表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/249

第25話 さあ、復讐の時間だ


 サービス開始6日目。私はまだ森を抜けることが出来ていない。森の端らしきところが見える場所までは行くことが出来た。しかし、あの犬が出てきて殺されたので結局は出られないという訳である。


 2回あの場所までは行けたのだけど、どうしてもそのタイミングで犬が出てきて邪魔される。もしかしたら、あの犬を倒さないと外に出られないように設定されているのかもしれない。


 グネズミーも5日目に挑んだらLV18になっていた。まあ、LVが上がった所で強化されるのはステータス部分だけで新しいスキルとかは覚えないみたいだったから、攻略法は特に変わらず躱して攻撃の繰り返し。予想以上に素早くなっていたから躱すのギリギリだったけど。


 それにLVは1しか上がっていない。おそらく今後ネズミでのLVを上げは難しいと言うことなのだと思う。グネズミーに関しては一応ネームドだから経験値は入るだろうけど。


 ぬぬ…やっぱり今のLVであの犬を倒して先に進まないといけないのか。何度か戦ってわかったけど、正直あの犬とは相性がいいとは言えないんだよね。グネズミーと同じように高機動型のモンスターだけど、単純に体が大きいだけで対処できなくなるのがやばい。


 それに【感知】を使っていて気付いたんだけど、どうやらあの犬は【影魔術】を使っているらしくマップからいなくなる時がある。今思えば名前がフォレストシャドウウルフとなっているのだから使えても不思議じゃなかった。


 ただそれと同時にわかったことがあって、前に倒した熊とあの犬は敵としてのジャンルが違うらしい。グネズミーとかあそこに居たネズミたちとあの犬は(モンスター)の括りで、熊は(獣)の括りになるらしい。ヘルプで確認したら魔術系のスキルが使えるかどうかで分けられているとの事だった。


 ネズミ(小)と(大)に関しては違うと思ったけど、スキル欄にあった夜目は【闇魔術】で覚えたものだし属性が闇になっていた。それに熊の鑑定結果を見直してみると属性の欄が何も書かれていなかったからそういうことなのだろう。


 まあ要するにあの犬は、ガンガン動き回って森の木を盾にしつつ姿を隠し、隙を見て攻撃を仕掛けてくるってこと。しかも闇属性っぽいから私のメインウェポンである【闇魔術】が効きにくい。そもそも機動力以外は完全に私の上位互換みたいなものだから、LVどころかステータスで負けているであろう状況で戦って勝ち目がある訳がない。

 だから森を抜けられてないのだけど。


 どうやってあの犬を倒せばいいのだろうか。機動力を殺すにしても方法がないんだよね。粘着玉使って止められるんじゃないかって1回試してみたけどすぐ剥がされて、殆ど影響ないみたいだったし。速いからパラライズミストもスタック溜められないんだよねぇ。


 それに何か新しいスキルでも取ってとも思ったんだけど、現状を打破するような物がなかった。いっそ真正面から物理でやった方がよかったりして。まあ、私の今の火力を考えるとあり得ないけど。


 粘着玉って強化できないかな。そういえば何個か一緒に【調合】したら強くなるとかよくあるから試してみよう。


 粘着玉を強化してみようとした結果、出来たのは粘着玉(大)と(中)。あと粘着液とそれを内包している粘着液玉。思いの外種類はできたけど粘着力が強くなるとかはなかった。むしろそういったのは【錬金】で成るものだとやっている途中で気づいた。


 しかし、粘着玉(大)はバレーボール並みの大きさになったので、前にやった時に比べて効果はあるんじゃないかと思う。いっぱいくっ付ければ重さで機動力落ちるんじゃないかな。そう考えて出来るだけ作った。


 これであの犬を動けなくさせてじっくりと倒してやる。まあ、実際に身動き取れなくなってから倒すまですごく時間は掛かるだろうから嘘ではないはず。あくまでもうまくいけばだけどね。


 さあ、復讐の時間だ!




 森の中を走る。あの建物から犬の居る森の端まで多少アイテムとか拾いつつ全力で走って8時間以上掛かる。【感知】を使って周囲を確認しながらだから全力と言ってもトップスピードでずっと走っていたわけじゃないから仕方ないけど。少しでも掛かる時間を減らすためにAGIに3もSTPを振ってしまった。まあそのおかげか30分くらい時間は縮まったのだけど。


 リアルでこんなに長い時間走るなんてことがある訳ないので、最初は不思議な感じで走っていても違和感があったけど、今では気にしないで走ることが出来る。

 と言うか止まると犬が出てきたりするから止まれないだけなんだけどね。アイテムが一切拾えなくなるんだけど、少しでもリスクは減らしたいから割り切って進む。



 そろそろあの犬が出て来るところに着きそうだ。お昼のログアウト時間がそろそろなんだけど兄には言ってあるし、少しずれるくらいなら大丈夫かな。


「グゥルルゥ……」


 門番らしきあの犬が前に出てきた。他の犬とは違っていきなり不意打ちとかしてこないから他よりましな犬だけど、結局のところ森の外に出してくれないので他の犬とそんなに変わらない。


 戦闘が開始すると直ぐに犬は森の中に隠れる。最初はこのまま外に出ればいいと思って突っ切っていったけど、あの犬は意地でも外に出さないとばかりに目の前に出てきて思いっきり森の内側に吹き飛ばされた。


 少なくとも木の上からは来ないので近くの木を背にして周りを窺う。そしてインベントリから粘着玉(大)を取り出しておく。【感知】で犬の位置を確認して…どうやら右側から攻撃をしてこようと移動しているようだ。

 右側に意識を向けて、犬が来たら粘着玉を当てられるように構える。


「グガァッ!!」


 ちょっ正面!? どうやら右から来たのはフェイントみたいなものだったらしく、目の前を通り過ぎたと思ったら突然方向転換して正面から噛みついてきた。

 咄嗟にしゃがみ噛みつきを躱す。


「グァオッ!?」


 驚いて粘着玉を離してしまっていたんだけど、どうやらそれがよかったらしく犬の顔と木の間に粘着玉がべっとり張り付いていた。おお、上手く行った。攻撃…よりももっと粘着玉つけた方が良いかな。何かすぐ剥がれそうな感じだし。


 そう思い素早くインベントリから粘着玉を取り出して犬の体にくっ付けていく。剥がれそうになっていた顔の近くにも追加でくっ付ける。そういえば数はそんなにないけど毒液玉もあったからそれも使っておこう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ