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第29話 リアルで兄と会話・4

 

 アユからフレチャの返信が返ってきたタイミングがアユの夕方のログアウトの時間が迫ってきていたこともあり、一旦俺もログアウトしてリビングへ。


 ログアウトする前にタマゴの行方については軽く説明したので、残りはあゆから話を聞きたいところだ。


「あゆ、夕飯まだ出来ていないようだから、先にさっきのタマゴを手に入れた経緯について聞きたいんだが、いいか?」

「んー……ぅん」


 あまり乗り気でない様子から俺が他に言いふらす可能性でも考慮しているのだろう。掲示板の件もあるし自業自得ではあるが、今回は聞いておいた方がいいとパーティーメンバーとの話し合いで答えが出ているのでこのまま聞くことにする。


「タマゴをもらった後の言い訳、もとい辻褄合わせに正確なところを知っておかなきゃいけないしできれば話して欲しいんだが、まぁ今じゃなくてログインした後で他のやつに話してもいいが、ここで話しておいた方がことがスムーズに進むから」

「あぁ……うん」


 納得してくれた模様。

 そもそも本来ならば、サービス開始から一緒にプレイしていたらこうやってアユの行動を隠しつつ、何かしたらパーティーメンバーの誰かがしたことにして庇いながらプレイするつもりだったんだよな。想定外にあゆがソロプレイし始めてしまったから、それがし辛くなってしまったがその方針自体に変更はない。


「じゃあ、とりあえず鉱山に行ったあたりから説明するでいい?」

「鉱山? ああっと、できればどうして鉱山へ行こうとしたのか、から説明してくれると助かる」

「そう」




 夕飯が出来てくるまでの間に、あゆが鉱山に行くことになった経緯とタマゴを手に入れた経緯を説明してもらった。


 指名手配プレイヤー残りの3人を捕まえたのがあゆだったのは、ある程度想定内というか想像の範囲内だったのでそこまで驚くことはなかったが、セントリウスの街にいる鍛治師というか防具師であるガルスとそこそこの仲だったことには驚いた。

 アユが装備している装備はフードの所為でほとんど見えないのでどんな物を装備しているのかはわからないが、少なくとも現在手に入る装備の中でトップクラスの装備を手にしていることはわかった。


 セントリウスに住んでいる防具師のガルスといえば、セントリウスの総合ギルドから紹介されないと滅多に装備を作ってくれない住民だ。フラグ系の住民ではないようで紹介がなくても会うことはできるがあまり注文を受けたという話は聞いていない。何かしらの条件があるのか、今は検証中らしいが、おそらくカルマ値とギルドランク、後はエリアBOSSの討伐状況のどれか、もしくは複数が注文を受ける条件になっているのではと言われている。


 俺らもギルドから紹介してもらい防具を作ってもらったが、今プレイヤーの中で一番の防具職人よりも1段か2段は上の装備を作ってくれる。それもデザイン込みで。

 それもあって、紹介のないプレイヤーが押しかけて無理を押し付けようとしているという話はよく聞く。そうした奴らの大抵は近くに突然ポップした衛兵にしょっ引かれるのだが。たまにパーティーメンバー総出で衛兵の行動を妨害して無駄に抵抗する奴らがいるらしいが、そういった輩は衛兵にしょっ引かれるだけでなくUWWO内で半日ほど牢屋に押し込まれている。その上でガルスの店からブラックリストに入れられて店自体に入れなくなるから、馬鹿な行動でしかないんだがな。あの世界ならあのやり方でもどうにかなるとでも思っているんだろうか。


「あゆはログインしたらすぐにこっちにくるのか?」


 夕食後、俺が座っているソファの隣でまったりしているあゆに聞く。


「その予定」

「となると着くのはこっちで1時間半後くらいか」

「んーん。ゴフテスは倒さないから2時間くらいだと思う」

「あ、そうか。タマゴ持ちながら戦いはしないか」

「ん」


 タマゴを持ったまま攻撃を喰らったらどうなるのかはわからないからな。下手なことはしないに限る。そうなると今ログインすればUWWO内でアユと合流するのは4時間後か。


「それじゃあ、俺はこれからログインしてくる。アユへの返済用の素材もまだ足りていないし、タマゴと交換する用のアイテムも集める必要があるしからな」

「タマゴは別にいいのだけど」

「いや、流石に他のメンバー……俺も含めてだけど、受け取る側がそれじゃあ納得できないし、他のプレイヤーにバレたら面倒なことになるから、ただは無理だな」


 俺の話を聞いてあゆから面倒そうにしている雰囲気を感じるが、理解もしているようでそれ以上何をいうことはなかった。


「それじゃ、部屋に戻るか……そういえばあゆ」

「ん?」

「ここのところずっとログインしているけど、体大丈夫か? 毎日連続ログイン時間ギリギリまでってことは、ほとんど体動かしていないだろ? 体鈍っていないか?」


 俺は長時間ログインしていると所々体が痛くなる時があるから、それ以上にログインしているあゆが同じようになっていないか不意に心配になった。


「大丈夫。毎回ログイン前とログアウト後にストレッチしているから」

「不調がないならいいが、何か変なことがあったらしっかり確認しろよ? 面倒だからって放置したら余計面倒になることだってあるんだから」

「ん。わかってる」


 最後、しっかりとこっちをみて返事をしたから気をつけてはくれるだろう。まあ、元から気をつけているのだろうが。

 そうして俺は部屋に戻り、すぐにデバイスを被ってUWWOの世界にログインした。


どうでもいい事ですが

春樹ファルキンは身体が固い

あゆな(アユ)は身体が柔らかい

男女の差とかではなく関節がという意味

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