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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
35/70

EP34 救われる命と見捨てられる命を誰が決めるのか、それが問題だ

2021年2月上旬 SHADO本部


 ペテルギウス超新星爆発と、我が太陽が共振するかのように引き起こされる宇宙大災禍。


 来るXデーを再計算するため、10日前からSHADO本部AI、関野芽衣W頭脳、日本国スーパーコンピューター富岳に同じデーターを入力し、計算結果を待っていた。

 この再計算は、同時に惑星連邦本店AIも行っている。


 AIマリアには、重要なデーター計算なので、処理を妨害するなと俺が言い聞かせてある。


 カタカタカタ ベー ペッ

SHADO本部AIの計算結果が、プリントアウトして吐き出されてきた。 「Compleate」


「大佐、出ました!」

同時に関野芽衣クローンが飛び込んでく来る。


「うむ、富岳の結果はまだか? それを待って照合しよう」

2時間後、富岳からの計算結果が送られてきた。


 タイトル X-Day 再シュミレーション結果

超強力宇宙線及びスーパーUV地球到達日

2023.12.24 1056 Days Later !


SHADO本部が待っていた答えがついに出た。

3つの計算結果が、同じ日付をはじき出している。

SHADOは、3年前に再計算したデーターを元に、各プロジェクトを進めてきたが、今回の結果で再度SHADO本部のカウント・ダウン計が修正された。


「我々はこのXデーの日付を元に、プロジェクトを進行させる。本店の計算も同じ結果だろう」

遅れて惑星連邦本店AIの計算結果が、宇宙速達ジャンプメールで送られてきた。


「うーむ、連邦の計算でも、やはりXデーは同じ結果だった」

再計算により、少しは宇宙線の直撃が逸れるのではないかと期待していたが、結果は非常であった。


「大佐Xデーは確実です。しかも最大パワーの宇宙線と、SUVが地球に到達します」

得意の暗算とそろばんで計算結果を出した、IQ250のクローン関野芽衣が断言した。


「最悪の事態になったな」

クルー全員が、淡い希望を失い、落胆した表情に変わる。


************

 2021年2月現在のプロジェクト進捗状況

①偽女神で救済作戦 女神ウィルマ教全世界布教率20% 信者10億人。

②アセンション波放出テスラタワー設計終了

③地球防御シールドBENZA プロトタイプ制作開始

④地球脱出艇建造計画 設計は進んでいるが、仮称超合金インフィニティ開発が遅れている。

⑤COMETプロトタイプ完成。

*プロトタイプは、超合金New-Zが暫定的に採用されている。

 仮称超合金インフィニティはBENZAにも、プロトタイプが完成している、小型コントロール司令船COMETにも使う予定の合金であり、開発と製造が急務である。



************

 そして予てより懸案事項だった救済人選計画会議が再度開かれた。


「これを先延ばしにばかりしておれん。ここで具体的にどうするのが最善か、意見を出してくれ」

意見とは、救う10万人を選択する基準だ。

これは、誰もが唸るばかりで、意見がなかなか出ない。


 尤もらしいのは、大国も小国の区別なく平等にXX人ずつ選ぶという"ノアの箱舟"案。

各国の政府関係者やプロジェクトに協力した人たちを選ぶ案

( 宇宙船やシールド建造に貢献した人たちを含む)

大金を寄付した人たち案

どれだけ考えようが、誰かを見捨てることに違いはない。


 現在SHADOに協力してくれている各国代表と、早急にサミット会議を持つことになるが、結果は同じであろう。

「最初に米国SLUMP大統領に、まず打診してみよう」


 SLUMP・・会議場に重い空気が流れた。

彼は米国第一主義者であり、自国の利益にならなければ豹変する、自由主義大国の独裁者。

 強硬な意見しか出ない未来が浮かぶ。


 それならいっそ、全員が地球で運命を共にする一か八か案もあった。

生き残れれば、建造した宇宙艇を宇宙開発に有効利用できるが、逆なら玉砕、99%の人類は滅亡する。

 脱出艇があるのに、それを使わないという選択肢はゼロだろう。。


 但し、救いの可能性がない訳ではない。

大佐が打診した、惑星連邦代議員からの大宇宙船団の来訪があるかもしれない。

しかし、解答は現時点ではまだ来ておらず、聞くところによると、連邦代議員たちも、この件ですったもんだしているという。


「この件はやはり、各国代表者会議の議題として、近いうちにサミットを開催しよう。SLUMP大統領が何と言うだろうか」

 我が国のどなたかのように、丸投げに近い締め括りで、またもや先送りするのであった。


************

 閑話休題


 小型司令船" COMETドック。

責任者のアビゲイルが、搭載AIの調整に頭を抱えていた。

「このAI、もう少し性能が上がれば、防御シールドBENZAのコントロールがしやすくなるのに」

と愚痴を言っていると、


 "ワタシハは最新のAIデス。機械に文句言ッテモセイリテキニムリ。コレデモ一生懸命デス"


「反抗してる。そういうとこだけは人間臭いんだよね。

誰だろう、こんなAIを設計したのは。こんな馬鹿げた仕様に、リソース使わないで欲しいわ、ホントに」


 この搭載AI、実はAIマリアだ。

アビゲイルの前では、猫を被って並みのAIの振りをしている。

それは何故か。


『私のご主人様を乗せるCOMETのAIが、あんなチンケなAIじゃ、任務遂行どころか、ご主人様が死んでしまうじゃないの。ここはマリアがサポートするんだから』


 マリアは以前からSHADOのAI機能全てを掌握し、あらゆる電子機器に侵入し操ることができた。


万能なAIマリアに一つだけ不可能な事があった。

「だけど、ご主人様には触れられない・・・」

マリアの最大の願望は、ご主人様と、いつでもどこでも、一緒に居られる体が欲しいことだった。


 どこかのSFドラマで、戦艦のAIと離れて、自由に動ける化身となり、人間型の美しい女性型AIの話があった。

 マリアは、そのドラマがとても気に入っていて、何度も何度もリプレイして見ていたのだ。


「私がサポートする以上、COMETは完璧に任務を遂行できる!そして、

COMETのことは、マリアが全て整備もコントロールもするから、アビは田舎にすっこんで、畑でも耕していてね!」


 AIマリアが、人間アビゲイルに一方的な宣戦布告をした瞬間だった。


「私の体・・・・」

AIマリアには、ある作戦があった。それは、クローン芽衣、ミューが闇通販でポチった、ミス惑星連邦クローンを真似て、自らがクローン体に転移することである。


 AIに魂があれば可能だが、AIは所詮電子回路。望みは無い筈なのだ。

その命題を突破すべく、AIマリアはかつて無いほどの演算を開始する。SHADOのプロジェクトの邪魔をするなと、ご主人様からきつく言われているので、演算は深夜に限っている。


そして、ある答えに辿り着いた。

魂の無いAIが、どうやってクローン体に転移するのか。

やまじじいも悩んでいます。

乞うご期待。

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