EP40 モンローウォークのバニーガールが世界を救う?? *
2021年2月17日(水) 午前9時
地球人類救済 サミット会場豪華絢爛客船 "BOINNA・PRINCESS"号内ラウンジは、到着した各国の代表者と御付きの秘書で溢れている。
地球滅亡の危機に、SHADOと真剣に取り組み協力している国と代表で、日本国 安倍川首相、米国SLUMP 大統領、カナダ、ロシア、イギリス、フランス、ドイツ、ブラジル、オーストラリア、チリ領イースター島代表、コンゴ女神ウィルマ教信者代表の面々。
そして急遽招待した中国、周遠近主席など、数にすれば15ほどの参加国と代表である。
「周遠近主席、お待ちしておりました。急な連絡になってしまい、大変失礼致しました」
SHADOを代表して、保毛山課長に変身したカロヤン大佐が出迎えた。
変身は、中国にSHADO司令官の正体を見せない為の偽装工作。
「好、経済大国である我が中国を軽んじていたとは、到底納得できない好! 会議で十分に説明してもらうからな。好」
初っ端から高圧的な態度に腹も立つが、肥溜めに嵌めて利用するつもりなので、心の中で舌を出す。
大佐の横には、今や彼のトレードマーク、小さなマスクを掛けた安倍川首相がいる。
「大佐、打合せ通りに」
言葉少なめに、今日の作戦確認をする。
首相は極度の慎重派で、専門家や学識経験者がOKを出してからは、SHADOに協力的になった優柔不断な男。
代表たち要人は、サミット開始まで少々時間があるため、各自ラウンジで自由に寛いでいる。
と、その時
カッカッカッ、キキーィ
横滑り状態でブレーキをかけると、アンチロック・ブレーキが効いてこんな感じになる。
音の発生源を見ると、よほど急いで来たのだろう、ご主人様を発見したメーベが、はぁはぁ息を切らしている。
「ご主人様ぁー、ここにいらっしゃったんですかぁー、メーベは探しまくったんですから、もうプンプン」
今日のご主人様は、監視を兼ねた只の雑用係で、概ね出迎えが終わったのを見計らい、窓際のテーブルで一人カロリーメイドを齧っていた。
そこへ突然現れた4人のバニースーツsに、ご主人様の目が二点集中。
ジワー ジロー、ジワジワー。
舐めまわすように見る俺の目玉がオートフォーカスしてロック・オン!!
勿論視線の先は深ーい谷間、ぎゅーんと切れ上がった見事なハイレグにだ。
「おい、お前たち、それはちょっとやり過ぎというか大丈夫なのか? 殆どすっ裸に見えるぞ! 生地をケチったな」
俺の本心は超ハッピー! 眼福、眼福。
それと、一応俺の正妻候補者たちの美し過ぎる肢体を、他人の視線に晒したくないという、男の独占欲が成せる性。
「何言っているんですか審査委員長、みんなバニーガールコンテストで優勝しようと、徹夜してがんばったんですから、そこはもっと褒めてくださいね!」
4人を見ると、谷間とハイレグで気が付かなかったが、首から上が少し残念な事になっていた。
4人とも目が腫れ上がって、瞳が真っ赤に充血している。鼻から上が四谷怪談のお岩さんに近い! と言えば理解しやすいだろう。
「オエっ! その顔で接客するつもりか? せめて仮面でも付けた方がいいぞ」
「あっ、そうでした。私たち妖怪みたいな顔になっているから、仮面舞踏会みたいにするのも面白いわね、大佐だって変身してるし」
彼女たちも、素顔を見せない方が何かと都合が良い。こんな所で徹夜が役にたったとは。
即断即決で、ご主人様の言う通り4人が妖艶な仮面を付けると、これはこれで怪しい魅力満載の背徳バニーが誕生した。
彼女たちバニーの行動範囲はご主人様から半径10mまで、それ以上は絶対に離れようとしなかった。
一人のバニーが、ご主人様あーんと言ってオードブルを食べさせると、10mまでの範囲にいる要人へモンローウォークして飲み物を配る。
その間に別のバニーがご主人様に、あーんをする。
あーん、モンローウォーク、あーん、モンローウォークの自転車操業。
4人が交互に世話を焼くので、ご主人様の腹は妊婦のようにパンパンに膨れだした。
俺がさながらフォアグラを作るための、ガチョウかアヒルになっていると、周りの要人から不満の声が上がった。
「あの男は雑役係じゃないか、私らは各国から来ている代表者だぞ、無礼ではないか!」
『ごもっともでごぜぇやす』
声に出したいが、オードブルが喉まできて、謝罪ができない。
そこでご主人様からの目くばせで、本来の自分たちの役割をちょびっと思い出した4人のバニーたちが、尻をふりふりモンローウォークで要人接待に向かう。
「これでんがな、これ!」
「はるばるここまで来た甲斐がありましたな!」
「米国カジノのバニーガールとは、二味違いますね!」
などと、要人たちの評判がすこぶる良くなった。
それを耳にしたSLUMP大統領が
「America is NO.1!!」
と指を立てて騒いでいるが、ステラがシャンパンを差し出すと、待ってましたとばかりにエロい顔になった。
バニーたちも要人、代表者の扱いに慣れてきたせいか、彼らの機嫌が更に急上昇、行動半径が15mまで拡大し、どんどん集まって来た。
「集魚灯だな」
******
「ウーロン茶は無いのか! さっさと持ってこい!好」
周遠近主席は射程15mの外、誰も行く訳がない。
痺れを切らせた主席が、自らバニーたちに近づいて来た。
そして彼女たちを見た。
「なんじゃこの生き物は! 女なのか!? このような女がSHADOにいるというのか!」
こんなバニーは中国に生息していない。パンダは愛くるしいが、女ではない。
パンダにバニースーツを着せたら、それはそれで可愛いとは思う。
「SHADOか、SHADOと懇意にすれば、儂は彼女たちとパフパフ・・・まずはお友達から始めるのが鉄則だな、いかんいかん」
ウーロン茶の事なとすっかりすっ飛ばし、たぶんサミットの事もすっ飛ばしていると思う周主席は、バニー達に夢中になってしまった。
周主席は、どうやらSHADOと関わりを深めるつもりだ。
恐るべし最終決戦兵器バニー。一番の問題児を早くも篭絡してしまった。
主席のお気に入りは、一番身長のあるステラだ。
長い美脚に切れ上がったハイレグ、主張する深い谷間にもうメロメロだ。
いつでも出荷スタンバイOKの、フォアグラご主人様はずっと周主席を観察していた。
「ステラ、周主席は一番厄介で重要人物だ。サミット開催中はお前が周主席の相手をしてくれ。なあに、今日一日の辛抱だからさ」
その言葉にステラが崩れた。
「なっなんで私が、あんな嫌な男の・・メーベ、私と代わって頂戴!」
「やーよ、ご主人様の言いつけなんだよ、断ったらコンテスト失格だねス・テ・ラ」
「そうだった。これは私たちの戦争」
『ここは忍耐の二文字で任務を遂行しなければならない。しかしあの男の接待には虫唾が走る。やりたくない絶対に!』
そんなステラの気持ちを察して
「可愛そうだから何かご褒美を・・・あげようかなぁ、なんちゃって」
ご主人様から希望の甘い天の声が聞こえた。
「ご、ご褒美ぃぃぃぃぃ!」
そして、ご主人様がいきなり、ステラのほっぺにチューをした途端。
3秒時間が停止した。
爆ぜた。ステラが爆ぜた。とんでもなく爆ぜた。
鼻血式噴射で、ラウンジからどこかへ飛んで行ってしまった。
花火大国の中国。周主席もこれには拍手喝采。
「好ぉぉん! 儂ますます気に入っちゃった!、あのステラちゃんに! SHADOに全面協力しちゃうのだ! 好ぉぉん!」
像の雄叫びにも似た周主席が吠えている。
中国を目的どおり篭絡し、おまけに性格まで変えてしまったステラ。
「あっ、ちょびっとやり過ぎた?俺。しかし今回のステラは上出来だな。これはポイント高いぞ!」
いつの間にか、そこに富永審判員がマイクを片手に
「ステラ選手が素晴らしい活躍を見せてくれましたぁ! SHADOに大きく貢献した事を認め、10ポイント進呈します!!」
正妻のザ・ゲーム。この時点でステラ19/77。一位の16/77のクローン関野芽衣にを抜き一位に輝いた。
当のステラはどこかへ飛んで行ってしまったが、ポイントゲットと一位ゲットを知ったら、更に鼻血を飛ばす事だろう。
残り3人のバニーが般若と化している。これはまずいと思った雑用係は、その場から脱兎のごとく消え去った。
「くっ! こんなことなら、私がその役交代すればよかった!」
と悔しがるメーベだったが、損して得取れとは、正にこの事だ。
『人生とはハプニングの連続なのだよ、メーベちゃん』by 関野武。
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「大佐、我々の仕掛けたホームページに、中国が食いつきました」
米国情報部MIBの諜報員が、大佐にこっそり耳打ちする。
「うむ、どの程度情報をハッキングしたか分かるか?」
「それはもう、全てゴッソリ根こそぎダウンロードしていきましたよ」
*****
偽ホームページ
"やさしい脱出宇宙艇の作り方" まんまである。
劣化版反重力エンジンと、ご丁寧に定員1000人の宇宙船設計PDFファイルまで用意してある。
「後は、これを何隻建造できるかだな」
「それは余り心配は無いかと。中国は豊富な労働力があります。それに偽女神ウィルマ教の話も拡散しておりますので、地球の滅亡と脱出艇建造の話を、殆ど疑う者はおりません」
「それと、中国は脱出艇建造に関わった者が、優先して乗れるという工作をしていますから」
「なるほど、乗れるという飴を見せて、後で地獄を・・・なんとも悲惨だな」
汚い方法だが、これも生き残る為の選択。
それを緩和するための策が、偽女神ウィルマ教の布教と、準備中のアセンション計画なのだ。
SHADOがそう仕向けた、中国独自の脱出艇を建造させるための準備はできた。
後は中国の工業力を信じよう。
しかし、何隻建造しようが、救える命は限られている。これだけは変えられない。
サミット終了後直ちに、周主席は中国独自の脱出艇建造を命令した。
脱出艇の名は、主席自らが銘々した"素手等1000好"(すてらせんはお)。
その最大の功労者、ステラはまだ発見できない。
「おーい、ステラーぁ!」
呼べど空しい木霊が返ってくるのみであった。
俺はそんなステラが愛おしいと思った。
普段は言葉がきつく厳しいが、純粋なステラに。
予想しなかったUCAステラが活躍しました。
本人は行方不明ですが。
ステラに嫉妬した候補者たちの反撃が予想されます。




