EP65 クリスマス・イブの死闘 地球人類VS ナイアルラトホテップ 前編 *
2023年12月23日 午後11時50分
地球衛星軌道上、地球防御シールドNEW-BENZA隊列の背後に移動するG-ツェッペリン3000とアンドロメダ2000。
大佐は、緊張の面持ちで、咥えたマニラ産葉巻から紫煙を吐く。
「決戦10分前だな!」
ナイアルラトホテップは、決戦時刻をSHADO本部のある日本時間に合わせている。
「ペテルギウス大災禍と、太陽からのSUVはマリアたちの再計算により12月24日の零時となっているのは偶然の産物では無く、ナイアルラトホテップの企みであった。
*ふふ、私が戦いの日時を、地球人が喜ぶイブに合わせてやったのだ。イブを迎えた瞬間の喜びの日に、地球人類が滅亡するようにな。
「W芽衣、地球防御シールドNEW-BENZA は準備出来ているな」
「「はい、PSコンバーター装備基が1000基、反射シールド機が1000基、全基スタンバイOKです!」」
「タケシの方も大丈夫だろうな?地球の運命は、救世主のあいつにかかっているからな!」
「はい、マリアがアビゲイルに代わり、共にNEW-BENZAコントロール司令船COMETに搭乗し、NEW-BENZA隊列の最前線で待機中です」
「うむ!」
SHADO本部司令船G-ツェッペリン3000と、スタイニー少佐のアンドロメダ2000は、NEW-BENZAの後方に陣取った。
暗黒帝国旗艦、キング・ノジャロゥリも、超強力宇宙線が及ばない位置で、COMET、SHADO艦隊を支援すべく待機していた。
「11時57分!」
ペテルギウス方面の宇宙が、ぼんやりと黄色味を帯びてくる。
「いよいよ始まる!」
「11時59分!」
「59、58、57、56・・
「30秒前でシールドNEW-BENZA U字型照射板OPEN!」
35、34、33、32、31、
「照射板全2000基起動!!」
「KOE溜め(ケーオーイー)センサー、同期開始!」
大佐の号令と共に、2000基のU字型照射板が唸りを上げた。
グゥイ~ン パカ グゥイ~ン パカ
続いてプラズマ核電池タンクから、ロール型チューブにエネルギーが接続される。
カラカラカラ・・ビリ
「プラズマエネルギー充填120%・・・更に充填 160% 180%
200% オーバードライブ準備完了!!」
同時にPSコンバーターを装備したNEW-BENZA1000基にも、プラズマ核電池パワーが供給される。
カラカラカラカラ・・ビリ
「善の霊子照射ドライブ全基準備完了!!」
「さぁ、地球人類の皆さん、祈りを捧げてください!!」
W芽衣が、SHADO指令室から地球にメッセージを送る。
8、7、6、5、4、3、2・・
0!!
「来ます!!」
「全BENZAシールド照射開始!! フルパワー!
シールドNEW-BENZA1000基の前に、ハニカム状の一基あたり100kmもの防御シールドが展開する。
それは、さながら宇宙に咲いたレインボーパラソルの花畑。
しかし、PSコンバーター付きのNEW-BENZAが、起動しているにも関わらず、善の霊子ビームを照射していない。
「タケシ、マリア、どうした! PS-BENZAが善の霊子ビームを照射していないぞ!」
マリアが叫ぶ。
「大佐、照射はしています! ですが予測した40%の出力しか出ていません!」
なに!
「むぅ、戦闘開始早々に!
ビーム照射量の初期演算ミスか!」
*ほう、私のマリオネットから逃れられる人間が40%もいたのか。少しばかり意外だな、人間!。
だが40%程度の祈りでは、私には届かぬのだ!
無駄、無駄、無駄!
戦闘の模様は地球人類に向け、LIVE中継している。
その時、クルーが叫ぶ。
「大佐! 地球からミサイルが発射されました!」
「ミサイル3! 接近!!」
「どこの馬鹿が! ミサイルはどこに向かっている?」
「発射したのは、独裁軍事国家ブラック・フォーン! ミサイル種別・・・」
「核弾頭ミサイル テポドン!」
「なんだと! 核ミサイルなど、霊子の集合体であるナイアルラトホテップには効かん!
その上、テポドンでは奴まで届かん! 衛星軌道上で爆発するぞ!!
くっ! 我々の背後の衛星軌道上で爆発すれば、SHADOもBENZAもタケシも道連れになる!」
「何を考えておる! 黒電話書記長!」
* 油断したな! 敵は眼前の私だけでは無いのだよ。マリオネットでこんなマネもできるのだ。
「大佐、G-ツェッペリン3000も、アンドロメダ2000も、この位置からの迎撃は不可能! 回避を!」
「ダメだ!もう間に合わん!」
ナイアまで届く事のない核ミサイルテポドン3発が、SHADO背後に迫った。
0.5秒!
「ここまでか!!・・・」
パァッ パアッッ パァッ
ズドトドォォォ
「好! SHADOの諸君、無事あるか?」
地球からの無線通信が入った。
「好! 」
「あなたは、中国 周遠近主席!!」
「ミサイルを撃墜したのは、中国が地球衛星軌道に展開していた、高熱レーザー装備のキラー衛星だ。好!」
『むむ、相変わらず中国は汚ねぇ!』
口には出せない。
中国は極秘に、高出力レーザーを装備したキラー衛星を、既に多数配備していたのだ。
しかし、今はそのど汚さに救われた。
「周主席、礼は後だ! 今は戦闘中である! これにて失礼する!」
「好!」
「ふぅ~、助かったなマリア」
「よし、今度はこちらのターンだ!」
タケシは念を込めて地球に呼びかける。
「母なる地球よ、俺に力を貸してくれ。祈りのパワーが不足している。この想いを全人類へ!」
「芽衣、祈りのパワーが足りない原因は分かるか?」
「地球人が大挙して空港の脱出艇を襲撃しています! その中にはウィルマ教信者も多数いると思われます!」
「なんだと!」
アセンション波は発射され続けている。それに頑ななウィルマ教信者もかなり存在しており、かろうじてPSコンバーターに40%の善の霊子エネルギーを供給できていた。
「人妻芽衣、アレをやるわよ!」
「ふふ、ぶちかましてやるわ!」
タケシの祈りの波動は、救世主が持つ独特の波動、"グリップ・ハート"
女性にモテモテになる能力は、スキルのほんの一面である。
メインは文字どおり人の心を掴む能力なのだ。
そのタケシの祈りを地球が受け入れる。
地球は生きている生命体と言ってもよい。
そして全宇宙に存在する全てのものが生きている。
それを知らないのは、邪神ナイアルラトホテップ。
*「善なる霊子ビームが貧弱な今、ペテルギウス超強力宇宙線とSUVのパワーを上げてやろう。
私の霊子ボディを通過する事により、出力が2倍になる。
さぁ、食らえ! 人類滅亡のシャワーを!!
ビー、ビー、警報! 警報!
「大佐大変です! ペテルギウス超強力宇宙線とSUV照射量が2倍にブーストしています! 」
「なに! 」
「こちらマリア! 大佐、シールドBENZAの外板が赤熱しています!
溶解するのは時間の問題です! 何か対策を!」
W芽衣「「大佐、BENZAをオーバードライブした事も原因です。直ちに出力を定格に戻す事を進言します!」」
「それではBENZAが防ぎ切れなかった超強力宇宙線とSUVが、地球に降り注いでしまう!!」
「今BENZAを焼失する事は、地球人類の滅亡を意味します!
時間を稼ぐ事を優先しましょう! 後50分絶える事が出来れば、勝機はあります!」
「むむぅ、やむを得ない! シールド出力ノーマルへ変更!」
「タケシ! 中継BENZAに命令を出せ! オーバードライブ解除、出力100%だ!」
「BENZA BLOCKの効果が50%に落ちた。BENZAを通過した宇宙線とSUVにより、地球人類は大きな被害が出るだろう」
「BENZAよ!、後50分! なんとか耐えてくれ!」
SHADOクルーは必至に祈った。




