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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
59/70

EP57 幕魔

挿絵(By みてみん)


 今から1万年前。

広大な宇宙空間を放浪する旅人がいた。

*「お腹すいたよぉ~、何か食べようよぉ~」

*「すまない我慢してくれ、獲物が全くいないんだ。くそ、どこにいるんだ!」

 ある動物の魂は、人間のそれに良く似ている。

しかし、滅多に見つからない為、宇宙空間を放浪していたのだ。


*「確かに限界よ。最後に食べたのは1年前だもの」

*「俺はこんな宇宙空間で、まだくたばりたくねぇな! 手近なとこで、あいつら食っちまおうぜ!」

*「丁度目の前に手頃な惑星があるじゃねぇか!」


*「ダメだ! そんな事をしたら、益々宇宙の嫌われ者になってしまう」


*「それはそうなんだけど、僕たちだって生存のために食べなきゃ、宇宙から消滅しちゃうんだよ。人間だって生きる為に動物を殺して食べてるんだよ、それは許される事?」

*「あの時、創造神様から言われた事、忘れたのか! 人間を殺めることは決して許さんと」


*「そんな身勝手な! じゃあどうやって生きていくのさ! こんな嫌われ者を創造しておいて、創造神様の糞神様は何が面白いと言うんだよ!」


*「創造神様はこう言われた。お前が宇宙で生きる理由を、お前自身が見つけてみよと・・」


*「ケッ、謎々なんて真っ平御免だぜ! 俺はただ腹を満たしたいだけだ! それが何故悪い!」


*「確かにそろそろ限界だ。創造神様はここ1万年、何も教えてくれないからな」


*「おい見ろ、あの惑星からうじゃうじゃ戦艦が出て来たぞ! 何隻いる?」

*「ざっと1000隻!」


*「こちらに向かって来る! 奴等攻撃態勢に入っていやがる!」


*「あれは霊子破壊ビーム砲! あれを食らったら永久に消滅してしまう!」

*「どうすんだよ!」


 ギユォォォォォォォ!

 ドシューン、ドシューン

*「奴等攻撃してきやがった! 回避出来ん!」

戦艦1000隻からの一斉射撃。逃げ場などなかった。


*きゃぁぁぁぁ!

*うわ~ん!

*糞ったれぇぇぇ!

内宇宙空間に閃光が煌めいた。


体がバラバラになって千切れていく。

意識が遠のく中で

*「創造神様、この1万年、あなたの言いつけ通りにして生きて来ました。しかし人間たちは・・・何故です? あなたは何を望んでいるのです?

どうせ何も答えてはくれないのですね・・・


*もし、この命が冥界に拒絶され、まだ宇宙空間に存在していたら、その時はあなたの言いつけに背きます。


 もう意識が消えそうです。さようなら、創造神様。


******


あれからどの位の時間がたったのか分からない。

気が付くと人間たちが戦っていた。


片方は十字の先端が曲がったマークがついた、キュラキュラと音を立てる鉄の兵器が動いている。

時折、砲塔から炎を出して砲弾を発射した。


空を見ると五角形の星のマークを付けた、先端に何か回転体を付けて飛翔する戦闘機が機銃掃射している。


目の前の兵士が、銃弾に倒れた。

よろよろとその兵士に近づいて、湧き出てきた魂を吸う。


*美味しい! 少しずつ意識がはっきりとし、破壊されてバラバラになった筈の体が再生しようとしている。


*まだ足りない・・・

だが新鮮な死体がゴロゴロしていて、食料には困らない。

飢えた獣になっていた。


死体から出てくる魂を、吸って吸って吸いまくる。

5体、10体、100体・・・もう何体の魂を吸ったか覚えていなかった。


満腹を自覚した時、体は完全に再生していた。


意識がはっきりとしたお陰で、この戦場で戦っている軍隊が、ドイツ軍とアメリカ軍と呼ばれる軍隊である事が分かった。


形勢はドイツ軍が不利。撤退している。

傍らのドイツ軍兵士の死体に憑依転移して、ドイツ軍本部に潜り込んだ。


そこにはトゥーレ協会とブリル協会という秘密結社の幹部たちがいた。


敗北が近く、緊急打開対策会議の最中だった。

更に死亡した協会研究者の体に憑依、転移してその秘密結社に入り込む。


*形勢不利な方に味方しよう。それにはここには無い科学技術を教えて、秘密兵器を作らせ、相手国の兵士を殺しまくる・・・それが平等ではないか!


*教えてやる科学技術は、お前たちが持っていない反重力理論だ。うまくやれ。


1945年、連合軍により戦火が悪化して、それらの技術で新兵器を開発する前に、ドイツ帝国は敗北した。


*タイミングが悪かったな、しかし沢山美味い魂を食えた。

これからも地球? 地球と人間が呼ぶこの惑星の人間を殺しまくり、当分の間食料に困らないほどの魂をため込んでおこう。


もちろん、人間自身の手で殺し合わせるのだ。ふふっ、これは愉快だ!

*糞創造神は言っていたな。自分で生きる理由を見つけてみよと・・

これだよ、これが生きる理由だよ! はっはっはははは。



戦後、その埋もれた科学技術は、トゥーレ・タキヨネーターとシューマンレビレーターと呼ばれた。





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