EP66 クリスマス・イブの死闘 地球人類VS ナイアルラトホテップ 後編 *
2023年12月24日 午前0時30分
「大佐、みんな無事であるか! 」
帝国国王陛下が、劣勢に苦しんでいるSHADOに状況を聞いてきた。
「陛下、我々は無事です! しかしシールドが持ちません!」
「それはまずい事になっておるな! しかし地球脱出艇の姿がない。いったいどうなっておる!」
「それがウィルマ教信者も、地球の一般人も様子が変なのです。脱出艇は全艦が、空港から飛び立っていないのです!」
中国が独自開発した脱出艇"素手等1000好さへ、その姿がなかった。
「これはいったい、何がどうなっておる!」
「陛下、このままではシールドBENZAが過熱、爆発して焼失します!
最大パワーの信者の祈りがなくては、現状を変える事は不可能!」
うぐっ!
暗黒帝国国王陛下も、ここに至ってはSHADOを援護できない。
いかに"エンド・オブ・プラネット"ミサイルを何本搭載していようと、ナイアには無力。
ビイーン ピイーン
「タケシ! 空間からミサイル多数出現!
帝国旗艦、G-ツェッペリン、アンドロメダにミサイルが向かているわ!」
「こちらタケシ! 大佐、少佐、陛下、こちらで空間から出現した、ミサイル多数を確認しました! 防御されたし!」
「タケシ、こちらのレーダーには反応がない!」
「おう、タケシ、何かの間違いじゃないのか? アンドロメダのレーダーにも反応がないぜ」
「それは本当か! 我がキング・ノジャロゥリにもレーダー反応がない!」
救世主タケシの波動がCOMETのレーダーに作用して、見えないミサイルを捉えていた。
そして、マリアがいち早く接近に気づいたのだ。
「みんな聞いて! 空間ステルスミサイルよ! 各艦シールドをフルパワーにして!」
しかし通信が遅かった。
ズカズーン、ドドーン、 ドジャァァァ
「くっ! 3艦とも何発か被弾している!」
「マリア、各艦の被害状況を!」
各艦では
「ダメージ・コントロール! 着弾場所の隔壁閉鎖! 急げ!」
共通の艦体維持命令が飛び交っていた。
*お前たちに邪魔されたくないのでな。大破せぬ程度に手加減しておいた。見えない空間からのプレゼントは、お気に召したかね?
しかし、私に感謝して欲しいくらいだな。
地球人類滅亡という、クライマックスに観客がいなくては、興ざめではないか。
ふん、そこは舞台の特等席、とくと地球人類の最後を見届けるがよい!
知っているだろう? 私はゲームが大好きな事を!
くっはっはっは
ショーが終わった時、3艦とも宇宙のチリにしてくれる。絶望の後の魂は格別に美味いからな!
「大佐、エンジンの一部と、クローンボディ素体を収納してある倉庫区画をやられました!
しかし、なんとか航行は出来ます!」
「大佐ぁ、アンドロメダも似たような状況だ!だが航行はなんとかなりそうだ」
「うむ、余の方もエンジン部分をやられたがなんとか立て直せる! しかしこれでは3艦とも手も足も出ないダルマではないか!どうする大佐?」
「W芽衣が何か秘策があるようだ。今はそれに賭けるしかない!」
「マリア、今の通信聞いた? 何だい秘策って」
「あっ、アレをこれから発動するのね! 」
「ご主人様、これからW芽衣とマリアのとっておきをご覧にいれるわ! ご主人様は、祈り続けてて! チュっ」
どさくさに紛れてマリアがチューをしてき来た。
悪くはない柔らかい感触についデレる。
そしてマリアがW芽衣に暗号を送る
「トラ・トラ・トラ!」
「OK! マリア、いくわよ~。VRウィルマ顕現せよ!」
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世界中に建てられた女神ウィルマ教教会。
その礼拝堂の奥には、敬愛と信仰の対象である女神ウィルマの像が立っている。
実はSHADOは各教会信者たちの様子を見るため、映像監視カメラを密かにウィルマ像に設置していたのだが、ここで逆転の発想をしたW芽衣。
カメラのレンズから、3D立体女神ウィルマを投影したのである。
ホログラムより緻密、ウィルマがそこに立っているかと思うほど精巧なものだった。
そしてCOMET操縦席からマリアが話すと、ウィルマのあの慈愛に満ちた声に変換される。
大佐の言った裸眼VRがヒントになったのだ。
「敬虔なる私の信者たち、何に怯えているのでしょう」
目の前に出現した、女神ウィルマさまに教会に退避していた信者たちは驚愕し、涙した。
「おぉぉ、女神ウィルマさまぁぁ! 私たちは信じておりました! 女神ウィルマさまが邪悪な偽りの女神ではないと!」
「あれマリア、何独り言を言っているの?」
「しっ! 黙って!」
「おぉ、女神ウィルマ様、失礼しました。黙ってウィルマ様のお言葉をお聞きしますので」
「コホン、あなた方は邪神に操られていたのです。今、地球人類は最大のピンチに直面しています。さぁ祈りを捧げてください! 今すぐにです! NOW !」
「ははぁぁぁ!」
地球に存在する全てのウィルマ教教会から、善の霊子が飛んでいく。
「大佐、PS-BENZAの善なる霊子出力が70%に上昇しています!」
「なんと! W芽衣、お前えたちの仕業か?」
「「えへん! 勝利のV !」」
*ぐぅぅぅ、体が焼ける。何だ? 善の霊子ビームが私に纏わりついてきたぞ。いったいどうしたと言うのだ!」
「このままではまずい。こうなればパワーを3倍にして、今度こそ人類を滅亡させてやる!」
悪の霊子で更に増幅させる事は、邪神にとっても最終手段だった。何故なら己の悪の霊子を使用しているからだ。
*むう、どちらが持ち堪えられるか、消耗戦になったな!。これはこれで面白い!
邪神ナイアルラトホテップのもう一つの誤算。それは悪の霊子パワーを上げれば、地球人類を洗脳しているパワーが落ちるという事に。
空港で脱出艇を占拠していた人間たちが我に返った。
「儂らは、私たちはいったいここで何をしているの?」
その中の60%は女神ウィルマ教の信者である。
「私たちは何かに操られていた! もう騙されてはいかん。みんなここで女神ウィルマ様に祈りを捧げようぞ!」
「そうだ祈りだ。女神さまは地球の危機に、祈りを捧げよと仰せだった!」
地球人類が女神ウィルマに祈りを捧げる。
すると善なる霊子が更に飛んでいく。
「大佐、PS-BENZA出力100%を突破、更に上昇120%!!」
「なに? いけるぞ!」
*グウァァァァ、焼ける! 体が焼ける!
くそっ! 悪の霊子パワーガンマー線バースト3倍返しだぁぁぁ!
「大佐ぁぁ、シールドBENZA、PS-BENZAの外板が赤熱、溶解しています!」
「何! もう一息で邪神ナイアを倒せるというのに!」
「タケシ、最大の愛を込めて祈って!!」
その時、地球からではなく宇宙の彼方から、善なる霊子が降り注いで来た。
キラキラと輝く霊子の量は、地球人類の祈りから照射される善なる霊子の約2倍。
3倍の善なる霊子が邪神を包み込んだ。
「グァァァァー! 」
「何故だ! 何故なのだ! なぜ邪神のこの私が、私が滅ぶのだ!」
消滅寸前の邪心ナイアルラトホテップの前に、何者かが顕現した。
「分からんか。この大宇宙は創造神が作ったのじゃからな、そんな簡単な事すら理解できなかったか?」
「私は宇宙に混沌と無を齎す邪神、闇の神なのだ! 闇は私の領域である筈! それなのに何故!」
「哀れよのう、ナイア」
「哀れみなどいらん! 俺は元々お前に見捨てられたのだ! 邪神に身を落としたのは、すべて創造神、貴様のせいなのだからな!」
「ふむ、儂がナイア、お前を見捨てたと思っているのか」
「あ、あたり前だろう! 俺はあんたの言い付けを守り1万年間、宇宙を放浪した。食うものも無く消滅しかかっていても、お前は俺に何の言葉もかけなかった。あの時俺は呪った、糞神、お前をな!」
「儂に見捨てられたと思うてか? ならば教えよう! ナイアルラトホテップ」
「 お前は儂の分身、儂の一部じゃ!」
ナイアルラトホテップの憎悪の霊子が、善の霊子に変換されていく。
「どういう事ですか! 創造神さま!」
「うむ、お前は儂の体の一部じゃった」
「儂は創造神ではあるが、完全では無かった。
儂にも闇の霊子が存在していてな。儂は完全な創造神になるべく、闇の霊子の集合体をナイアルラトホテップとして切り離し、宇宙へ解き放った」
「儂から分離したお前は、当初こそ儂の言い付けを守る事が出来た......たった1万年じゃがな」
「儂には己の闇の霊子を善なる霊子に変える力はない。それが出来るのは善の霊子と悪の霊子が混在する人間界が必要だった」
「どうじゃ? 土壇場でお前は、地球人の善なる霊子と宇宙の善なる霊子に敗北したであろう?」
「争っていた国どうしが、手をとり助け合った。そこには何のエゴも私欲も存在しない、純粋な想いがあった事を」
「それが何か分かるか?」
*分かりませぬ!
「愛じゃよ」




