表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
230/239

第26話 兄とリアルで会話・5


「お疲れ」

「うん」


 UWWOからログアウトしてリビングに行くと兄も同じように部屋から出てきていた。


「さっきはありがとう」


 急いでログアウトしないといけない状態だったからゲーム内で言えなかったけど、急な呼び出しに来てもらったことにお礼を言う。

 

 オーレスワイバーン相手に2人でどうにか時間ギリギリで倒せたのだから、兄が来てくれなかったらログアウトの時間までに倒し切れてなかったのは確実だし、後半の攻め具合から死なずにログアウトまで耐えられたかも結構怪しい。

 だから兄が来てくれたのはすごく助かった。新しい素材も手に入ったし本当に良かった。


「ん? あぁ。前にも言ったけど、何か手伝ってほしいことがあったら手伝うぞ。今回は呼んでくれて嬉しかったしな」

「…うん」


 冷蔵庫から飲み物を取り出そうとしていた兄が私の言葉に若干面食らったような表情をしたが、すぐに少し嬉しそうな表情になり手をパタパタと小さく振りながらそう言った。


 最初のころはあまり気にならなかったのだけど、最近ちょっと後ろめたいまでじゃないけど、少し申し訳ない気持ちがあるのだよね。

 サービス開始日からプレイできるアカウント優先権をくれたのが兄ってこともあるのだけど、当初の予定では一緒にプレイするつもりだったし、私が今のRACEになったことでそれができなくなっちゃったけれど。


 あくまで出来ればって感じだったから約束を反故にしたって感じではないのだけど、ちょこちょこ一緒にプレイするか、って聞かれると一緒にプレイしたかったのだろうなと思う。

 まあ、だからと言ってこれから一緒にプレイするかどうかは話が別だけど。


「あゆはこの後、いつも通り寝ちゃう感じか?」

「うん」

「俺はこの後もログインするけど、今回のワイバーンの情報とかあいつらに話しても問題ないか? いやならぼかして伝えるけど」

「…大丈夫」


 もう0時を過ぎているので、私が次にログインするのは明日になるけど、兄はこの後またログインするようだ。私と違って兄はまだ大学の長期休暇期間に入っていないので、少しでも多くログインしてイベントに向けて準備をしたいのだろう。

 今までのログイン状況を知っていると若干兄の成績が不安になるけど、昔からそつなくやりくりしていたので今回も大丈夫なのだろう。


 それと兄の仲間内で情報を伝えるくらいなら問題はない。それにオーレスワイバーンは、私と同じようにロックワイバーンで素材集めをしている人がたくさん存在しているので、私と同じように遭遇して存在を知っている人はいるはずだ。その中で私だけしか遭遇したことがないというのは普通に考えたらありえないと思う。


「了解。あのワイバーンのことは隠さず伝える。それで、できればあのワイバーンが出現したときの条件とか、わかっているなら教えてもらっていいか?」

「んー。多分エリアBOSSのレアと同じだと思う」

「あぁ、なるほど。一定時間内に一定数討伐すると出現するタイプか。他の場所にも同じような条件で出るモンスターもいるみたいだし、探したら結構いるのかもな」

 

 少し前に戦ったマザーコットンも多分同じカテゴリのエネミーだったのだろうね。イベントも近くなってきたし、他のエネミーを探す余裕はあまりなさそうだけど気になるところ。


「あとは、あの鉱石だよなぁ」


 魔鉄鉱石はオーレスワイバーンよりも扱いに困る。

 私も詳しく見る余裕はなかったけど、他のゲームでも魔力を含んだ鉱石って強力な武器の素材になることが多いし、存在を知ったら取りに行こうとするプレイヤーは確実に出てくるはずだし、そうなればその情報を持っているところへ一部の人たちが詰め寄ってくるのも想像できるよね。


 ロックワイバーンだと巣を破壊するようなこともないし、オーレスワイバーンと戦ってかつ巣を破壊させるまでいったプレイヤーがどれだけいるのか。

 そこそこ条件が難しいし、ロックワイバーンを倒せるようになってそれほど時間が経っていないから居ても少なそうなのだよね。


「とりあえず、あの鉱石に関してはログインしなおしたらあいつらにどうするべきか聞いてみるけど、それでいいか? 嫌なら隠しておくが」

「ん。それで問題ない」


 まあ、兄たちが情報を管理してくれるなら、私はどっちでもいいのだよね。あくまで私が情報を持っていることがバレて、あの時みたいになるのが嫌なだけだから。兄はともかく、あの人たちならしっかりやってくれるだろうし大丈夫。


「できればでいいから、次に同じタイミングでログインするときにあの鉱石のスクショを撮って送ってくれないか? あいつらに説明するために使う。一応俺たちも現物確保のためにやってみるが、すぐに手に入れられるかわからないから」

「ん。わかった」


 あれは狙ってやろうと思えばそこまで難しくはないと思うのだよね。偶然見つけるのが難しいってだけで、知っていれば狙って巣を壊すように誘導すればいいだけなのだからできる人は結構いると思う。

 人数を揃えればよほどのことがない限り失敗はしないと思う。まあ、オーレスワイバーンが出てくるまでロックワイバーンの討伐耐久をしないといけないから、そこが一番難しいところかもしれないけど。

 

 そんな感じであれこれ話し合った後、兄は改めてログインするために部屋に戻り、私も部屋に戻って寝ることにした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ