく。駐車場に車を止めて玄関のドアを開く。

 


 「ただいま~。」

 「おかえりなさいー!!」

 「おかえりー!!」



 2人の子供たちが元気いっぱいに出迎えてくれた。6歳の長男と3歳の長女だ。屈託のない笑顔で私を迎えてくれている。

 

 子供たちの笑顔をみていると何かが吹き飛んだ。少なくともこの瞬間は。

 

 子供たちがリビングの奥まで駆け出して行った。当時も子供がいるのが日常だった。彼女と3歳の男の子と私。

 

 一緒に暮らしていたわけではなかった。遠距離恋愛だったから。私が19歳で彼女が33歳のバツイチで子連れ。

 

 今日思い出したということはきっと何か意味があるんだろう。物事には全て意味があると思っている。大なり小なり。オカルト的なものになるかもしれないけれど。

 

 意味がないようで全てが何かで繋がっている。それは記憶も同じ。ただ無作為に思い出したように思えるけれど何かのメッセージだと思っている。それが内なるものなのか、外に向けているものなのかは別として。

 

 そんなことを考えながら子供たちの元に戻る。今は子供たちが主役だから。過去の記憶に浸るのはそれからでも遅くはない。だって変えることはできないのだから。

 

 

 

 

 

初投稿になります。

何分小説の書き方から何もかも熟知しておりません。

思ったままに書いています。

高評価や感想を頂けると今後のモチベに繋がります。

ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 昔に置いてきた記憶…でも、当時の音楽が流れた瞬間にふと蘇る。 灰色の記憶から色が少しずつ足されていく記憶。 そんな瞬間がきっと誰にも経験があることでしょう。とても切なく、自分の思い出とも重…
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