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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
30/70

EP30 乗り出す中国上海難儀団 *

小型司令船COMET& BOINBOINGアビゲイル by宮目果林さま

挿絵(By みてみん)


裏切者である筈のミューが、何故かパンツ王女の部屋にいた。

「のう、ミューよ。今回のあのゲーム、儂は腑に落ちんのじゃ。何故この儂がレッドカード、そしてお前が一発逆転振り出し戻り。儂とミュー、いや暗黒帝国派を蹴落とそうとする、連邦側の陰謀ではないかとな」


 それはあり得ないと思うミューだったが、この先何かと有利に運べるかも知れないと、同意を示す。

 「ミューよ、ここは暗黒帝国派同士、手を握らんか。勝負の世界は別として、連邦側の情報交換をするのじゃ」

 「はい、パンツ王女、お互い協力できる所だけ助け合う臨時同盟を結びましょう」

「うむ、流石は元我がメイド、話が分かっておる!」


 王女の手が猫の手を取る。味方のいないパンツにとって、猫の手も借りたい心境だからこそ成り立った同盟である。


 こうして砂上の楼閣同盟は結成した。


**************

SHADO (Supreme Headqnarters of Attack Defence Organisation)

最高攻撃防御組織が本格的に稼働した2021年。


 富永が主導する偽女神作戦は、徐々に効果が表れ、女神ウィルマ教が世界に拡散しつつあった。なんと信者が世界の宗教中20%である。

「アセンション計画は順調に推移している。そして新年早々の朗報、地球防御シールドBENZAはプロトタイプ製造まで漕ぎつけた。残るは地球脱出艇の建造だな」


 全てのプロジェクトを総括する大佐に、安まる日々はない。

それでも、正月三が日を楽しく過ごせた大佐は、リラックスしていた。


 今日は進展の遅れている、地球脱出艇の建造計画を協議する日だ。

************


「脱出宇宙艇ジュピターの設計はどこまで進んでいる?」

BOINBOING ボーイング社の軍事部門兵器開発局から派遣された、コールマン・オッペケペ技術主任が答える。


「はい、ジュピターは全長400m、開発中のテスラ反重力エンジンを搭載し、定員は2000名の設計です。期間から逆算して、Xデーまでに約50隻建造する計画です」

 

『50隻・・・・建造出来て救えるのは10万人か、当初計画よりは増えたが』

分かってはいたものの、改めて救える人間の少なさに、大佐は唇をかみしめた。

「それともう一つ。救世主が搭乗し、シールドBENZAを同期コントロールする小型司令船" COMET(コメート)のプロトタイプが完成しております。

後はコントロール機材を積み込めば、運用テストを残すのみです」


 コールマンが合図すると、BOINBOINGから派遣された地球人女性、アビゲイルが、COMETのホログラム映像を投影した。

 アビゲイルは生粋の地球人であるため、TOKIMEKI遺伝子を持っていない。

面倒なことにならないよう、事前に遺伝子チェックを済ませてSHADO本部にやって来た。


 アビゲイルは美しく可愛らしい。知らない人が多いだろうが、昔来日し、絶大な人気を誇ったフランス人歌手、ダニエル・ビダールに瓜二つ。

 スタイルはモデル同様。胸が歩く度にBOIN BOIN揺れて、目のやり場に困る女性だ。大いによろしい!。

 当のアビゲイルは22歳で未婚だが、研究に没頭するタイプで、恋愛に興味を示さずこれまで生きて来たのだった。


「COMETに関しては、このアビゲイルが担当します」


 「うむ、了解した」

短く答えた大佐の顔は穏やかだ。

 また一つのプロジェクトが実を結んだ。少しずつだが、結果が出るというのは嬉しいものだ。

 他にもBOCKEED MARTIN ロッキード・マーチン社の兵器開発局とNO-SLEEVE GLAMOR ノースロップ・グラマンの兵器開発部門からも技術員がSHADO本部に来ており、連日脱出宇宙艇ジュピターの設計に汗を流した。


**********

 ここは中国のあるボロアパートの一室。

揃いの人民服を着た男たちが10人、紫煙をまき散らして麻雀をしている。


 彼らは中国政府公認の上海難儀団のメンバーである。

というのは表向きの顔であり、裏の顔は中国宇宙現象研究会"チンロン"の幹部たちだった。

そこへ、一人の男が入って来た。

「お楽しみ中、悪いが」


 男が話す。名前は金多亜満。国家宇宙開発事業団の総責任者でもある。

 素性を知る男たちの手が止まった。


「好! 面倒などで日本語で話す。諸君らは知っておるか? 世界で妙な宗教が流行っているのを」


 勿論メンバーは知っている。何しろあの容姿容貌がグンバツで、あっと言う間に信者がネズミ算式に増えていくあの宗教、女神ウィルマ教を。

 世界中のあちらこちらに忽然と現れ、難病患者や怪我人を完全治癒し、微笑みながら空中に消えていく姿は、頭の固い中国人政府関係者からも注目されていた。


「あの女神の狙いは何だと思う?」金が問う。


 一部のメンバーは、女神が降臨する理由を聞いたことがあった。

「俺は噂話でこう聞いている。地球が2023年に滅亡すると」

2023年と言えば、もう後2年。その話に何か裏があるのかと、疑う者ばかりだ。

「もしかしたら、我が国の仏教を追い出し、女神ウィルマ教で国を乗っ取る腹じゃないのか。ハード面からではなく、ソフト麺からとか」


「好! 確かにソフト麺のスパゲッティはうまい。あれで我が国を篭絡するつもりか! 米国のSLUMP大統領が考えそうなことだ!」


ダン!と怒りに任せて机を叩く金。

ここにも変な思考の人間がいた。


 女神ウィルマ教は、中国にも出没するようになり、着々と成果を上げていった。

ポイントが溜まっていくので、当のウィルマは今日も絶好調。


 女神ウィルマ教の動画再生回数が天元突破、閲覧規制をいくらかけても動画が拡散していく。

中国政府はこれは異常な事だと、真相究明に乗り出すことになる。

 折しも、国家天文台から、ペテルギウスの超新星爆発は、実はもう起こっているという論文が発表されたこともあり、政府関係者の顔付も変わってきたのだ。


 もし地球が滅亡する事が確定しているのなら、中国は既に出遅れている。これはまずい事になると、多くの幹部が政府安産党総書記、周遠近に嘆願書を送ったのだ。

 これに答えた周が素早く反応する。

 

 周の命を受けたハッカー部隊が、世界中のネットワークに侵入して、ある情報を得る。

SHADO 中国が初めてその名を耳にし、その存在と活動の目的を知ることになった。

「まずい! 」周は驚愕し、また絶望した。

何しろ中国人民の人口は、14億人、どう対処すれば良いかが分からない。

苦渋の決断を下す時が来た。宿敵米国のSLUMP宛てにHOTLINEを繋ぐ。


「あのーもしもし、SLUMP大統領さんですか。あっどーもご無沙汰してます。周です。こんにちはー」


 今日ばかりは低姿勢な周。背に腹は代えられない。中国人民を救うため、国のため、彼も必死になったのだ。どんな情報でも入手したい一念で赤電話に唾を飛ばすのであった。


 その頃、黒電話はどうしているのか。

「ふふっ、我が国を守るのは核兵器だ! 俺は核で永遠に我が国を守る!俺の偉大な功績で、世界は俺を見る目が変わる!」

 変わらないと断言する。むしろ大馬鹿ものとして歴史に名を刻むことになるだろう。そして守りたいのは己の身だけだ。


 地球が滅亡するかも知れない事すら知らず、今日も核、核と宣う黒電話だった。

あっどーもこんにちはー。

やまじじいです。

今日も寝不足ですが、頑張っています。

どなたかご意見を頂けたらと、私の救世主様を待ち続ける毎日です。

愛はやまじじいをいつか救うと信じ、今日も生きていきます!


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