EP51 正妻のザ・ゲームに意味はない! *
閻魔帳、正妻のザ・ゲームは間違っていた。
俺は今までただの傍観者だったのか!
彼女たちをゲームの駒として見ていたばかりか、一喜一憂する事を楽しんでいたなんて。
もうやめよう、こんな事。
2021年5月1日
世間とSHADOクルーはGW真っ最中。
俺は既に死んでいるので、家族に会う事が出来ない。
いつも通り部屋で酒を飲んでいると、ゲーム機HARD PLAY69に視線が止まる。69bitの変態ゲーム機だ。
俺が嵌まっているゲームは"青欲の権化!南国無人島で一人で逝きまくれ!"という登場人物は自分だけという、変則VR18禁ベストセラーゲームだ。
うん? ゲームか。何故かゲームというワードが頭に浮かんだ。
「そういえば、"正妻のザ・ゲーム"は、久しく開催していないな。暇だしどれ採点だけしてみるか」
などと言いながら、あの閻魔帳を取り出す。
一時はパンツ王女を酒びたりにし、号泣させた悪魔の手帳だ。
1位 95点 北川ソフィア 4/77 一回休み
2位 85点 UCAメーベちゃん 5/77
3位 80点 ホル・マリン 9/77
80点 クローン関野芽衣 16/77
4位 75点 UCA ステラ 9/77
ディープ・グラス ウィルマ 3/77
5位 15点 暗黒帝国星系 パンツ王女 レッドカード退場
6位 測定不能 ミュー 0/77
これは俺から見たポイントで、後半がサイコロ勝負のマス目の数だ。77マス目が上がりとなる。
俺が評価したポイントだけで見れば、
1位が 暗黒帝国から脱出艇10隻を確保し、更にアテント鉱石を大量に準備してくれたパンツ王女だ。もうこれはポイントの付けようがない。
2位が 中国周遠近主席の件で功績を上げ10ポイントを付けたUCAステラ。
3位 貯金をはたいて惑星連邦で泣きながら頑張ってくれたホル・マリン。
人化したマリア、ミューも色々あったが頑張っている。
ソフィア、ステラ、メーベ、天乃芽衣、ウィルマ・ラミネートが一喜一憂したのが懐かしい。
正妻候補者たちは知らないが、最近ではアビゲイルが俺に好意を寄せてきた。彼女のポイントはまだ無い。
閻魔帳に書かれた数字を見ると、彼女たちの記憶が蘇る。
酒浸りだったパンツ王女、連邦で悔し涙を流しながら、一度でいいから俺に振り向いて欲しいと願ったホル・マリン、鼻血を噴射して、どこかへ飛んでいったステラ・・・
みんな俺のために涙と鼻血を出している。
「ダメだ。こんな採点が何になる。こんな俺の為に愛を捧げてくれる彼女たちを、点数で区別するのは間違っていた。もう止めよう、こんな下らないゲームなんか」
俺は富永審判員にゲームの中止を申し入れようと思う。
彼の発案で始まったゲームではあるが、よく考えてみると彼女たちの人権と誇りを無視した、たちの悪いゲームだ。
一喜一憂させるゲームなんか、見ている方が楽しいだけで、当の本人にとっては地獄にもなる。
「もう誰かが泣くのを俺は見たくない!」
多大な功績を上げながらも、候補者たちに簀巻きにされたパンツ王女は、ゴミ捨て場に捨てられたか、どこかの倉庫にでも放り込まれているのだろう。
これが暗黒帝国国王の耳に入れば、惑星破壊ミサイル"エンド・オブ・プラネット"をぶち込まれてしまうだろう。
俺はAIマリアにパンツ王女の居場所を聞く。
「マリア、パンツ王女は今、どこに捨てられている? お前なら艦内の全てをモニターしているだろ」
「はいなぁ~♡」
パンツ王女さまなら、自室に戻ってますよ~。簀巻きを見せたのはご主人様の前だけで、すぐに開放してますから、ご心配なく」
「そ、そうなのか。安心したよ」
「あれはちょっとした焼きもちの現れで、誰もパンツ王女さまを憎んでいる訳ではないですよ~。ご主人様は私たちの気持ちを読めるようになったのに、詰めが甘いんです。お互いが恋のライバルには違いはありませんけど、心の中では尊重し助け合いたい仲間、もう家族みたいな間柄なんですから」
タケシはAIマリアの言葉に衝撃を受けた。
こんな閻魔帳まで作って、数字で遊んでいた自分を恥じた。
「くっ、俺は、なんて事をして・・・これからパンツ王女に詫びよう」
部屋を出るとパンツ王女の部屋に向かう。
「パンツ、俺だ、入るぞ!」
ドアノブを回し勢いよくドアを開くと、居残り組の彼女たちが、紅茶やケーキを前にして、キャイキャイと楽しそうに歓談していた。
「ど、どうしたの皆?」
「「「GW の余興ですわ。どうでした? 私たちのお芝居は??」」」
天乃芽衣「ちょっとね、ご主人さまの心の内を覗きたくて、いたずらを仕掛けたのです」
俺はまだ扉の前で棒立ちになっている。
「と言いますと?」
マリア「ご主人様が一方通行のテレパシーを使えるのを利用して、皆でお芝居をしてご主人さまの気持ちを確かめたんですよ~」
ホル「GW中だから、大佐もテレパシー使用を知らなかった事にするって許可してくれましたし」
ミュー「ご主人様がパンツ王女に本格中華をしてあげようと思った時、皆からなんの反応も無かったでしょ? あの時にご主人様の気持ちを確かめるお芝居をやろうと、皆で決めました!」
心配してここまで来たら、芝居だったなんて。今度は俺の腰が別の意味で砕けた。
すぐにパンツ王女が駆け寄って来た。
「すまんのう、儂も最初は始末されるかとマジでびびったのじゃ。話を聞いて、儂もご主人様の本心を知りたくてな、一枚噛んでしもた」
彼女たちの手を借りてテーブルの椅子に座らされると、俺の好きなコーヒーをマリアが炒れてくれる。ミューも手作り菓子を持って来てくれた。
気を落ち着かせようとまず一口、コーヒーを飲む。しかし、うまい筈のコーヒーの味がしない。しまったコロナに感染したのか!
緊張と困惑で味覚が脳に伝わっていないだけだ。
そのタイミングで申し合わせたように
「「「「ご主人様、合格です!」」」
いったい何の合格なんだろうと、きょとんとしていると、
「さっき正妻のザ・ゲームの中止を申し入れるって思ったじゃない。閻魔帳もやめると心に決めたでしょ」
『うっ、読まれていたのか』
「私たち皆ご主人様が大好き。でもね、ご主人様が私たちをどう見ているのかが心配だったの。ご主人様の私たちへの想い、それがどんな想いなのか。今はっきりと分かったの! ご主人様は、私たちが見込んだとおりのダンナ様でした!」
それを聞いた俺は手にしたカップを取り落とし、涙が止まらなかった。
「俺は猛烈に恥じている。お前たちをゲーム感覚で見ていた事を。すまない、本当にすまなかった!」
俺は床に頭を擦りつけて、土下座謝りをした。
それは作者が、遠い昔に浮気が発覚し、妻に詫びる姿と重なる。
(デジャブだ)
テーブルで泣き崩れる俺に、彼女たちの手と手が俺の頭をワシャワシャする。
『ワシャワシャって、とても嬉しい事なんだ。自分がされて初めて気付いた』
「お前たちって、お前たちって・・・本当に・・・」
その後の言葉が、嗚咽で喋れなかった。
その後の俺の言葉を聞くまでもなく、彼女たちは理解している。
俺は一皮むけたのだ。
まだ童貞だけどナニの皮ではない。
「みんな、皆のお陰で俺は成すべき事を成す勇気が湧いてきた。救世主の役割、見事に成し遂げて地球人類を救う!」
「その言葉が聞きたかったの! もうみんなそれで満足よ。ねぇみんな」
パンツ王女さまの部屋は、感動の涙で溢れる。
AIマリアが、この状況をカロヤン大佐にも流していた。
「ふっ、手の込んだ芝居でタケシを本気にさせたな。お前たちの愛は本物だよ。TOKIMEKI遺伝子だけでは、ここまでにはならんからな」
部屋に戻ると、大佐が入って来た。
「いいものを見せて貰ったよ」
「えっ、俺、見られてたんですか!」
あんな恥ずかしい場面を見られていたとはと絶句する。
「タケシ、言っておきたいことがある。TOKIMEKI遺伝子だが、連邦や帝国女性が地球人に対して強く反応するが、特にタケシ、お前だけに強く反応している。これは尋常ではないと私は思っている」
それは俺も不思議に思っていた事だ。
俺は地球ではだんご鼻の非モテ代表者だからな。
「彼女たちは、タケシとの接触時間が長い。普通なら免疫がある程度できて来るのだが、彼女たちのお前に対する愛は異常なほとだ。俺はそこに違和感を感じるんだよ」
違和感・・俺はその言葉に反応した。
「彼女たちに免疫が出来れば、誰かが俺から離れていったかもしれない。実際はそうならずに、益々愛が深まっている。大佐に言わせればこれは少し妙な事だと」
「大佐、おれは今、俺の感じている違和感を調べている所です。大佐も何か知っている事があれば聞かせてください」
「了解した。俺も地球救済計画となんらかの因縁があるのではと考えているからな。マリアから聞いてからだが、今はお前の違和感に同調するよ」
違和感を感じる賛同者が増えていくのはありがたい。と同時にその違和感の正体がとてつも無く大きな何かだった時、最大の不幸が訪れるような気がしてならなかった。
地球人類救済プロジェクト一つで一丸となっているのに、更に問題を抱える事になったら・・・
SHADOは立ち向かえるのだろうか。
その何かが、我々に牙を剥いて来ているのかどうかも分からない。
本当にどうしたらいいんだ。
おはようございます。読者さま。
ストーリーが長くなってくると、矛盾が出てきてしまいました。
それに目をつむり、今日もいつもどおりマイ・ペースで。
反省は完結の後にします。
今日もよろしくお願いします。ペコリ




