表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
156/249

第21話 コロニー殲滅

 

 鳴き声が聞こえたと同時に背後から何かが飛び掛かるように地面を蹴った音が聞こえたため、咄嗟にダメージを受けやすい上半身、特に頭部を守るようにしゃがむ。

 そして、一瞬の間をおいて私の頭上を何か白い塊が通り過ぎて行った。


 ぱっと見の見た目とタイミングからしてコットンマウスの上位種なのだろう。どれくらいの強さなのかわからないのですぐさま【鑑定】をする。



[(獣)マザーコットン LV:20 Att:―]

 HP:820 / 820

 MP:30 / 30

 スキル:■

 状態異常:―



 私の目の前数メートル先に着地したマザーコットンはすぐにこちらに向き、私に向かって唸り威嚇している。


 マザーか。まあ、見た目も大きくなったケサランパサランだし、そんな感じかな? 普通のコットンマウスに比べて10倍くらい体積ありそうな感じだし、HPも20倍以上ある。LVも高い。


 LV20ならこのエリアで最高LVかなぁ。フォレストベアもLV20を超える個体は遭遇していないし、たぶん第2エリアに出現するモブエネミーの最高LVは20なのだと思う。


 まあ、HPもそこまで高くないし、そう手古摺る相手でもないよね。そう判断して突っ込んで来ているマザーコットンに鞭を振るう。移動速度はコットンマウス同様に早いので

 そして鞭がマザーコットンに当たった瞬間、ぼすっ、というかもふっといった感じの音がなったような気がした。


 ん? あれ? 攻撃が当たったというのにマザーコットン、痛がると言うかダメージを受けたような素振りが一切ないのだけど。

 慌てて再度【鑑定】を使う。


 攻撃がファンブルした訳ではないようで、HPはしっかり減っていた。……たった5だけど。


 VITがとても高いエネミー……にしてもダメージが少なすぎる気がする。特性持ち……となれば攻撃を当てた時の感覚からして打撃耐性? 最悪物理耐性の可能性もある?

 確か第1エリアに居る羊も同じように打撃・斬撃耐性持ちだったらしいから、似たような感じなのかもしれない。


 羊には普通に魔術系の攻撃で倒せるらしいけど、魔術系の耐性もある可能性があるので試しにシャドウニードルを使う。

 これでダメだったら微毒か毒状態にして持久戦になるなぁ。


「ちゅー!?」


 鳴き声、というか悲鳴からして普通にダメージは入ったようだ。となればおよそ羊と同じだろう。だったら話は簡単だ。


「バインド」


 大きめのダメージを受け怯んでいる内に【鞭術】のスキルを使い、マザーコットンを拘束する。マザーコットンもSTRは低いのか人工血液で作られている鞭の拘束から逃げ出せそうな気配はない。


「ダークショット、ダークランス」


 拘束している鞭ごと攻撃しマザーコットンにダメージを与える。微妙に人工血液のDuが減ってしまうけれど、水筒の中に戻してMPを注げば回復するので問題はない。


 HPは残り半分くらい。3発食らって400ダメージとなればむしろ魔術系の耐性は低い方だよね。まあ、低いと言っても攻撃を当てるのが難しいエネミーだから、拘束系のスキルか魔術系の範囲攻撃スキルを使わないとそう簡単に倒せるとも思えないけど。


 拘束が解ける前に倒さないと、また拘束するのは面倒だ。それにたぶんだけど、マザーコットンを倒せば周囲にいるコットンマウスも居なくなると思うのだよね。


 というかマザーと戦っている間も増えているのだよ、あいつら。

 なんだろう。近くに巣でもあったのだろうか。マザーコットンも突然出て来たし、近くに穴でもあるのかもしれない。


 さすがにもうコットンマウスの素材は沢山ある。あればあるほど良いのは否定しないけれど、いまのところ手に入れた数でも使いきれるかどうかが怪しい。



「ダークバースト」


 少しマザーコットンに近付いて【闇魔法】のスキルである[ダークバースト]を使う。


 このスキルは【闇魔法】熟練度10%の時に習得したものだけど、使い勝手が微妙だったので今まで数回しか使っていない。威力はそれなりにあるのだけど、発動までの時間が他に比べて長く、射程が自分を中心として2メートル半と微妙に短いため、私の戦い方にあっていない。

 今回は例外だけど、まず囲まれるような戦い方はしないし、近接戦闘もそうしない。そもそも発動まで時間が掛かる時点で近接戦闘向けではない。本当に囲まれた時に使うスキルなのだ。


 攻撃を受けて残りのHPも1割を切りマザーコットンが瀕死の状態になった。

 最後にダークボールを放ち、それに当たったマザーコットンはポリゴンになって消えて行った。



「ふぅ」


 マザーコットンは倒した。予想の通りならコットンマウスも居なくなるはず……だ。


 ……減っていない。

 むしろ増えている気すらする。いや、増えているな、これ。


 まじかぁ。どう見てもBOSS的な位置付けのエネミーだったから、そうだと思っていたのに違ったらしい。


 コットンマウスが増える。というか、目の前に生えている樹の根元にある穴から出てきていた。


「巣、近っ!?」


 こんなに近くに巣があったらそれは減らないよね。まあ、子だくさん過ぎる気もするけど、イノシシの時も無限増殖ってくらい出て来たからなぁ。


「「ちゅおおぉぉお!!」」


 おかしいな。さっきマザーコットンが出現した時と同じ鳴き声が後ろから聞こえて来る。しかも2重で。


 すぐさま後ろを向き迫ってきている2匹を確認する。そして振り向きざまに見た方向、迫りくるマザーコットン×2の向こう側には今見ていたものと同じような穴が2つ。


 巣、1つじゃなかったのね。

 というかここ、コットンマウスのコロニーだったのか。なら減らないのも仕方ないよね。


 それから1時間程かけて合計4匹のマザーコットンと1000に迫るほどのコットンマウスを討伐した。ついでに巣穴ももう出て来れないように【毒魔法】を使って潰した。意味があったかどうかはわからないけど。


 最後にもう1匹マザーコットンが出て来た時は正直、面倒を通り越して虚無になりかけていた。5匹目が出て来たらさすがに逃げていたと思う。


コットンマウスは人気エネミー。ただし、愛玩目的。見た目はアンゴラウサギのネズミ版? テイムスキル持ちの中で3割くらいがテイムしています。というより、コットンマウスをテイムするために【テイム】を取得したプレイヤーが割といる

第1エリアのコットンマウスはノンアクティブ

第2エリアのコットンマウスはアクティブ

コットンマウスのHPはLV10で50くらい。凄く雑魚だけど数が多いのが特徴


コットンマウスの攻撃でほぼダメージを受けていないアユですが、素のVITの状態で攻撃を食らった場合、普通に死に戻りしています。胴と腰の装備、コートが優秀って話

あと、マザーコットンは別に魔術系の攻撃が弱点という訳ではありません。普通にMND高めのエネミーです。ダメージ量はアユのINTが高いのと装備の効果によるものです。※装備は3章第17話のままです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 数の関係がGのそれなんですが
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ