EP45 暗黒帝国星系の奇跡 パンツ王女凱旋す *
暗黒帝国星系へ帰還したパンツ王女さま。
なんとか地球を助けたいと、国王と王妃に嘆願するのだが、結果は思わしくなかった。
意気消沈するパンツ王女に、意外な救いの手が。
2021年4月1日
暗黒帝国星系王女 パンツ・〇ミエール
宇宙歴年齢は16歳、身長156㎝、白銀のロングヘアーにルビーのような赤い瞳、どちらかと言えば幼女体形ではあるが、王女に相応しく素晴らしく整った顔立ちをした美少女。
黙って立っていれば、そのロリっぽい体形に似合わないアンバランスな美しさ、可愛らしさから、帝国国民の絶大な人気を誇っている。
一部の若い帝国国民が自称"パンツ親衛隊"を名乗り、イベント会場に突然現れては低くドスの効いた声で「L O V E パンツ王女 帝国万歳!」と歌って悍ましい裸踊りをして立ち去っていく。
普通なら逮捕案件だが、帝国警察はこれを歓迎し逮捕者が出ることは無い。
その人気を裏付けているのが、帝国内でのブロマイド売り上げは怒涛のナンバーワン。
更に王女が帝国に帰還してすぐリリースした、パンツ王女自身が歌うCD「私の旦那さま」がギガヒットし、帝国最強のアイドル王女様になっていた。
その王女パンツ・〇ミエールが、帝国国王と王妃の前で懇願していた。
「父上、母上、何度でも頭を下げます故、地球人類滅亡阻止のため、是非とも帝国の力をお貸しくだされ」
パンツ王女は、SHADO本部から帝国に帰還してすぐに、国王と王妃に何度もかけあったのだが・・
「パンツ、またその話か、いい加減にせんか。いかに王女の願いとは言え、惑星連邦の息がかかった地球の猿どもを、何故に我が暗黒帝国が助けねばならんのだ? それに地球に行ったのは観光見物であった筈」
「そうですよ、あなたが猿を何匹助けようが、それが帝国のなんの利益になると言うのです!」
この話ばかりは、味方である筈の王妃も大反対であった。
むぐぐぐ。と唇を噛む。
パンツが地球の猿(最愛のご主人様)に惚れ抜いて死にそうだとは、今は言えなかった。
余計に国王の怒りを買って益々不利になるからだ。
いつも我が侭なパンツ王女ではあるが、自分の幸せだけを考えず、地球人類の為ここは一旦身を引き自室に籠った。
「むぅ、このままでは時間の無駄じゃ。何か突破口を見つけねば」
今は信頼の置けたメイドのミューはいない。
『ミューは儂を裏切り、今は敵となってしまったか』
一人部屋で悶々としていると、帝国情報部シュミーズが扉をノックする。
「シュミーズ、入ります!」
「うむ、許可する。入れ」
入室すると、部屋に「私の旦那さま」が流れている。
王女は意外にも歌がうまかった。
そこには自分が歌う歌に合わせて、器用に頭を抱えて悶絶踊りをしているパンツ王女がいた。
「王女様、お久しぶりです。しかし、そのご様子ですと何か悩み事でも?」
悩んでいるパンツ王女とは裏腹に、シュミーズは機嫌が良さそうに見える。
「シュミーズ、お主随分と楽しそうじゃな、儂がこんなに苦しんでいるというのに、嫌味な奴じゃ」
シュミーズは特に用がなかったのだが、パンツ王女が知らないであろう、帝国の最新ホット情報を持参して来たのだった。
「王女様、今帝国で大騒ぎになっている、あの話はご存知でしょうか?」
「馬鹿者! あの話が何かは知らんが、どうせつまらん話だろう。今儂の脳は危篤状態なのじゃ! 見て分からんのか!」
おっと危ない、危ない、王女が短気なのを忘れてました。と心の冷や汗を見えないタオルで拭くシュミーズ。
「今帝国SNSで話題沸騰の最新ニュースなんですが・・」
王女にとっては、つまらない話だと思ったのだろう、シュミーズのトーンが下がった。
「人気有名アイドルが離婚でもしたのなら、話を聞いてやるのじゃ」
そう、この我が侭王女は、他人の不幸話が大好物なのでした。
「お気に召すかどうか分かりませんが、帝国のある少女が一枚のブロマイドを偶然手に入れたという話題です」
「ふん、我が帝国の人気アイドル歌手のブロマイド一枚で、何を騒いでおるのじゃ。別に珍しい話ではあるまい」
「それがですねぇ」
と手にした帝国情報端末"マルミエ800"の画像をパンツ王女に見せる。
何故かシュミーズが顔を赤らめている。解せんのじゃ。
と、王女の赤い目が、クワッと大きく見開かれた。
「こっ、これは何とした事じゃ! この画像、どうやって手に入れた!!」
パンツがシュミーズの首を掴んでユサユサと振り回した。
「うぷっ、吐きそうです。王女様、落ち着いてください。これは帝国の一少女が投稿した地球人のブロマイドですから・・うぷっ」
「そのブロマイドが問題なのじゃ、どうやってその少女は手にいれたのじゃ!」
その画像は、SHADO保健室で昏睡状態のご主人様を撮影したものだった。それはパンツが帝国へ戻る為に保健室を飛び出した後、ホル・マリンが連写撮影した中の一枚だった。
「私が調べたところ、惑星連邦の誰かか地球滅亡の危機を救うために、大量のブロマイドとポスターを売り歩いているらしいのです。その少女がたまたまネットで購入したのですが、その少女が買ったのが最後の一枚で、もう在庫がなく、闇で数百倍の値段で取引されているとか」
『惑星連邦の人間で、自由に保健室に出入り出来る者、そうか! ホル・マリンの女狐か! 』
パンツ王女の中で、一つの疑問が解けた。
『私も喉から手が出るほと欲しいのに・・実は王女の力でなんとかブロマイドを手にいれられないかと、この話題を振ってみたのよ』
「その帝国の一少女が自慢するために、SNSにアップロードしたら、爆発的に拡散しまして、いいねマークどころか、神好き好きマークの連打で回線がパンクしております」
ほう、いいねマークの外にもそんなものが。
「その後に話の続きがありまして・・・」
「な、なんじゃ、早く吐け、吐くんじゃ! シュミーズ!」
またシュミーズの首を掴んでユサユサする王女さま。
ご主人様の情報なら、なんでも聞きたいパンツだった。
「うぷっ、ここで吐いてもよろしいのですか? うぷっ。」
「馬鹿もん、ゲロなんかここで吐いたら、射殺するのじゃ!」
射殺されてはかなわない。ごくんとゲロを無理やり押し戻した。
「その少女が手に入れたブロマイドを、帝国の誰かが無理やり奪って逃走していると言うのです」
「なな、なんと不埒なマネをするのじゃ!」
「そうですよねぇ、それでまたまたSNSでその話が爆散して、今帝国ではその話題で沸騰してますよ」
シュミーズがテレビのワイドショーを映し出す。
キャスター「地球人のブロマイドを少女から強奪した犯人が、今だ逃走中です。現場付近の住人が騒然となっています。現場からの中継入ります」
Q!
「はい、こちら現場から私、富永がレポートします」
『なんじゃと、富永審判員! お主はいったい何者なのじゃ!』
「目撃者の証言によりますと、逃走しているのは若い女で、目が逝っていて涎を垂らしながら、アヘアヘと言いながら逃走したというのです」
「では、その犯人が盗んだというブロマイドをご覧ください」
テレビの画面が、ご主人様の哀れな昏睡状態の画像を映し出した。
途端に帝国中の女性から悲鳴があがり、瞬間視聴率が100%に達した。
司会の女性キャスターまでが、涎を垂らし目が虚ろで茫然としている。
キャスター、お前が逃走犯人だ。
「な、なんて悲惨なの! あの地球人男性を見て、黙っていられる帝国女性は一人もいないわ!」
3歳の幼女から120歳のババアまでが、あの男性を救うべく、帝国国王に直訴する運動が始まった。
SNSで更に爆散に爆散を重ねて、ついにその話題が国王と王妃の耳にも入る。
TVニュース映像を見た王妃の腰が砕けた。
あへあへあへあへ 間寛平である。
「何、あの高貴な男性は。国王なんて屁のツッパリにもなりません! あのお方が地球人なのですか!大変、死にけているのですね」
昏睡状態を危篤と早合点した王妃の勘違いに助けられた。
「あ、あなた! 地球を助けるのよ! パンツ王女が言っていた意味が、今はっきりと私は理解しました! 嫌というなら離婚します! いいですねアナタ!」
帝国国民の直訴嘆願に加えて、メディアも巻き込んで大騒ぎになった。
それに王妃の離婚宣言に、国王も決断せざるを得なかった。
「うむ、あい分かった。地球救済に向けて、我々暗黒帝国が力を貸そうではないか」
この決断はすぐさま、テレビの臨時速報で流れ、号外が発行された。
結果、国王の人気と支持率が爆発的に上昇し、国王もこの結果を大いに喜んだ。
「流石は我が夫です。ふふっ今晩はサービスしちゃおうかしら」
離婚の危機を乗り越え、国民の人気は急上昇、その上久しぶりの王妃の大サービスだ、国王の息子も期待し過ぎて大はしゃぎしている。
「こりゃ、二人目が出来そうじゃな・・」
あきれるパンツ王女が雑念を振り払い、
「そんな話はどうでもいいのじゃ、で、父上どんな方法で地球人を助けるのじゃ?」
しばらくパンツ王女、国王、王妃、情報部シュミーズが計画案を練る。
「我が帝国から乗員3000人の観光宇宙船 10隻を出そう。それに加えて地球の猿が欲しがる物資を提供しよう」
「あなた! 地球人類の事を猿と呼ばないで!」
(王妃、あんたもこの前まで、猿と叫んでいただろうに)
「感謝するのじゃ! 父上、母上。儂はこれからすぐに地球に戻って、この話を伝える。未来の弟か妹にもよろしくなのじゃ!」
今夜は心置きなく励んで欲しいとは言えず、その場を去る。
そのまま、旗艦ノジャロゥリに飛び乗り、帰還の途につくパンツ王女。
「しかし、3000人を10隻の観光宇宙船で脱出させる事ができても、3万人なのじゃ・・・これでご主人様は喜んでくれるかの・・」
(いやいや、パンツ王女、お前は凄い事を成し遂げたのだよ。確かに全人類は到底救えない。それは誰にも不可能な事だよ。今回のお前の働きに対して、俺は最大のポイントをやるよ。50点だ!!)
帰途につくパンツ王女さまは、このスーパー貢献度を知らない。知ったらどんな顔をするのだろう。それも楽しみだな。
これで正妻のザ・ゲームでまたまたトップが入れ替わった。
ステラをあっという間にぶっちぎり、50点を叩きだしたパンツ王女がトップに踊り出たのだ。
なんと言っても、宿敵暗黒帝国星系を巻き込んだのが大きい。
本当に人生とは最後まで分からない。
無論、ポイントだけで全てが決まる訳ではない。これは目安なのだから。
と俺のこころの閻魔帳に記録しておいた。
読んでくださる読者様、本当にありがとうございます。
その支えがあってこそ、キーボードを叩く原動力となっていいる作者です。
今日も朝から暑そうです。みなさん今日一日元気で乗り切りましょう。
余力があったら、また夜に更新します。
ではよろしくお願いします。




