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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
49/70

EP47 ガバリサ GO TO HELLよ !! *

リサ、あなたは!

女の感レーダーが最大の警報を鳴らす。

またしても正妻候補が増殖の予感。

しかも候補者は皆自分より、容姿容貌が優れているという理不尽さ。

私がもっと美人だったなら。もっとボインであったなら。

もし、もし、ばかりが行進していく。


 あの時、ご主人様が言ってくれた、「人間は中身、魂の輝きだよ」の言葉が、今のホル・マリンを支えている。

それが無ければ、ホルの精神はとうに崩壊していただろう。


挿絵(By みてみん)


 2021年4月4日


 惑星連邦ガバチョ銀行本店、最高責任者のリサ・アイ~ン・ガバチョと、臨時の共闘仲間となったホル・マリンが、108人の惑星連邦代議員を招集した。


 議題は"地球人類救済活動"

会議の招集はすんなりと運ぶ事ができた。

何故なら、惑星連邦女性ファッション雑誌"AheAhe"で、「今地球男性が熱い」が特集された事があったからだ。


 この雑誌は発売されたその日に100万部がSOLD OUT。なんとその雑誌に紹介されていたのが、ご主人様だったという経緯があったからだ。


この号を買いそびれた女性たちが、出版社に大挙押し寄せて、重版を迫った話は今や伝説となっていた。


 そんな経緯を代議員女性たちは熟知していて、会議参加代議員たちに、もれなくあの地球人男性の生ブロマイドとポスターが付くとなれば、各惑星代議員が騒然となったのは言うまでもない。


 集まった108人の女性代議員の顔は皆、今日という日を待ちきれず興奮して寝不足状態である事がわかる。

皆、目の下に隈を作りながらも、その目は獲物を狙う猛獣のように殺気だっていた。


 肝心の議題である、「地球人類救済の為、大脱出観光宇宙船団を結成する」という案件は、全員の賛成を得てすんなりと可決した。

 ガバチョ銀行本店 リサの顔の広さもあるが、ホルが準備したブロマイドとポスターの効果の方が、遥かにインパクトがあった。


 代議員会が終わるとすぐ、リサを連れてホルが帰還の途につく。

惑星連邦から地球までは、恒星間宇宙船のジャンプを使っても2日はかかるが、ホル・マリンの心は喜びに溢れていた。


 船内では、あのテーマソング"私の旦那様"をずっと歌い続け、終始にこにこしているホル・マリン。

 少ない費用で最大の効果を上げる事ができたからだ。


「108隻の大宇宙船団、ご主人様が聞いたらきっと、ハグハグと、ワシャワシャ3連発、うまくいけばチューも♡ いゃぁ~ん、もうご主人様ったらぁ、皆が見てるでしょ♪」


 ホル・マリンの頭の中に、既に決定済みであるかのように、妄想が花と咲いている。

♪恋する女は綺麗だぁ~♪旦那さまの次に、ホルが好きな曲だ。この曲を聴くとなんだかヤレそうな気がするからだ。


 地球との通信可能区域まで到達すると、早速SHADO本部に通信を入れる。

「♪ふんふんふん♪ あーテス、テス、カロヤン大佐、カロヤン大佐、こちら帰還途中のホル・マリン。応答願いますぅ♪ふんふん♪」


 スピーカー越しでもホルの機嫌が良いのがわかる。


「うん?、ホルか、随分と機嫌が良さそうだが、何か収穫はあったのか?」

SHADOクルーたちも、きっと吉報であろうと、穏やかな気持ちで通信に聞き入っている。

ガガ、ピーピー ヒロヒロヒロー パーヒィィ

マイクがハウリングを起こしている。


「ここからは、私から話すから、ちょっとマイク貸しなさいよ」

と、女の声が割り込んできた。


「ちょっとリサ、何すんのよ! 私がこれから機嫌良く重大な報告をしようとしているのに、邪魔しないでよ!」


「おっ? 向こう側が騒がしいな、リサ? はて、どこかで?」


 ホルから、マイクを取り上げたらしいリサの声が入る。

「ハロ~、カロヤン大佐ぁ、私に会えなくて寂しかったぁ??もうすぐ行くからそれまで待っててねぇ♡」

♡は営業用社交辞令だ。


 クルーが謎の女の声に顔を見合わせる。

「おい、カロヤン大佐もなかなかやるな。きっと連邦の女が大佐の後を追って地球に押しかけて来たと思うぜ」

「大佐は独身だしな、それはあり得る」

「今のエロっぽい声、聞いたか? きっといい女だぜ」

「あんまり期待しない方がいいぜ、逆だったらショックが大きいから」

「遠距離恋愛か、それも乙」


 途端にSHADO司令室がピンク色に染まりだした。

 ざわざわ、クルーは任務を忘れて、このエロい女の正体が誰なのか、興味津々で聞き耳を立てている。


「ちきしょ~、俺にもかわい子ちゃんが愛に来てくれないかな~」

「ああ、連邦のキャバクラ行きてぇ~、カリ・フラワ~ちゃ~ん」


 ピキン・・・一瞬の静寂の後、空気を切り裂くような謎の音が。

 シュパパハパ!

カリ・フラワーと叫んだ男性クルーの頭が、あっと言う間に虎刈りになった。

 シュゥゥゥゥゥ

傍らの女性クルーが南斗性拳の構えをとり、鼻をフンスカさせている。


「なんだ、お前モテてんじゃん、お前も隅におけんなぁ」

虎刈りにされた男性クルーが、落ちた頭髪に驚いて目を白黒させている。


「ジョ、ジョセフィーヌ、君、君ってまさか・・・そんなに短気だったの? ちょっとキャバクラの話をしただけだろ?」

また、余計な事を言ってしまった。


「カリ・フラワーって誰なのよ! この馬鹿ぁぁぁぁぁ!!」

次は緑色の便所スリッパだ。

スリッパがチェーンで繋がって、ジョセフィーヌがヌンチャクのように華麗に振り回すと、快音が連打となって響く。


 アチョ~!! スパスパ スパパパァァァン


「ひぃぃぃ、何なんだよ!」

「本当に男ってにぶいわね! 」


 このジョセフィーヌの一言に、その場にいたステラ、メーベたち正妻候補者たちが感動し、ジョセフィーヌを褒めたたえていた。


「「「おめでとう」」」

指令室内に紙吹雪が舞い、例の盛り上げ隊チンドンマンが入って来る。

チンチン・ドンドンと鐘や太鼓で盛り上げる。

今度は用量、用法を間違えていないようだ。


「ジョセフィーヌ、私たち、あなたとは良いお友達になれそうな気がするの」

ステラも、メーベも鼻息が荒く興奮状態だ。


「ジョセフィーヌってば、新婚旅行はどこにするの??」

「ねぇ、一日何発したい??」

 ♡きゃぁぁぁぁぁ!♡


*説明が遅れたが、ご主人様の顔には、ステラが認識阻害魔法をかけている。艦内女性クルーを惚れさせない予防処置だ。

パンツ王女にはもともと魔法が効かず、ディープ・グラスはあの厚底眼鏡で魔法が無効化されていた。

 他の正妻候補者たちも、様々なスキルと理由で無効化していた。


 騒ぎが益々エスカレートしたため、これ以上ドスケベな話が盛り上がり過ぎるのはまずいと判断し、


 「皆の者静まれぃ!」

 大佐が一喝する。

ピンクのガールズトークに花が咲いてしまい、肝心な要件を聞いていない。

「すまん、リサとやら、続きを聞かせてくれるか」


「んまぁ、大佐ってば私を忘れたなんて! 私の外に女が出来たの? 私よ、惑星連邦ガバチョ銀行の・・・」


「うん? お前、ガバチョ銀行のドン、"ドン・ガバチョか!!」


「もう嫌ぁねぇ、そんな呼び方されたら、ひょっこりひょうたん島じゃない。リサ・イヤ~ン・ガバチョよ。昔みたいに"リサ"って呼んでよ」


 おおお、指令室内がまたもやピンクに染まろうとする。出番を待っていたチンドンマンが、一歩踏み出そうとしたが。


「ちょっとガバリサ、そんな話はいいから要点を早く話しなさいよ!」


「そ、そうですわね。コホン、皆さん今のはほんの社交辞令的ご挨拶ですので、お気になさらないでくださいね。

 実は私リサは、深い訳があって地球人類救済の手助けをするために、はるばる地球までやって来ました」


 おおおお! パンツ王女に続いて、更なる朗報にクルーたちがどよめいた。


 指令室には昨日帰還したばかりの、パンツ王女さまもいた。

「ふん、連邦ガバチョ銀行の小娘か、先代が急死して転がり込んだ椅子に座っているだけであろうが。そんな小娘にいったい何が出来るというのじゃ!」


「おやおや、その声は暗黒帝国星系のパンツ王女さま。ご機嫌麗しゅう」


 電波を通じて、既に女同士の威嚇が始まった。

パンツ王女をはじめ、ここにいる全ての正妻候補者たちが装備している、高性能な女の感レーダーが敏感に反応している。


「ホル、お主、なんのマネじゃ! 儂は暗黒帝国から3,000人を運べる宇宙船を10隻確保して帰還したのじゃ。今更お主らに出来る事はないのじゃ!」


ホルもやむにやまれない事情でガバリサを連れて来ている。


「ふん、ホルもガバリサも知らぬようじゃから、聞いて驚くな。儂はこの朗報を昨日、ご主人様のに直接伝えたのじゃ。それからいったい儂はどうなったと思う?」


 「「「えええっ!! なにそれ初耳だわ!!!」」」


正妻候補者たちは、パンツ王女の帰還は知っていたが、回復したご主人様と密談していた事までは知らなかった。


「「「何があったのよ!!!」」」


 ゴクリ。これからパンツ王女の言葉一つで、指令室は血の海と化すからだ。


「ふん、ご主人様が儂の働きにとても感動されてな」

ふんふん、そこまではいいわ。


「まず、手始めにワシャ、ワシャが2連発じゃ!」

くぅぅぅ、でもステラもしてもらったから、ここは涙を呑んで許すわ。で次は何なの?


「ふん、聞きたいか、聞いたら腰を抜かすぞ!」

ま、まさかチュー!!


「儂を傍に寄せ」

ふんふん、それから!


「熱いハグじゃ! 背骨が折れるほどのハグをしていただいたのじゃ!」

ふ~、キッスじゃなかったのね、ギリギリセ~フね。


「何がセ~フじゃ、これからが真打登場じゃというのに」

「「「げぇぇぇぇ! やっぱり、キッス!」」」


 もう正妻候補者たちは臨戦態勢を取っている。ある者はライト・サーベルを取り出し、またある者はレーザーガン、妖刀ムラサメを持ち出した者まで。

パンツの次の言葉で戦端が開かれる!

「「「ゴクリ」」」


 その場で自分が殺されるかも知れないと危機感を感じたパンツ王女。

「あはあは、今日は少し体調が悪い。昨日帰ったばかりじゃ、また次の機会に話すとしよう」

と言って指令室から脱兎のごとくズラかった。


「ちょっとぉぉ、私の話も聞いてよね! パンツ王女も大した事ないじゃない」


「おいおい、ドン・ガバチョ、それは無いだろう。王女が国王に掛け合ってくれたお陰だ。それで3万人が救われるのだから」


「10万と8,000人よ!」

「私とホル・マリンが確約して来たの。108の惑星連邦代議員とね」


 くっ凄い! 凄すぎる! 指令室クルーたちが誰ともなく拍手をする。やがてそれが大きな波となり、艦内のクルーたちからも拍手が鳴り響く。


 この大きな成果に大佐も、正妻候補者たちも声を失った。

この状況にステラは一早く冷静さを取り戻した。


「今は誰が大きな成果を上げようと、地球人類を出来るだけ救えればいい。全ては地球人類を救済した後、勝負はそれからだと約束したのだから」

 冷静に最優先すべき事は何か。ステラがこの場を収めたかに見えた、その次の瞬間!


 「それともう一つ。リサはタケシさまと結婚します!!」


 またもや爆弾を落としたガバリサ。怒りの正妻たちは、届かぬライト・サーベルを振り回し、レーザーガンを乱射する。妖刀ムラサメが血を求めてクルーに切りかかり、虎刈りにされた男性クルーの制服が細切れとなった。


 裸で立ち尽くす虎刈りクルーの股間が委縮している。


 「「「GO TO HELL !!! ガバリサ!!!」」」

と正妻候補者たちが吠えたが、通信は既に切れていた。


 明日、ホルとリサがどうなるのか、吉報が地獄と化すのか、これも黒幕が糸を引いているとは誰も知らない。

 今日も読んでくださる読者様、ありがとうございます。

暑くて一日一話が限度になってきました。

初の完結に向けて、今日もキーボードを打ち続けていきます。


よろしくお願いいたします。

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