表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
22/70

EP22 人生すごろく 正妻のザ・ゲーム①

暗黒帝国星系王女、パンツ・〇ミエールは、直ちに母国の国王に結婚式の承諾を打診する。

ただの冗談だと思っていた国王、妃もどうやら王女は本気だと悟る。


「馬鹿者! 我が栄光ある暗黒帝国の王女が、こともあろうに惑星連邦が肩入れしている地球の猿と婚姻だと! 認められるはずがなかろう!」

これには妃も同意である。


 いくら王女に甘々な馬鹿親でも、これだけは許せない。物事には道筋というものがある。

そして相手が暗黒帝国の年頃の王女となれば、裏で諸貴族連中が暗躍し、己の権力の拡大を図るために、婿入りを画策しているのだ。


 王女が地球の猿と婚姻など、帝国諸貴族にも支配する星系にも、王のメンツが立たない。

 「却下だ! そしてパンツ、お前は一人地球で少し頭を冷やしていろ! 旗艦ノジャロゥリは撤退させる!」


 王の命令は絶対だ。旗艦ノジャロゥリは、兵士全員を乗せてさっさと帰還の途についた。


 惑星連邦G-ツェッペリンに残されたパンツ一丁、いや王女がポツリ佇む。

「儂を一人残して、本当に帰りよってからに」


 悲しみに暮れるかと思いきや、パンツ王女は逞しかった。

「ふっ、父上の本心は丸わかりじゃ、地球で夫と水入らずでまず暮らしてみよと。つまり同棲してから、正式な結婚式という流れか! 粋な計らいじゃ!」


全くの方向違いの勘違い。無知な思い込みとは恐ろしいものだ。

今や立場が180度回転し、惑星連邦の捕虜だとも思わず、大柄な態度は変わらない。


「皆の者、ここで儂と王子様の仮祝言を執り行う。準備するのじゃ!」


ミューの手が緑色の便所スリッパを取り出す。

「おおっと艦内が騒めいたぞ!」


いつの間にか、富永高夫がマイクを片手に実況中継を始めている。

クルーを含め全員が、この後の王女の結末を予見したからだ。果たして結果は・・・。

「さぁ、どう出る、ミュー選手」

選手扱いになった。


 スパーン! スパパーン! 「なぬ? 」スパパパーン! スパパパパーン! 「なんと!」

「便所スリッパの連撃ラッシュだぁ! これは効いているぞ!」


 緑色の便所スリッパだけではなく、エビ茶色、ウンコ色、嘔吐色など悍ましい色をした便所スリッパが王女をしばいた。


 涙目のパンツ王女が絶叫する。

「無礼者ぉぉぉ! 儂を誰だと思おておる。泣く子は泣いたままだが、ある程度の者は黙る栄光の暗黒帝国星系王女、エリザベスであるぞ! 頭が高い、高すぎる! 平伏して儂を崇めよ!」


「なんと!あれだけのラッシユを食らっても、王女の目は死んでいない!」


 誰も返事をしない。しかし、昔のよしみでミューが口火を切った。


「いつまで格好つけてんのよ。旗艦がいなけりゃ王女なんて、ちーとも怖くないんですよ! 王女、あんた自分の立場を分かっていませんね」

 いつの間にか、色とりどりの便所スリッパを持ったステラ、メーベ、ソフィア、ホル・マリン、偽女神は金色のスリッパを持ち、王女を取り囲んでいる。


「おおっと5対1になったぁ、バトルロイヤル潰し合い! これは不利だぁ! どう出るパンツ選手!」


「王女、今度結婚などという至高の言葉を口にしたら、宇宙空間に生ゴミと一緒に廃棄します」

「私ステラは熱愛するご主人様の正妻となる身、ぽっと出のロリパンツの出る幕はないのよ! あんたは大人しく地球の温泉街にでも行って、余生をゆるーく最後まで一人で過ごせばいいのよ!」

 ステラの物言いは強烈だが、ライバルである他の正妻候補者も反論はしない。


「ぐっ、このうら若き美貌の塊である儂が、王子と結ばれるのは、宇宙の法則、真理である。邪魔だてするな!」

「さすがに5対1は、圧倒的に不利。満身創痍でズタボロだが、パンツ選手気力で立っているぅぅ!」


 次は偽女神が王女の前に立ちふさがった。

そして、もったいぶってディープグラスをはずす。

「出たぁ、ウィルマ選手の必殺技、悩殺信者ホイホイ!」


正しく女神の容貌に、パンツも絶句する。

「そこまで!」

富永高夫がタオルを投げ込んだ。


肩でゼーゼー息をするパンツ王女はダウン寸前だ。

これでは埒が明かないと踏んた富永が一枚のボードを取り出した。


「正妻候補者の皆さん、私富永はこんな事もあろうかと、このようなゲームを用意しました。名付けて"人生すごろく・正妻のザ・ゲーム"」


正妻という名に過敏に反応する候補者たち。

「なんじゃ、そのゲームは?」

「なんなの?」

興味津々である。

**********


 説明しよう。

 日本に古くから楽しまれている、すごろくを富永が改良した一品である。

振り出しから、サイコロの目が出た数だけ進み、上がりを目指すという単純だが、奥の深いゲームだ。

 振り出しに居並ぶのは正妻候補者6名、上がりはコングラチュレーション! ご主人様と愛の三発四日、夢の逃避行と書かれたマスだ。

旅行付きらしい。

当然、行く手には落とし穴、一回休憩、3マス戻る、進むなど多彩な趣向が盛り込まれている。

 だが、富永はこれに貢献度ポイントを追加している。つまりご主人様と過ごした年月や、地球人類救済のためにどれだけ貢献したかが加算されるのだ。

 これにより、公平にご主人様の正妻の座を獲得できるという寸法だ。

候補者たちに異論はなかったと言いたいのだが。


**********

ミューが口を開く。

「面白いケームね。でも私はご主人様と16年も共に暮らしたのよ、つまり振り出しからではなく、16マス進んだ状態から始まるの。おわかり?勝つのは私、ホーッホッホッ」

猫が勝ち誇った。


「それならステラとメーベは2年間、ご主人様のクローン体のお世話をしたから、2マス頂くわ」

「私は、会社で3年間一緒に仕事をしました。ですから私は3マスね」

ソフィアも負けてはいない。


「おおっと、何も実績のないホル・マリン、パンツ選手が項垂れているぞ!」

ここで異論を唱える者が一人


「私はここ数回、偽女神としてご主人様と布教活動に専念し、効果を上げていますわ。確か地球人類に貢献していることもポイントが付くわね」


「はい、その通りです。ウィルマ選手はアセンション計画に貢献しております。よって2ポイントゲットです」

「よっしゃぁぁぁぁ!」

ウィルマ選手がガッッポーズをする。

対象的に、ぐっと唇を噛むパンツとホル・マリン


 そこで黙って聞いていた大佐が口を出す。

「王女には、貢献どころか多大な迷惑を受けたがな」

「なるほど、これは盲点でした。振り出しで3回ほど休むのが妥当か」

富永の一言に王女が慌てる。


「そ、それはノーカンじゃ、ゲームは今始まったばかりなのじゃから、儂が地球を攻撃しようとしたのはノーカンなのじゃ!それにミサイルは逸れているのじゃ」


流石に振り出しから3回休むのは聞いたことがない。ここは王女の言うとおりノーカンにした富永実況兼審判であった。


 ご主人様となる関野武の意志は全く無視して、"人生すごろく・正妻のザ・ゲーム"は開始されたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ