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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
38/70

EP37 開催間近の地球人類滅亡阻止サミット *

挿絵(By みてみん)

2021年2月7日(日)午前8時

 朝っぱらからステラ、メーベ、ホル、パンツ、ソフィア、クローン芽衣が、関野武の部屋に押しかけた。

怒り心頭なのが、パンツ王女である。


 いきなり、ドガァァァンとドアに回し蹴りを放って蹴破った。

本当はステラがやりたかったのだが、パンツの激怒振りが尋常ではないと知り、蹴りを譲ったのだ。


 部屋になだれ込むと、更に皆の怒りのボルテージがヒートアップ。


「ご主人様ぁ ゴロゴロ・・そこそこですぅ」

ご主人様が、人化したミューを膝に乗せて、モフっていたのだ。


「「「「ご主人様ぁぁぁ、こ、これはどういう事ですかぁぁぁ! あ、あんたがミューね、この泥棒ねこ!!」」」」

 ミューは、18年間ネコであった。


 俺は頭を掻きながら、

「いやぁ、一昨日まで猫だった習慣が俺も、ミューも抜けなくってさぁ、モフってただけだよ」

 「ほれほれ、ここか?ここだろ?」モフモフ。こんな感じだよ。

 「そこは、人間のパイパイで、もみもみでしょうが! アゥゥン♡ 私にも♡」

怒り心頭の筈が、正妻候補者たちの口から涎が出ている。


 ミューはと言えば、膝の上でお姫様抱っこ状態で、モフられ顔を真っ赤にして蕩けまくっている。

 「♡アフーン、アフーン♡もうらめぇー」


「ぐっ貴様、いつまでご主人様の膝の上におる! 降りろ!降りるのじゃ!」

 怒り狂う正妻候補者たちが、吸い付いて離れないミューを、全力で引き離そうとする。

 ミューは、あちこちが伸びたり縮んだりして、原型を留めてはいない。


 「「ア、アンドロメダ2000の警報音って、まさかミュー! あんたの仕業なのね!」」


 アンドロメダ艦長が憤慨していた、あの気の抜ける警報音は、ミューがご丁寧にも上書き不能設定にして録音したものだ。これは妨害工作で、敵惑星連邦の戦意を削ぐ作戦の一つなのだ。


 スーパーヒートしたパンツが、問答無用でミューを突き飛ばす。

「いったぁぁぁぁいんんんん♡」

 どうやらミューはMだ。


「馬鹿者!!ミュー! お前儂をまたまた裏切おって、こんな美味しい事を一人だけで!許さんのじゃ!!」

「「「そうよ、そうよ!! 」」」

大人しいソフィアも、そうよの仲間入り。


「正妻候補者は皆平等に扱うのがルール、ご主人様、聞いてます?」


多勢に無勢だが、彼女たちの言うことは正しい。

俺もミューと同棲を続けるうち、ミューに迫られて妙な関係になってしまったら、そこで俺の人生はジ・エンド。


「あ、ああ皆の言うことは、当然だ。今日からミューには別の部屋に移ってもらうから、それでいいだろ?」


「ふん、当然じゃ!! ミュー、儂はこの恨み絶対に忘れんからな。覚悟しておくのじゃ!」

皆が同意したので、取り合えずこの場は収まった。


 しかし、「オヨヨヨヨヨ」

哀愁漂う、伸び切ったパンツのゴムのようになったミューが泣きだした。

「私とご主人様の蜂蜜のように甘い、甘ぁい生活が、これから始まるという時に、わずか1日で別居、むごい、むごすぎますわ!!」


「「「別居じゃねぇ、隔離だ!」」」

ステラ得意の悪態は絶好調。

そして帰れコールの大合唱が始まった。


 少ない私物を風呂敷に纏め、後ろ髪を引かれながら、振り返りつつ涙目で部屋を後にするミュー。

 「ミュー、知らない町でも、達者で暮らせよ」今生の分かれを演出してみた。


 勝ち誇ったパンツが宣言する。

「これにて一件落着ぅぅ」


******


 一部始終を、監視システムで把握していた、AIマリアがほくそ笑む。

 『計画どおり』

 正妻候補者たちに、クローンミューの詳しい情報を流し、関野武の部屋まで誘導したのは、AIマリアだった。


 俺は誰も居なくなってから、ふと

「しかし、マゴロクが居なくなると、寂しくなるな。人化してしまったのだから仕方がないが・・・」


「そこはダイジョウV!! 」

機嫌の良いマリアが、手元スピーカーから喋り出す。


「あっマリア。今日はいつもより元気そうだな」

「それはそうでしょ、ディープ・グラスはワクチンでボケババア、今度は人化したクローンミューが退場。最高の一日ですわ」


「それにこれからは、マリアが寂しくなんてさせませんからウフ♡」

「意味深だな、おい」


「それはそうと、ご主人様、ワクチンの次なるターゲットはパンツ王女です。また"ラバーズ・キラー"でパンツを追い出しましょう!」


「ああ、そういう事、ならまた、キャンディーに仕込んでおくか?」

「いえ、パンツは毎日酒を飲んでますから、酒にトロリと」

 場面はいつの間にか、蝋燭の明かりが灯る薄暗い料亭へと変化する。

 AIマリアが、立体ホログラム映像を場面に合わせて投影した結果だ。


「越後屋、お主も相当悪じゃのう!」

「何を、お代官様ほどではありませんわ。ほほほ」


 標的は決まった。仕込み役は関野武だ。パンツ王女の部屋に忍び込んで万一バレても、パンツはご主人様なら疑わない。


 トローリ作戦は、パンツ王女が不在の日に決行される。


**********

 場所は変わって、中華人民共和国。

HOTLINEの赤い受話器を握る周遠近主席。


 中国上海難儀団が、ハッキングして掴んだ情報を元に、真相を米国SLUMP大統領に直接問いただそうとしている。


「好、ここは腹を割って話し合いたい。

SLUMP大統領、我々中国政府が入手した情報によると、SHADOという闇組織が2023年末に訪れる地球人類滅亡の危機を防ぐために、プロジェクトを進めていると聞いおりますが。好」


 大方の情報は漏れている。というよりリークしているのだ。

特に最初から中国政府に真実を話すと、様々な思惑と欲望を絡ませて、無理難題を要求をして来るからだ。


 特に脱出艇の肝である、反重力エンジンの秘密を知れば、中国は、軍事兵器に転用するだろう。その為、SHADOの指示で情報を小出しにリークし、釣り針を垂らしていたのだ。


 そして案の定、中国政府が餌に食いついてきた。


 「周主席、その件だが事実と認めよう。そして、近日中に対策サミットが開かれる予定だから、SHADOからも連絡が行くように手配しておく」


「好! 了解した。では、サミット会場で。好!」

 カチャリと受話器を戻すと、

 国家宇宙開発事業団の総責任者、金多亜満が入室する。


「おお、金か、今回の件、ご苦労であった好」


「周主席、SHADOは米国と共同で、地球脱出艇を建造しているとなると、我々中華人民共和国は科学、軍事力で負けています。

ここは、何としてもエンジンの秘密を盗み出し、我が国も独自の脱出宇宙艇を建造すべきかと愚行致します」

コピペ大国である。


 脱出艇が何隻建造されるのか、中国も大方の数字を掴んではいる。


「我が中国人民をどれだけ脱出させられるか、わかるか?好」


「中国に割り当てられる脱出艇は、恐らく1隻、乗れるのは約2000人前後だと思われます」


「うーむ、2000人か、それでは我々中央の人間と家族全員が乗れん数字よな、好」

国民を助けようなどと考えてはいない。まず自分と自分の家族、媚を売る中央政府の役人が最優先なのだ。

 これが国家のトップ。自分さへ生き延びれれば良いのだ。


 SHADO本部も米国も、中国がこのように考えることは想定の範囲。

AIマリアの情報収集と予測演算の成せる技である。


 SHADOとしては、中国が独自に脱出艇を建造してくれる事は、大いに歓迎するところだ。助けられる人間は多い方がいい。


そこで、中国がエンジンの秘密をハッキングしてくる事を予想し、あるサイトに誘導する。

「反重力エンジン製作法」という偽サイトだ。


 SHADOが建造する本来の反重力エンジンとは異質の、とにかく浮かび上がるだけしか能のない劣化版エンジン、*"ディーン・ドライブ"の情報を掴ませるためのサイトだ。


* 過去にゴーマン・ディーンというマッドな科学者が作った、簡易重力低減装置で、米国ペンタゴンや軍が握りつぶした闇のテクノロジー。


 これなら、地球衛星軌道まで上昇した脱出艇が、従来のロケットエンジンを噴射すれば脱出可能だ。


 SHADOと米国の思惑をよそに、近日開かれるサミットでは、中国が知り得ている情報のみを議題にする計画だ。そして、独自の脱出艇を建造させ、多くの中国人民を脱出させる。これが狙いだ。

 建造するための時間が無いため、サミットは緊急開催される。


 世界が思想と体制、私利私欲に走らず、助け合う精神があるのなら、こんな面倒な作戦を立てずに済む。

 カロヤン大佐も連邦クルーも、AIマリアも、今なら少しだけ、地球に惑星破壊ミサイルをブチ込もうとした、パンツ王女の気持ちが分かるような気がした。


「それでも我々SHADOは地球人類を救う!」

 惑星連邦の決意は固い。

ディーン・ドライブという反重力装置は、実際に米国で特許出願されましたが、実は嘘800のインチキ発明でした。

 やまじじいも若い頃、反重力を研究したことがありました。

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