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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
54/70

EP52 リサ・アイ~ン・ガバチョ殺人事件 *

リサが死体で発見された。

死因は急性心不全・・・そんな馬鹿な

俺の感がそれを否定する。リサの死には何か恐ろしい存在が絡んでいる。


それを暴かなければ第二のリサが!

そんな事は断じて許さない。俺の大切な彼女たちは、俺が守ってみせる!!



挿絵(By みてみん)


 2021年5月3日


 *「フッ、タケシは救世主の使命を今まで以上に自覚したな。それに正妻候補者たちへの真実の愛に目覚めたようだ。ふん、これで面白くなってきたな! ここらで本番前に少し刺激を与えてやろう」*


 地球人類救済プロジェクトが順調に運んで、彼女たちとの愛を深めた俺は、この幸せな時間が、どうしても長く続かない恐怖に襲われている。


「何をそんなに浮かない顔をしている? 全てが順調に運んでいるというのに」


「ああ、カロヤン大佐。そうですね、そうなんですが・・・・」


「おい救世主、具合が悪いのなら保健室まで来い。今なら特別に待ち時間ゼロだぞ」


 声をかけられた方を見ると、ピーマン・ニガテヤネン医師、アルベルト・アインシュタイン博士、二コラ・テスラ博士が現れた。

「み、皆さん、どうしたんですか? GWに帰省しなか・・・」


そうか、β版クローンの博士たちは過去の人だった。今更帰る所なんてありはしない。


 博士たちの家族は既にいない。それを割り切って今まで生きて来たのだ。俺もクローンの同類だが、今は彼女たちの存在が俺の心の支えになっている。


俺に比べたら博士たちは、純粋に地球人類救済の使命だけで生きているのだ。

 全てが終わった時、博士たちはどうなるのだろう。


「あー、俺が帰ったら医者がいなくなってしまうからな、自主的に残留組の仲間入りをしただけだ。気にするなよ救世主!」


 俺の方が彼らより恵まれた存在なのに、周りの人達が皆俺に気を使ってくれている。本当に感謝してもし切れない。


「大丈夫ですよピーマン医師、少し考え事をしていただけですから」


 体裁を繕って、俺は自室に戻ると、また心に渦巻く不安感が顔をもたげてくる。

まだ時間は昼を過ぎた所だが、今日は70度のウィスキー"ナイトメア"をロックで煽る。

 1杯、2杯、くぅ、喉と胃が焼ける。


そして3杯目を煽ろうとする手をリサが止めた。


「どうしたんですか? 観光ガイドに掲載されてるお菓子屋さんの事で聞きに来たら、こんなになってるなんて。飲み過ぎても何も解決しませんよ」


 (分かっている。これは酒に逃避しているだけだ)

強いアルコール度数のため、酔いが早い。

意識がジーンとぼんやりして来る。


リサは若いのにガバチョ銀行最高責任者だ。経営の難題に直面すれば、酒で誤魔化す事も多々あった。ビジネス社会は、人の心の読み合いで神経が擦り切れる世界だ。

 そんな彼女が、今は経営者の顔になっている。


*「ほほう、この小娘、若いのになかなか骨がある女だな。タケシとはまだ知り合ったばかりだが、最初の生贄には丁度良い*


*毒、刺殺は検視されれば他殺とバレる。一番自然なのは急性心不全だろうな、ふふ、それでいこう*


 翌日の5月4日、変わり果てたリサが彼女の部屋で発見された。

「ピ、ピーマン医師、リサは何故亡くなったのです?」


 全員が保健室に集まっている。

「うむ、全身を調べたが、どこにも異常はなかったよ。若い人にも時々ある急性心不全だ」


「心不全?どうしてこんな事に! 」

「マリア、リサの部屋の監視映像に何か映っていないか?」


「映像では、リサが突然苦しみ出して倒れ込んだ映像だけ。その時のメンタルデーターも心不全と一致しているわ」


「タケシは何者かに殺されたんじゃないかと、疑っているのかい?」

ピーマン医師は、それは無いだろうと否定する。

しばらく腕組みをし沈黙していたカロヤン大佐が


「連邦警察に連絡を入れてある。連邦警察の恒星間シャトルで、検視官とリサの遺族3人が2日後に到着する予定だ。それまでは霊安室に安置しておく。到着は6日になるだろう」


 6日はGWが終わる9日まで、まだ時間がある。しかし、彼女のいない独身クルーは早めにSHADOに帰還して来るという。

 SHADOに戻って、ミス銀河のマリアやミス惑星連邦のミューの顔を見たい熱狂的ファンもいる。


今は帰還して来るクルーの事はいい。

まだ知り合ったばかりのリサだが、それでも俺たちは、リサを襲った突然の出来事に、声を失い涙が頬をつたう。


悲しいのに頭の中のもう一人の自分が、リサの死はこれから起きる事件の序章に過ぎないのではないかと恐れている。


 確証はない。だがもし、リサが連続殺人事件の最初の犠牲者だとしたら・・・次は。

 俺の前から大切な彼女たちが、一人ずつ消えていくことになる!?


俺は突然ひらめいた。これが連続殺人事件の始まりなら、最後に残るのは真犯人だけ。いや違う、狙いは俺を慕う彼女たちじゃないのか!!


 1時間後、俺はGWで人気のない自販機コーナーに皆を集めた。


「皆さん、急遽集まってもらったのは、俺の違和感の理由を聞いてもらう為です」


「むう、タケシ、お前はリサの死因に納得していないかも知れないが、心不全は疑いようがない」

ピーマン医師はAIマリアのデーターの裏付けがあるため、心不全を疑ってはいない。


 俺は意を決して自分の導き出した推論を話す。


「これは連続殺人事件の始まりです! また次に誰かが殺されます!」

予想もしない連続殺人事件と聞いて、皆唖然とし放心状態だ。


「おいタケシ、皆が悲しい時だ、そんな"ガマイタチの夜"みたいなゲームの話は歓心せんな」


 「そうね、今は大佐の言う通りかな。アガサ・クリトスティーンの"そして誰もおらんぞ" や縦溝精子(たてみぞせいこ)の"犬神家のM女たち"の連続殺人事件とは違うんじゃないかしら」


 ここでタケシの説に一理あると思うマリアとミューが助け舟を出してきた。


「マリアとミューは、ご主人様の違和感を調査中です。遺体になんの証拠もないと結論づけるのは、まだ早いと思いますよ。連邦の検視官が来れば、何か新しい情報が手に入るかもしれませんし」


「それと朗報が一つあります。リサの魂は死亡した時点でAIマリアが確保して、現在霊安室に遺体と一緒に保存してあります。クローンボディさへあれば、復活できますよ」


確かに魂さへあれば復活は出来る。マリアやミューがそうであるように。

ホル「私、リサさんといろいろ話をしましたけど、お金はあるけどクローンは作っていないと言ってました。だから仮に復活できたとしても、別人の顔と体のクローン体になってしまいます」


 別人のリサか・・・。


俺は最終手段が残されていた事に安堵した。

「それでも構わない。俺はなんとしてもリサを助けたい! アインシュタイン博士、ニコラ・テスラ博士、マリア、その時はリサを助けてくれ!」


「「「勿論」」」


 心からの懇願だった。俺はもう誰の涙も見たくないし、俺も涙を流したくないのだ。明るい未来だけを信じて笑って彼女たちと過ごしたい、ただそれだけなのだ。


 クローンならリサが助かるという結論が出てから、それ以上の進展はなく、俺の肩をポンと叩いて、自販機コーナーから離れていった。


残ったのは俺とマリアとミューだ。

「不幸中の幸いと思いましょう。姿、形は違っても中身はリサなんだから。私たちと一緒よ、ご主人様」


「マリア、ミュー、俺の部屋で飲むか?」


「きゃ~、お誘いですか! 嬉しいです。明日は雪ですかねぇ♡

行きましょ、行きましょ、さぁ早く早く!」


 


*ふん、残念だがクローンで復活させる事は想定の内だよ。だがクローンを用意してあろうが無かろうが、計画の前には無意味だと知るだろう。

今回は物足らないが初回サービスで、この位にしておく。

 次の生贄は決めてあるしな。アレが死ねば二人が苦しむ事になるから倍返しさ。


 決行は8月の盆休みだ。それまでは見逃してやろう。クックックッ*

 おはようございます。

昨日は頑張って書いてまして、朝起きるのが遅れました。

チェックしたら、ブックマークしてもらえてました!

また頑張れます! 寝不足も吹っ飛ぶ一日の始まり。

本当にありがとうございます!

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