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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
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EP49 物語の最終章だ。さぁ踊れ私のマリオネット *

 地球人類救済計画の裏でほほ笑む何かがいた。

タケシの違和感がそれの存在を感じとったが、それを裏付ける証拠が何もない。

必死で正妻候補者たちに、その疑問をぶつけて糸口を探ろうとするのだが・・・。


挿絵(By みてみん)


 2021年4月4日


 俺は部屋にパンツ王女と護衛のシュミーズ帝国情報主任を呼んだ。


「パンツ王女さま、今回の件では大変感謝してる。心からお礼を言うよ。それとシュミーズ主任、今後ともよろしく」


 多大な功績のあったパンツに、今までのように軽々しくパンツと呼ぶのは、礼儀を欠く。

「ど、どうしたのじゃ、そのような呼び方は他人行儀ではないか。今までどおり愛を込めて、パンツと呼んで欲しいのじゃ。儂らは、ふっ、夫婦ではないか」

 決まってもいない筈だが、顔が真っ赤だ。


 シュミーズに至っては、昏睡状態のタケシの画像を見て以来、完全にKOされていた。

にも関わらず、目の前の生タケシを見て失神しないのは、あくまで王女の護衛として来ている自分が、ここで無様なマネは出来ないと踏ん張っていたからだ。


「こ、こっ コケコッコー」

この度はと言えずに、コケコッコーになってしまった。

「シュミーズ主任、緊張しましたか?楽にしてくださいね」

と、マリアとミューが入室して運んで来た紅茶とケーキを笑顔で勧める。


 マリアもミューも俺が何故この二人を部屋に呼んだのか、その理由を知っていてメイド役をしている。

「では王女さま、シュミーズさま、ごゆっくり」


 シュミーズは驚いた。パンツ王女も帝国では圧倒的な人気を誇るアイドル王女だが、この二人は美しすぎるのだ。

容姿容貌が単なる美人の域を超え、漂う色気オーラが尋常ではない。


「こっこれほどの美女たちが、タケシさんの正妻候補者なの! しかもこの他にも何人もいると王女から聞いている」

シュミーズは既に勝敗はついたと、敗北宣言を心に刻んだ。

 (流石に軍人だ。状況判断が優秀で助かる)


 部屋を出ていく時に、二人が見えないように俺にウインクをしていく。

(マリア、ミュー、よく分かっているな)


 俺は好意を寄せる女性の心が読めるようになっている。だから今までと違い、気配りをしながら落ち着いて話が出来るようになったのは、自分でも驚いているくらいだ。


******

「ご主人様、儂らを呼んだのは、何か訳があるのじゃろ? マリアと泥棒猫の様子が変じゃったぞ」


 俺は香り漂う好みのコーヒーを一口飲んで、気分を落ち着かせる。


 パンツ王女とシュミーズ主任に聞きたい。ここ最近、何か周りで違和感を感じた事はなかったかい?


「いきなりなんじゃ。違和感なら今感じた。あのマリアと泥棒猫じゃ」

ふ~ん、鋭いなぁ、けど聞きたいのはここ最近の、何か変な感じとか妙な事件とか、噂話でもなんでもいいよ。


「シュミーズ、お主は帝国情報主任じゃから、何か耳にしておるのではないか?」


 敗北宣言したコケコッコーが、目をパチクリしてマルミエ800を取り出し、情報を検索している。

「特には御座いませんが、最近帝国で大騒ぎになった事件、あのブロマイド盗難事件はありましたが」


「ああそうじゃった、大きな事件と言えば、帝国テレビが一日中放送しておった。その事件がきっかけで、腰が砕けた母上が、父上を説得して地球救済命令が出た話は先日、ご主人様に伝えてある通りじゃ」


 ああ、そのブロマイドは、ホルが作った俺のものだろう?


「はっ、その通りで御座います。帝国で手に入れた一少女から、犯人の女が盗んで逃走しました」


 やはり俺に絡んでいるか。いろいろな事件や現象が俺を中心にして連邦と帝国で引き起こされていると思う。


 それで、他には何かなかったのかい?

「そうじゃな、現場からの中継はあったが、特に珍しい事でもあるまい」


 俺に関わった事件はあったが、他には特に変わった事はなかったようだ。


 パンツ王女、シュミーズ主任、ご足労ありがとう御座いました。

別れ際に、貢献度の大きかったパンツ王女の腰を引き寄せ、ほっぺにチューをしてやる。


途端に王女さまはスライム状態になってドロドロ。

 アヘアヘアヘアヘ。

シュミーズは自分にもと、目を潤ませているが、俺はそこまでサービスはしない。あくまで今回の大きな貢献度に対しての感謝の気持ちからなのだ。

『せめて、先っぽだけでも』

(唇の瞬間タッチの事)


**********

 スライムと間寛平から再起動したパンツ王女が、ある事を思い出した。

「ご主人様、いきなりのチューで気絶してしもうたが、突然のチューは新鮮じゃな。ご主人様は中々のテクニシャンなのじゃ!」


「おっといかんいかん、父上がこんな事も言っていたのじゃ。もし地球の猿どもが欲しい物があるなら用意すると」


 そんな事まで国王が・・暗黒帝国には感謝してもし切れないが、その情報は既に把握済の俺だった。心の中でニッとほほ笑む。


 パンツ王女、実は折り入って頼みたい事があるんだが、父上に掛け合ってみてはくれないだろうか」


「チューの為なら何でもするのじゃ! 今のは前払いという事で、それでいったい何を?」

 俺はパンツ王女の腰をまたまた引き寄せ、耳元でゴニョゴニョとある事を伝えた。


 「あふ~ん♡ 耳は耳は儂の弱点なのじゃぁぁ。とと蕩けるぅぅ♡」


 スパパパァァァン。もう説明はいらんな。


「はふ~ん、またまた不意打ちじゃな。今の話、気持ちよくて半分も覚えておらんが、確かに父上に掛け合ってみる。うまくいったら今度は本物のキッスじゃぞ、約束じゃぞ!」


 そこまでのつもりは無かったが、これがうまくいけば地球救済の準備は万全となる。

まぁ、いいか。地球人類のためになるのなら、俺のキモキッスは安すぎる。

 俺はパンツ王女にサムズアップしてやった。


 ルンルン気分の王女が、項垂れているシュミーズの襟首を引っ張って部屋を出ていった。

「さきっぽ、さきっぽ」


 この一連の出来事は、AIマリアに監視されているのに俺は冷静だった。

怒りの思念が伝わって来ないのは、きっと理解してくれているからだと。


 その後すぐ、俺はSHADO本部からクローン芽衣を連れて、岐阜県にある山崎重工業に飛んだ。

 芽衣の旧姓は天乃。ややこしいので、クローンの方は天乃芽衣と呼ぶ。


**********


 天乃芽衣と関野芽衣は一身同体のようなもの。俺たちが山崎重工業に向かう事は、通信を使わなくても了解済だ。

小型UFOハウ二ブで到着すると、関野芽衣だけが迎えに来ていた。


しかし、俺が生きている事と、クローン芽衣を知られる訳にはいかない。

社長とオヤジにバレないよう、会社で使われていない倉庫で密談する。


「芽衣さん、調子はどう? 」「そっちの芽衣さんはどう?」

とお互いの調子は分かっているのに、固い挨拶を交している。


それはそうと芽衣義姉さん、仮称超合金インフィニティの開発は、どの程度進んでいますか?


 アンドロメダ300、小型コントロール宇宙艇COMET、反射シールドBENZAの建造が進んでいて、外販に使う超合金の進捗状況を聞きに来たのだ。


「超合金New-Zにある特殊金属を添加融合すると、New-Zの10倍の強度と対放射線遮蔽率が上がる合金が出来たの」


ほう、それは目出度い話ですね。では早速量産に入れるのですか?


それが・・・と考え込む芽衣の考えが伝わった天乃芽衣が、

「特殊金属のアンチUV鉱石、暗黒帝国星系でしか採掘できない、あのアテントね」


関野「そう、それさへ確保できれば、ベースとなる超合金New-Zに融合すれば大量生産が可能になります」

天乃「それが可能なら納期予定までに、十分間に合います!」


 暗黒帝国星系にしか存在しないアンチUV鉱石アテント。実は今日山崎重工業に来たのは、確認のためと初めて芽衣同士を合わてやる口実でもあった。


 アンチUV鉱石の情報は、天乃芽衣が掴んでいて、それが必要になる事は数日前に俺に知らされていたのだ。


 さっき、パンツ王女に耳打ちしたのは、このアンチUV鉱石を大量に確保してもらうよう、帝国国王に頼んでもらうためだ。


 社長やオヤジとバッタリ会っては不味いと、早々に切り上げて帰るUFOの中で、


「へぇ~、ご主人様は最近いろいろと私たちに気を使うわね。勿論嬉しい事だけど」

 芽衣もうまく俺の芝居に合わせてくれてありがとう。

「それは無理よ、だって私たち二人は一身同体だもん。隠し事はできない仕様なのよ」


 そ、そうでした。とんだ茶番だった。芽衣と俺、二人だけの息抜きって事にしておこうか。


「とんだデートだわ。これが知れたらタケシさん、私もあなたも、血を見るわよ。黙っているけどね」


 それと芽衣、君にも話しておこう。俺は今妙な違和感を感じていてね、それで今までにマリア、ミュー、パンツ王女にシュミーズ主任に、何か変わった事はないかと聞いている最中なんだ。


 「IQ250の私たちでも、何も感じてないけど、例えばどんな風に?」


 今日の事も変だと思うんだ。俺たちは地球救済に必要な超合金開発に行き詰っていたよね。そのタイミングでアンチUV鉱石を確保できる目途がついた。これをどう思う? 出来過ぎてないかい?


「そうねぇ、このままいけばギリギリで外販に使う超合金が間に合うけど、それは地球人類が助かる可能性が大きくなったと、喜ぶ所ではないの?ご主人様」


いや、出来過ぎていると思う。


「じゃあ神様が、私たちを助けてくれていると思えばいいんじゃない?」


 違うんだ、俺の感がそれを否定しているんだ。どうしようもない、ドス黒い何かが、いつも俺たちを見ていて、操られているような気がして落ち着かないんだよ。


********

 数日後、義姉の芽衣さんから連絡が入る。完全な超合金の大量生産に移る目途がついた事、そしてその超合金は"スーパーアテント"と命名されたと。


 いよいよ大詰めだ。後はパンツ王女の結果待ち。


全てが順調に進みだした。気持ちが悪いほどに。



 いつもこちらにアクセスして頂いている読者さまに感謝しています。

つたない文とイラストに閉口しながらも、完結に向けて一層頭を悩ませている作者です。

最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。

では。


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