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第30話 天然もの

 

 ガルスは手に持った魔鉄鉱石を見る角度を変えながらじっくり観察している。


 プレイヤーが鑑定スキルを使うと同じような感じになるし、ガルスも鑑定スキルでも使っているのかな。もしかしたら上位スキルの識別かもしれないけど。


 ガルスがじっくり魔鉄鉱石を調べている間、作業台に出していたオーレスワイバーンの素材をインベントリにしまっていく。


「ほう、魔鉄鉱石の天然ものは久しぶりに見たな。どこで取れたんだ?」

「これもワイバーンの巣」


 天然ものってどういうことなのかと、ガルスの言葉に疑問を感じながら返事をする。


「ふむ、なるほど。だとすればワイバーンの魔力に充てられて魔鉱石化したんだろうな。なかなか質も良さそうだし、天然ものは内包する魔力が澄んでいるからいい素材だぞ。防具向きの鉱石ではないが」

「天然ものって?」


 ガルスの言い方からして採掘以外でも魔鉄鉱石は手に入りそうな感じなのだけど。もしかして魔鉄鉱石ってそこまでレアな鉱石じゃないのかな。


「ああ、その辺あまり知らない感じか。この魔鉄鉱石みたいな魔鉱石はな、産地がないわけではないが自然下で採掘できる量があまり多くないから人工的に作られることが多いんだ。天然ものは質に関係なく市場にほとんど出回らないから滅多に手に入らない」


 魔鉄鉱石自体はレアだけど、人工ものは結構ある感じなのかな。その割に総合委託掲示板で見たことがないけど。ゲームシステム的に条件をクリアしないと売り出されないとかそんな感じなのかな。


「まあ、人工的に作られたものも数は少ないから市場に流れることはあまりないんだが。こういうのは普通は生産者から直接買うものだからな」


 そういうことか。どちらにしろ数が少ないから見かけなかったと。もしかしたら売り出される条件もあるのかもしれないけど。


 ううむ、人工的に作れるとなればその方法も知りたくなるよね。作ることが出来ればいちいちワイバーンの巣に行ってオーレスワイバーンが出てくるまでマラソンしないで済むし。


「その、作り方って」

「すまんが俺は知らない。結構な技量が必要とは聞いたことがあるが、鉱石の魔化は錬金の領分だからな」

「錬金、……合成?」


 錬金ってことは鉄鉱石と何かを合成するとかかな。鉱石を魔化されるって言葉的に鉄鉱石と魔石を合成する可能性が高いと思うのだけど、それは昔試したことがあるのだよね。

 ミスリルみたいなファンタジー金属が存在しているゲームもあるから、UWWOでも魔石を使えば同じようになるかなと思ったのだけど、何の反応しなくて合成できそうな気配はなかったのだよね。


 でもガルスに弟子入りした時の流れ的に、錬金の師匠に弟子入りしたらレシピを教えてもらえるとかそんな感じなのかも。

 

「お前は錬金師だからどこかで使えるようになるかもしれないが、ああいうレシピは誰でも教えてもらえるものではないからな」

「弟子入りしないと駄目ということ?」

「そうだな」


 やっぱりそうか。何かしらで手に入れた本で知ることができるとか、そういう方法があったらいいのだけどね。今のところそういうのはギルドの書庫でしかないみたいだし、それだって初期レシピだけだから特殊なレシピは弟子入りした先の師匠に教えてもらうのが基本ってことか。


 うーん。そうなると、どこかでその師匠を見つけて弟子入りしないといけないのだけど、本当に知り合い少ないからそこに至るまでの取っ掛かりがなさすぎる。


「この街にも錬金師の人はいるし、弟子入りもおそらく可能だと思うが」


 ガルスの知り合いにも錬金師がいるのか。言い方からして1人ではなさそうだけど、その内の1人でも紹介してくれるとかないかな。


「…紹介は」

「お前のJOBは錬金師だし、俺の知っている人のところへ紹介できればよかったんだが、残念ながらその人は直接の知り合いってわけではないんだ。すまん」

「そっか」


 残念。まあ、そう簡単にはいかないか。セントリウスに錬金の師匠がいることが分かっただけでも良かったと考えるべきだよね。


「俺の知り合いでその人の伝手があるとなればギルドにいるレミレンくらいだろうな」


 私の反応を見たのかガルスがそう言葉をつづけた。


「レミレン?」


 そこでなぜレミレンが出てくるのか。確かにあの人は錬金師のチュートリアルで担当してくれたけど、どこにその錬金の師匠とのつながりがあるのだろうか。


「あいつも一応その人の弟子だからな。今は錬金師として働いていないが紹介はできると思うぞ。その後上手くいくかはわからないが」


 一応っていう言葉が気になるけど、そうだったのか。なるほど、だからチュートリアルで錬金の担当をしていたわけね。

 となれば、レミレンのところに行って話を聞いてみたいところだよね。


「今日はこの素材を見せに来たんだったら、この素材の処理の仕方でも学んでいくか? それともこのまま別の場所に行くのか?」


 ガルスはそう言いながら私に魔鉄鉱石を返してきた。


 むぅ、それも知りたい。

 どうしよう。レミレンのところに行きたいけど、オーレスワイバーンの素材を使えるようにするための軟化剤のレシピも覚えたい。多分このレシピって他の皮系素材にも使えるはず。


 うーん。レミレンも常にギルドにいるわけじゃないみたいだし、すぐに紹介してもらえることはないだろうし。今はこっちを優先した方がいいかな。


「お願いします」


 そう返事をするとガルスは少し嬉しそうにうなずいた。


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