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第30話 トレードたまご

 

 夕飯を食べた後少ししてからログイン。

 フレチャで確認したところ兄はまだあの廃村まで戻ってきていないようだ。まあ、私があそこに着くまでには戻ってきているだろう。

 居なかったとしても他のメンバーが居れば問題ないだろうしね。


 ログアウト中にタマゴの状態に変化がなかったことを確認してから、セントリウスの街を出て第3エリアに向かう。

 第3エリアの前にある防壁を超えて少ししたところでゴフテスとの再戦ウィンドウが出てきたけど、いいえを押してそのまま進む。


 流石にタマゴの入ったリュックを背負ったまま戦う気はない。ただ、最近ギルドポイントがあまり稼げていないし、今ならそこまで苦戦することはないだろうから近いうちに連戦することにしよう。



 走ること1時間強。今までよりも大分時間を短縮してあの廃村に到着することができた。


 なるべく目立たないようにゆっくりと廃村の中に入る。

 廃村の様子は私が最後にここを通り過ぎた時よりも大分整っているように見えた。流石に人が住めるとまでは行かないけれど、それでもテントを張って休憩するくらいは余裕でできるくらいには綺麗になっていた。


 最初に見つけた時は荒れ果てていたから地面にも草が生えていたし、道もはっきりしていなかったけど、今はしっかりと道になっている。この辺はおそらく兄たちが復興した部分だろう。


 なんか、向こうのほうに屋台のような物ができているけど、こういう場所だから売れると思ってアイテムを売りに来ているプレイヤーもいるのだろうか。それとも住民が支援目的でやっているのかもしれない。

 ただ、明らかにプレイヤーのものと思われる馬車が1台、存在感を放っているね。まさかここでキッチンカー的な物を見るとは思っていなかったからちょっと驚いた。レシピでもあったのだろうか。その辺について私はあまり詳しくないから、近いうちにしっかり調べたほうが良さそう。


 材料とかどうしているのだろう。料理系の素材ってインベントリにしか入れられないから数を持ち運びはできないし、なくなったらセントリウスに戻っているのかな……と思ったけど、どうも素材は買い取りをしているようだ。確かに肉なら取れないこともないし、小麦も取れるから、調味料がなくならない限りはできそうだね。

 この辺の素材を使えていることからして、【料理】スキルは結構高そうだからバフ料理も作れるだろうし需要は高そう。


 村の中心付近まで行き兄たちを探す。

 待ち合わせ場所は村の中心にある壊れた噴水の近くにある小屋。この小屋は各パーティーごとに1つあてがわれているらしく、最初から作業に参加している兄たちの小屋は噴水近くのいい場所にあるらしい。まあ、リスポーンポイントとして機能していない噴水の近くが果たしていい場所なのかどうかは私にはわからないけど。ああでも、村の中心だから立地はいいのか。


 いくつかの小屋を見渡したところで少し先にあった小屋の前に兄が立っているのが見えた。どうやら戻ってくるのに間に合ったようだ。




「それで……ブツはどこに?」


 他のプレイヤーに見られないよう小屋の中に入って落ち着いたところで兄がそう切り出した。これに関してはいつもの小芝居なので無視して背負っていたリュックの中からタマゴを取り出す。

 そしてそれを小屋の中にいるメンバー全員に見える場所に置いた。


「SSじゃわからなかったがずいぶんと大きなタマゴだな」

「食べ応えありそう」

「どんな味なんだろうな?」

「え!? 食べるのか!?」

「えぇ、食べるわけないじゃん」

「じゃあ、何でそんなことを言ったんだ……」

「……」


 兄も含め兄のパーティーメンバーは目の前に出されたワイバーンの卵を興味深そうに眺めていた。特にリラは食い入るように卵を見つめていた。

 どうやら他のメンバーの反応からして、この卵の持ち主になるのはリラのようだ。


「これ、本当に譲ってもらっていいの?」

「RaもEpだしな。普通は簡単に他のプレイヤーにやる物ではないよな」

「SASも未記載だから、今の状況からして1Mは行くんじゃないか? 初物だし。話を聞いた限りそう簡単に手に入るような物ではないし、ましてや数があるわけでもなさそうだからな」


 まあ、確かにレアアイテムだし高く売れるのは理解できる。ただ、そんなものを売りに出せば面倒なプレイヤーに絡まれる可能性は上がるし、普通のプレイヤーからも絡まれそう。

 だからこうやって知り合いに渡してしまうことにしたのだ。まあ、確かにタダで渡すのはどうかって言うのは理解できるけど、この後の厄介ごとを考えればねぇ。とはいえ、タダで渡したことがバレれば面倒になるから、第3エリアの素材と交換という形で話はまとまっている。


「とりあえず、私がもらうって話になっているんだけど、本当にいいの? 私途中参加だよ?」

「パーティーに加わった時期は関係ない。単にワイバーンをテイムするにして一番向いているのがリラだっただけだ」


 どういう理屈でそうなったのかはわからないけど、確かリラの戦闘スタイルって兄と同じ拳士スタイルだったよね。同じタイプの戦闘員がいるのはってことで槍士に転向するって話は聞いていたけど、確かにワイバーンに乗ることを想定すると槍のイメージが強いかな。剣士もないわけじゃないけどそうしてもリーチがねぇ。


「そうだぞ。そもそも俺はまだ借金持ちだし、拳士じゃなぁ。向いていない」

「JOBが被ったから槍士になってもらったのもあるしなぁ」

「ドラゴン繋がりでいいじゃんね」

「別に拳士になるつもりはなかったんだけど、スキル構成も第3エリアから出るためにそうせざるをえなかっただけだし」

「回避型のタンクが的になりやすいワイバーンに乗るのはね。単純に好みじゃないってのもあるけど」

「私もあまり興味が湧かなかったですし、バフ担当としても向いていないかと」


 兄のパーティーの構成って剣士、戦士、拳士、魔術師(中距離)、魔術師(バフ)、弓術士って構成。それに槍士を加えたメンバー。普通といえば普通だけど、ちょっと偏っているかも? 一応軽戦士的な役割に兄がいるけどちゃんとした遊撃的な存在が居ない。

 そこに遊撃役としてリラとワイバーンを加える感じかな。


 まあ、受取手が決まっているなら私はその人に卵を渡すだけだ。

 そう思って皆の前に置かれているタマゴを持ち上げ、リラの方へ。


「……どうぞ」

「え? あ、うん」


 目の前にあったタマゴを渡されて少し困惑気味ながらもリラはしっかりとタマゴを受け取った。


「本当にいいの?」


 再度確認するようにリラが私を含めたメンバーに聞く。それを聞いて兄たちは頷いた。私もとりあえず合わせて頷いておく。


「そう。わかりました。ありがたく頂戴いたします」


 リラがそういうと同時にトレード申請が。それを承諾してトレードを完了させる。

 トレードの完了と同時に大量の素材が私のインベントリの中に入ってくる。これはイスタットから直接ここに来ていたら持って帰れないくらいの量だ。ちょっと引くくらいの量だけどありがたく受け取っておく。

 素材の種類は、エネミー素材はフォレストシャドウウルフや、フォレストスラッシュディアの素材など。他はフィールドで採取できる物が多数。キノコ類が多めかな。

 あまり数が確保できる物ではないからキノコ類が多いのは嬉しい。


「MP5000必要かぁ。どれくらいかかるかな。私ようやくMP500を超えたくらいなんだけど」

「ポーション使えばいいんじゃないか?」

「お金がかかりすぎるし、あまり使わないからそんなに数持っていないよ」


 その言葉を聞いてスッと取り出すMPポーション。

 それくらいだったら想定内です。初級MPポーションQu:B、1本あたりMPを40回復させるものを200本ほど用意していますよ。


パーティーメンバーは全員います

ぎーんの影の薄さよ…


※MPポーションの回復量を50から40に修正しました

初級MPポーションは、初級ポーション(HP)と同様に連続使用可能です。1つ上の下級になると連続使用は出来ません

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[一言] 飲み過ぎでたっぷたぷに(流れ的に書いた)
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