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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
57/70

EP55 初陣 試作COMET発進! 太陽SUVが来る!! *

俺は殺人事件が起きて意気消沈していた。

カロヤン大佐とピーマン医師に、俺の考えを話すが結果は俺の負け。


自室に戻るとマリアとパンツ王女が、俺を慰めてくれた。

ありがとう。やはりお前たちは最高に可愛いよ。

よしよし。

俺は二人を膝枕するのだった。

挿絵(By みてみん)


 2021年5月8日 午前10時


 俺はSHADO霊安室にカロヤン大佐とピーマン医師を呼んだ。

霊安室にはミューの遺体が特殊保存され、リサとミューの魂が封印された銀色のカプセルが二つ、墓標のように立っている。


 霊安室にいるのは、俺と大佐、ピーマン医師の3人だけだ。

「俺たちをここに呼んだ理由は何だ?」


「はい、大佐とピーマン医師に、俺の考えを聞いてもらいたいからです」


「ふむ、それは一連の殺人事件の事だろうな。それ以外にわざわざ、俺たちをここに呼ぶ理由がないからな」


 二つのカプセルは、黙して何も語らない。

回りくどい話は無しだ。俺はストレートに切り出した。


「これ以上の犠牲者を出したくありません! それでお願いがあります!」

「タケシが言わずとも、その想いは同じだよ」


ピーマン医師には分かる。タケシの次の言葉が。


「彼女たちのクローン・ボディを作ってください! 万が一の事態になっても、クローンで再生できる道を残したいんです!」

 『ビンゴ』


やはりな、と溜息をつきながら焦るタケシを見つめる。


「ふむ、タケシに好意を持っている女性は、ジョセフィーヌを除けば今のところ10人。天乃芽衣やマリアは、クローンからクローンを作るという事になる。だがそれは惑星連邦でも成功例がない事だ。失敗したら芽衣とマリアが死ぬリスクがあるぞ」


 ピーマン医師は文献で読んだ事があった。クローン体から更にクローンを作る実験過程で、何らかの拒否反応が起きて、クローンが死亡したという話を。


「しかしピーマン医師、狙われているのがタケシの正妻候補者たちだけとは限らない。暗殺者の狙いが、SHADOクルー全員かもしれないし、ひょっとしたら地球人類の誰でもいいのかもしれない」


『違う! 真犯人の狙いは間違いなく彼女たちだ。次も必ず正妻候補者の誰かを狙ってくる!』

 俺は心の中で反発していた。


「いや、もう一つ大きな問題がある。暗殺犯が既にSHADO本部内に潜伏している可能性だ。我々の動きや言動が既に暗殺者に漏れていると思った方が自然だ。そうだとすれば、今の俺たちの会話も聞かれている筈だ」


『その可能性は十分にあると思う。だけどクローンを作っておく事自体が、俺の精神が壊れるのを防いでくれるんだ。頼む大佐!』


「いずれにしてもだ、SHADO本部内にあるクローン・ボディ素体は10体程度しかない。お前の彼女たちだけの為に、貴重なクローンを作るとなると、クルーたちの反感を買う事になるだろう」


 大佐の言った事は正論だ。俺は何の反論も出来なかった。

地球人類の命の重さと、彼女たちを含め人類救済の為に、地球で救出活動をしているSHADOクルーの命は等価なのだ。

自分の欲求だけを通すのは間違っている。


「んぐぅ、その通りです・・だけど俺は俺は・・・」

 次の言葉は否定される。それが怖くて俺は声に出せない。


「タケシ、お前の気持ちが分からん奴など、SHADO本部には一人もおらん。それだけは分かってくれ」


「ぐっ 俺は彼女たちを失う恐怖に焦ってしまいました。しばらく頭を冷やしてもう一度打開策を考えてみます。申し訳ありませんでした」


 俺は二人に謝罪して、自室に籠った。


「ご主人様が私たちの事を考えて、大佐とピーマン医師に進言してくれたのは分かります。だけどそれは、してはいけない叶わない願いです」

「ミューがもしここに居たなら、私と同じ事を言った筈ですよ」


 マリアが俺にそっと寄り添い、髪を撫でてくれる。

傍らでは、同じ悲しみに暮れるパンツ王女が、持参したブラックホールを煽っていた。

ボルトはほぼ飲み尽くされている。


「今日は何故かちぃ~とも酔わんのじゃぁ。度数90 ブラック・ホオルがぁ まるで水じゃ」

「マリアぁ、お主も何か飲まんかぇ? ここは飲まずにおれんじゃろうにぃ。」


 パンツ王女が酔ってはいないと豪語しているが、呂律が回らず目が明後日の方を見ている。

極度に張り詰めた精神にアルコールが届いていないだけで、肉体は正直に反応している。


俺は悲しみに暮れるマリアとパンツ王女を、左右の膝で膝枕をしてやりながら、薔薇のような香りのする美しい髪を撫でてやる。


「俺も辛いが、お前たちの方がもっと辛いだろ? 情けない俺がしてやれる事って、精々がこれ位だ。意を決して大佐とピーマン医師に直訴したが、見事に返り討ちさ」


******


 その時、涙を流しながら、俺の膝に頭を乗せていたマリアの目が、カッと見開かれた。


「ご主人様 ! 、太陽がSUV(スーパーウルトラ・バイオレット)を放射する前兆を感知! 異常な活動状況から推測して通常の100倍、地球人に死者が出ます! 」


「俺とマリアはすぐに指令室へ向かう。マリア、地球に到達する時間は後どの位ある?」

マリアのコンピューターが超高速演算を開始する。


「後30分後にはSUVが地球に到達します!」

酔いの回ったパンツ王女を残して、俺はマリアとSHADO指令室に飛び込んだ。


「大佐、大変です!太陽SUVが!」


「マリアの情報はこちらでモニターしている。未完成だがBENZAを起動し対処する! 」


「未完成の地球防御シールドBENZA100基と、試作小型コントロール司令船COMETを発進させる! タケシ、すぐにCOMETに乗れ!」


「しかし大佐、俺はまだCOMETの事を何も知りません!」


「つべこべ言っている場合ではない! アビゲイルを同乗させる。すべては彼女の指示に従え! 今は緊急事態だ! すぐにCOMETに乗るのだタケシ!!」


「マリアがCOMETの搭載コンピューターをアシストするわ。ご主人様はアビの言うとおりにして、まず地球衛星軌道上まで急ぐのよ!」


「えぇぇい、迷っている暇などない! ままよ、初陣だ!」


挿絵(By みてみん)



 俺は船外服を着込んでCOMET 格納デッキに走る。

連絡を受けたアビゲイルが、既に発進準備を始めていた。


「エンジン始動前チェックは緊急のため省略します。

グランドクルー、APU始動に問題は?」


「始動OKです!」

「APU補助動力装置始動!」


 グゥィィィーンンンンンンンンゥゥゥゥ


「N3計、50%、スタートバルブ CLOSE!」


「さぁ救世主タケシさま、あなたの出番です! 左のキャプテンシートに座って酸素マスクとシートベルトを着用してください! 早く!」


「エンジンスタート NORMALです !」

グランド・クルーが親指を立てた。


「トゥーレ・タキヨネーター スイッチON !!」


「プラズマ核燃料流入確認」


「タキオン粒子プラズマエンジン点火!!」


 グゥオォォォォンンンン。

加給タービン回転数が轟音と共に更に上がる。


 アビゲイルはこれまでに、何度も試運転を兼ねて整備して来ている。

それにアビゲイルの具申で、単座から複座に改造した事が早くも役にたった。


『ふぅ~、当初の私の思惑とは違ったけど、複座にしといて良かったぁぁ』

 おいアビゲイル、当初の思惑とはなんだ?


「FCU フライト・コントロールと各制御システムはアビゲイルに任せて!」


「難しい事言うなアビゲイル、俺はド素人なんだ。日本語プリーズで」

 あっ、アビちゃんスルーしやがった。


 「発進準備完了! 射出カタパルト異常なし!」

「発進ゲートオープン!」


 暗くて長いカタパルトを誘導灯が照らす。

 パ パ パ パパッ


「こちらマリア。こっちでも航法制御とエンジンコントロールをしてるから、ご主人様のする事はありません。ご主人様の仕事は、地球衛星軌道上の防御シールド100基に思念を送り、SUVに対処するよう命令してください!」


「どうやって100基をコントロールするんだよ!」


「ご主人様の思った事がBENZAのAIが理解し、全自動で最適な行動をします。とにかく行動あるのみ! マリアとアビゲイルを信じてください!」


「COMET発進!!」

アビゲイルの声と共に、タキオン粒子プラズマエンジンが吠える。

 ズォォォォォォォンンンン


試作品の為、まだ加速重力低減ダンパーが未調整なのか、体が強烈なGでシートに押し付けられる。


「くぅぅぅぅ」

旅客機の離陸時に感じるGなど問題にならない。

2秒ほど発進Gに耐えると、今度は急角度で上昇する強烈なGが襲ってきた。

 ぐぅぁぁぁ! 気を失いそうだ。

「タケシさん、しっかりして! 」

アビゲイルが叫ぶ。


 アビゲイルはBOIN BOINGの技術者とテストパイロットを兼ねている為、なんとか踏ん張る事が出来る。


「ご主人様、もうすぐ地球衛星軌道に達します。気を確かに!」

マリアも叫ぶ。


挿絵(By みてみん)


 地球重力が弱くなるのを感じた時、COMETは既に衛星軌道上に達していた。

「船内重力場発生装置 ON」


「COMET搭載のSUV反射シールド展開! 出力80%」

アビゲイルがシールドを展開すると、COMET全体がハニカム状の黄金色に包まれた。


「これがSUVを反射して、船体を守ってくれます。BENZAもこれと同じエネルギーシールドを展開し、地球を守るのです」


衛星軌道上にはテスト用BENZA100基が並んでいた。


「さぁタケシさん、BENZAに思考を集中して命令してください」


「これだけの数では焼石に水、ですから人口が密集している都市上空にのみ、BENZAを展開するイメージを送るのです。後はBENZAのAIが最適行動をとってくれますから。さぁ早く! 残り15分しかありません!」


地球を見ると、太陽に向かって日本を中心にした太平洋が大きく映っている。

ありがたい。 今の時間帯は太陽に向かっている陸地が少ない。日本や中国、韓国、アジアにSUVが直撃するが、逆にBENZA展開の場所が特定しやすい。


 俺は日本とアジアの都市を守るイメージをBENZAに送った。

すると、それにすぐ様BENZAが反応し


 " RYOUKAI MY MASTER "


100基を統率する中枢BENZAから、機械合成された返事がきた。


BENZAが行動を開始して、日本とアジア方面に散らばっていく。


「マリア、BENZAのシールドはどのくらいの範囲で展開できる?」


「テスト機ですので、1基あたり10km四方のシールドを展開します。完成したBENZAは100km四方で、1000基を展開する計画です」


「おい、10kmしか展開できないテストBENZA100基で、どれだけ都市を守れるんだよ! 全く焼石に水じゃねぇか!」


「タケシ、今はやれる事をやるしかないの! ごちゃごちゃ言っていると、宇宙空間に放り出すわよ!」


アビちゃんが怒っている。みんなそれは承知しているからだ。


「ようし、今はやれる事をやろう。BENZA、位置についたら最高出力でシールドを展開、直接シールドでダイレクトに受けず、角度を少しつけて受け流すように反射するんだ」


 これは俺の感だ。今はその感に賭けた。


 命令と共にAIが各自最適効率を計算して、COMETと同じハニカム状のシールドを展開した。


「やはり全てをカバーできない。黄金色のシールドがカバーしきれない大陸がたくさん見える」


「残り2分! カウントダウンを開始します」

マリアの声が緊張している。


「ここまで来たら、後はタケシの想いの強さが必要よ。いい?、強く地球を守ると念じて! それにより、タケシの波動が地球の波動と共鳴するの。さぁすぐに初めて!」


アビ、理屈は分からんが、念じればいいんだな!


 残り1分・・59 58・・

「さぁ強く念じるのよ! 救世主!」


 俺は地球を守りたい。それと同時に死んでしまったリサ、ミューの顔を想い浮かべた。

「くっそー! もう誰一人死なせたくない! リサ、ミュー、皆、母なる地球よ、俺に力を貸してくれー!」


 COMET操縦席で俺は絶叫した。


「SUV到達、来ます!!」


マリアの叫びと同時に、黄金色のシールドがキラキラと輝きだす。

SUVがシールドと激突して、眩いハローがCOMETを照らしている。


くぅぁぁ、眩しい!

「電子シャッターON  タケシ、バイザーを降ろすのよ! このままでは失明するわ!」

 

 COMETもBENZAも、強烈なSUVの放射で光輝いている。

「アビ、シールドのエネルギーは何分もつ?」


「マリア、聞いてる? SUVは後何分続くの?」

「推定3分!」


「タケシさん、シールドのエネルギーも後3分しか持たない。ギリギリの勝負になるわ!」


『まずいわ、COMETの外販はまだ超合金Z、New-Zでもない。 3分を超えたらCOMETはUSVシャワー耐えられない、まずい!』


「再計算予測! 4分!」


「なんなのよ! もうダメ。今のCOMETでは、私たち二人は黒焦げになって死ぬわ・・・あと3分と少しね。隣ではタケシさんが念を飛ばし続けているけど、私たち一緒に死ねるんだわ。でも生きてもっとタケシさんと過ごしたかった・・・・・・」


アビゲイルが両手を胸に当て、静かにその時を待っていた。


グゴゴゴ

バイザーをしていても、SUVが放つ光は感じる。

それが突然の暗闇に変わった。


「苦しまずに死ねたのかな? 天国は真っ暗な場所にあるの?」


突然COMETのスピーカーから男の声がした。

「よお、生きてるか救世主!」


「アンドロメダ2000です!  アストラル・ブルー号がCOMETの盾になっています!」

状況を把握したマリアが珍しく興奮している。


「あー、俺は艦長のG・スタイニー少佐だ。俺たちのシールドも15分位しかもたん。トラクタービームで地球の裏側まで牽引してやるから、まだ死ぬなよな。救世主さまよ!」


マリアの再計算どおり、1分程度でSUVの照射が終わった。


「少佐、ありがとう。もう大丈夫ですから、俺たちはこのままSHADO本部に帰還します」


「ふっ、まぁそう連れない事を言うなよ。我々アストラル・ブルー号も本部に直行するから、このまま連れてってやるよ!」


 アストラル・ブルー号は、地球衛星軌道上で長期に渡り、ステルス状態のままペテルギウスを観測をしていた。


「お~い、カロヤン大佐殿、これから救世主様を連れて行くから、そこんとこヨロシクな!」


「スタイニーか! 今回はお前に助けられた。感謝するぞ!」

「なぁーに、それなら美味い酒でもを奢ってくれよ。詳しい話は酒の席でどうだ?」


「ふん、仕方がない。それなら俺の秘蔵中の秘蔵、限定生産SUPER VSOPプレミアムハイDXを出すしかないな」

(長ぇ名前の酒だな、中身ホッピーと入れ替えてねぇだろうな)


「SUPER VSOP!!! いよっ! 大佐は本当に太っ腹!!」

今のは沸いて出たアインシュタイン博士とニコラ・テスラ博士、ピーマン医師だ。


 あんたたち、どうして酒の話だけで沸いて来るの??


またもや、俺の部屋で第3回 冥福を祈る飲み会が開催される事になった。


しかし、今回は酒を飲みながらと言っても、話す内容は深刻だ。

100基の未完成BENZAがカバー出来たのは、ほんの僅かの都市上空だけだった。


 日本のニュース速報では、突然の太陽からのSUVで、退避が間に合わなかった子供から老人まで、多くの犠牲者が出たと報道している。

アジアでも大勢の国民と家畜がSUV被爆で死んだ。


 BENZAシールドが役に立ったのか、立たなかったのか。この結果を反省材料として、来る2023年のペテルギウス大災禍に備えなければならない。


「カロヤン大佐、せっかくの酒だが勿体ない。安物で奢ってくれ」

「そうだな、あれはまた別の機会にしよう」

おはようございます。

今日もご来店くださいまして、ありがとうございます。

昨日は、アルパカで色々と試行錯誤してましたが、使い方にまだ慣れません。


今日の話には練習したイラスト3点をアップしました。

ひどいものですが、練習あるのみです。


では今日もはりきっていきましょう!!

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