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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
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EP39 地球人類救済サミットON THE BOINNA・PRINCESS号

2021年2月17日(水) 午前6時

サミット会場となった、沖ノ鳥島南の公海上にに浮かぶ豪華客船 "BOINNA・PRINCESS"号は、米国が用意した華麗で美しく、各国要人を迎えるに相応しい豪華客船である。


サミットは、午前10時30分から開催され、昼食を挟んで午後からも開かれる予定であり、早朝からSHADOクルーや、日本、米国の協力者が大勢対応に追われていた。



******

 ところ変わってSHADO船内では

暗黒帝国星系パンツ王女は、自室で関野武が"ラバーズ・キラー"仕込んだ酒を一昨日から飲んでいた。

今日も気持ちが不安定なのか、朝から飲んでいる。


 パンツ王女が、今まで感じた事のない違和感を感じたのは、サミットが開かれる前日の朝のこと。


「はて、儂はなぜ連邦の船にいるのじゃ? ミューを追って猿の星に来た事は間違いないのじゃが、何か重大な事を忘れているように思う。

それが何か思い出せんのじゃ」


 ラバーズ・キラーの効果がしっかり発動している。

******

一応パンツ王女にも声を掛けたのだが、


サミット会場のスタッフは、SHADO指名委員会からステラ、メーベ、ホル、ソフィアの4人が接客係とし名簿に上がっている。


「儂が地球の猿の世話を、何故にせねば成らんのじゃ! 儂は動物園の飼育員では無い、暗黒帝国星系王女パンツ・〇ミエール様なるぞ! ごちゃごちゃ言うなら、耳から手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせてやるのじゃ!」


 誰も笑わない。パンツ王女鉄板のギャグがまたもやスベって、惚けたカラスが一羽、艦内を飛んでいく。アホー、アホー。

 予想は的中。よってパンツは居残り組に決定していた。


 他にもミューがいるが、正妻候補者たちの隔離政策により、外出禁止令が出ている。論外だ。


 同じ居残り組でもディープ・グラスと、クローン関野芽衣が、最初から除外されているのは、沼より深い訳があった。


 その理由とは、ディープ・グラスは偽女神として布教活動で顔が知られていること。関野芽衣はグラビアアイドルも顔負けの美貌と、ボッッキュンボンの持ち主。

 ミューもミス惑星連邦のクローン・ボディなので、二人と同類なのだが、外出禁止令でうまい具合に除外できた。


 この3人に豪華客船の中をうろつかれたら、男どもが騒めきすぎて、まともに会議さへ始めることが出来なくなる。これではサミットを開く意味がない。


 こうした事情で、パンツ王女とディープ・グラス、関野芽衣、ミューの4名は、居残り組となった訳だ。


******


 サミット前日の朝、ステラ、メーベ、ソフィア、ホルの4人が自販機コーナーのガールズ・トークテーブルに集合した。

 議題は明日の、サミット要人接客についてだ。


「ねぇ、このメンバー編成、妙だと思わない?」

居残り組メンバーの選定に不思議がる者がいる」

いつも強気なステラだ。


「私たちってば、SHADOクルーの中でもトップクラスの美貌とスタイルの持ち主だから、選ばれて当然よね。パンツ王女は別にしても、ディープ・グラスと関野芽衣が選ばれていないのは何故かしら」


「ふーん、そう言われれば、そうかもー」(ホル)

「別にいいじゃない。ディープ・グラスはあの厚底眼鏡が必要だし、関野芽衣は、また計算とかの残業じゃないの?」(ソフィア)


「そうよねー、厚底眼鏡かけたディープ・グラスなんて、見られたものじゃないし、芽衣は頭デッカチで、役に立たないからだよ」

メーベは割と現実を見ている。

 「そうか、そうなのね、そーかー」ステラはまだ引っかかっている。


 ソフィアとホルは、別の記述に困惑してオロオロし出した。

二人とも、採用決定通知書の一文に視線が集中している。


             告


①次の者たちは、明日、地球人類救済サミット BOINNA・PRINCESS号で各国要人の接客にあたること


②要人接客に際しては、バニー・ガールのコスチュームを着用とする

尚、露出度の高さと生地の薄さは個人に一任するが、こちらの手の内は絶対に漏らしてはならない


③これは地球救済の最重要任務であり、決して私のドスケベ心は、加味されてはいないことを、強く強調しておく。重ねて強調する。しつこいようだが確認のために、もう一度だけ再度強調しておく


 要人接客スタッフ選定委員会

 委員長 関野 武

 

  以上


 選定メンバー委員長に、関野武の名前を見つけたソフィアが、嬉しそうである。

「あのー、皆さん、要人の接客は、露出度の高いバニー・ガールのコスチューム着用と書いてありますよ」

 ほれこの通りとソフィアが通知書を見せた。


 っつ!!

「バニー・ガール!! しかもこれを選んだのが、敬愛するご主人様!!」

「も、もう、これは、やるっきゃ無いわね! いいメーベ、ソフィア、ホル、やってやろうじゃないの!」


 ステラの意気込みは凄いが、他の3名は若干尻すぼみになっている。

「私、そんな恰好をするのは、ご主人様の前だけですから」

メーベは少し嫌そうだ。


「何を言っているのメーベ、客船にはご主人様も居るのだから、問題はないでしょ!」

それを聞いて、途端にパッと表情が明るくなるメーベ。


「そ、そうよね、それならメーベ、耐えがたきを耐えて着るわ!」

「その意気よ、私ステラは奮発して、悩殺ハイレグで勝負を掛けて、ご主人様を私の魅力でメロメロにするの!」


 誰を接客するつもりだろうか?各国要人の接客という、本来の目的が忘却の彼方へと旅立った。


 ソフィアもホルも負けてはいられないと、ステラ案に同意した。

とにかくこの4人の美貌とスタイルは、目の毒なのに加えてバニースーツという決戦兵器を装備したなら、敵陣営は鼻血ブーの出血多量で大量の死者が出ることだろう。


 ただ、彼女たちをディープ・グラス、関野芽衣と美しさだけで比較するなら、ほんの僅かの差で負けているだけなのだ。

100m短距離走で例えるならゴールで0.1秒の差、正にどんぐりの背比べと言えるだろう。


 ソフィアが何か疑問に思ったらしい。

「指令書に書いてある手の内って、何の事かしら?」


4人ともバニースーツで、ご主人様メロメロ大作戦が脳内を大行列していたため、SHADOの作戦情報を漏らすな! その真意に気付けなかった。

 そんなアホな。(影の声)


「あっこれは、きっと、各自バニースーツの過激度を、当日までバレないようにしろって事じゃない?」

 閃いたホルが熱弁した。

確かに露出度とか、生地の薄さとかは個人の任意と書いてある。

ステラがポンと手を打って、


「ああ、なるほど、私たち4人の手の内を、事前に審査委員長であるご主人様に知られていたら、勝負にならないもんね!」

「流石です! ステラさん名推理です!」

3人が納得してしまった。あり得ない。


 彼女たちの脳内では、ご主人様がいつの間にか、バニー・ガールコンテストの審査委員長に上書きされた。


 100%迷解答なのだが、恋する乙女たちの思考は、柔道一直線。誰も違うと気づかない。


 「さぁ、皆さん、これは戦争なの。私はこれから腕に寄りを掛けてミシンをかけるわ!明日の朝までがタイムリミット。時間がないわ。いくわよー!」

「あっ、私生地の薄い、スケスケを買わなきゃ!」

もう手の内を見せたホル。ステラは悩殺ハイレグと既にバレている。


 材料を調達したその日の午後から、4人は部屋に閉じ籠った。


カタカタカタ、ジャー、ジャーと、明け方まだ続いたその不気味な音は、深夜見回りの警備クルーを恐怖させたという。



******

 翌日、目にくっきりと隈を作った寝不足接客組の4人が旅立った朝、SHADO内自販機コーナーのガールズ・トーク専用テーブルでは、珍しくディープ・グラスとパンツ王女の二人が、顔を合わせている。


「して、ディープ・グラス、お主、今日は布教活動はどうしたのじゃ?はぁー」

「先程皆さんお揃いで、サミットのお手伝いに行きましたから、私はサミットが終わるまでお留守番ですわ。はぁー」


 二人とも、心にポッカリと穴が開いたような表情で、溜息ばかり。

「ねぇ、王女様、私、このごろ変なんですよ、ふー」

「奇遇じゃな、儂もここの所、何か重大な事を思い出せずに、悶々としておったところじゃ。だからこうして酒を飲んでおるのじゃ。はぁー」


 「ふー、何なんでしょうね、この喪失感というか、生きる気力が沸いてこないのは。はぁー」


 ディープ・グラスは持参したキャンディーを口に入れ、パンツ王女は手酌で持ち込んだ酒を飲み続ける。


 『答えはそれよ』とAIマリアがニヤリと笑っていた。

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