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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
18/70

EP18 暗黒帝国星系王女様は癇癪持ち

ペテルギウスが大爆発して450年後。

豪華絢爛な部屋で、一人の王女が歯ぎしりをしている。


「くっ ペテルギウスの爆発で、惑星連邦が滅べばいいと、高見の見物をしておったが、奴等なんなく切り抜けおった。忌々しい!」


暗黒帝国星系と惑星連邦は古より、犬猿の仲である。

惑星連邦領域で、宇宙大災禍ペテルギウスの大爆発が起きれば、手を汚さずに惑星連邦が弱体化するはずだった。


 しかしその後暗黒帝国星系側は、450年間何も手を打てなかった。ペテルギウス宇宙大災禍を乗り切った惑星連邦の結束が強固になり、迂闊に攻撃が出来なくなっていたのだ。


傍らにいるお世話係メイドに不満をぶちまけると、メイドがある情報を口にする。

「恐れながら、私が耳にした話では、惑星連邦はここから500光年離れた地球という惑星を救済する決定をした模様でございます」


 更に機嫌が悪くなる王女。

もともと好戦的な種族であり、更に一人娘ということで我が侭放題に育てられている。

そのせいで心を許せる友人などはなく、世話係のメイド、ミューだけが唯一親身になって接していた。


「ミュー、その話は本当か?」

「左様でございます。パンツ・〇ミエール様」


 王女の名前は正真正銘、王が名付けたものだ。〇の部分をマルと表記してはいけない。帝国貴族たちの間では、ゼロミエール様とかオーミエール様と呼ばれているのだ。


 パンツ王女は、自分の名前が大嫌いだった。我が侭に育った原因の一つは、このセンスのない名前も絡んでいたのだ。

ちなみに暗黒帝国星系では、パンツとは高貴なという意味だ。パンティーはその次に高貴となり、王女に相応しく最上級のパンツが選ばれたのは、当然の結果であろう。


**************

 暗黒帝国星系 王女 パンツ・〇ミエール

宇宙歴年齢は16歳、身長160㎝、ロングの黒髪に赤い瞳、スラリとした体形に相応しく整った顔立ちをした美少女だ。

性格は狂暴だが、本当は寂しがり屋なのである。それを理解しているのがメイドのミューであった。


**************


「くそー、惑星連邦のくそったれが! でミュー、地球とはどんな惑星なのじゃ?」

王女はのじゃロリだった。

「はい、まだ文明は低く、二足歩行の猿に毛が生えた程度と聞いております」

ふむ と疑問を抱く王女。


「しかしまた、なんでそんな猿どもを助けるのじゃ。儂には理解できんのう」

「なんでも女性代議員全員が賛成したため可決したと」


いったいどういうカラクリがあるのかと、興味を惹かれたらしい。ポンと手を叩くとミューを近くに寄せる。


「ミューよ、儂は地球に興味が沸いたぞよ。すまんが一っ走りして地球を調査してまいれ。それと惑星連邦が企んでいる救済計画を一つ二つ潰してくるのじゃ」


 矢継ぎ早の命令に戸惑うミューであったが、パンツ王女の命令とあれば断れない。

「御意」

と頷くと、その場で待機を命じられた。


何事かと思っていると、科学技術部門の技術者が3人怪しげな機械を持って入って来た。

「ミュー、お主を変装させ地球へ送り込む。ここに連れて来たのは、変身専門の科学者でな、お前が怪しまれぬよう、三毛猫バージョンに変身してもらう」


三毛猫は暗黒帝国星系でもメジャーなのかと疑問は残る。


ミューの頭部には今では見られない、電柱の裸電球に被せられていたアルマイトの反射板に似たプレートが乗せられる。

伸びたコードが何か卑猥な機械に繋がっている。


「パンツ王女、スタンバイ・オケケです」

「パンツ呼ぶな、なんじゃ、そのオケケとは、OKと言えアホどもが!」


 どうなるかとオロオロしているミューを差し置いて、コントを披露している王女たち。きっとミューを落ち着かせるための演出であろう。


「よし、スイッチを入れるのじゃ!」

 技術主任が叫ぶ

「メタモルフォーゼ! 」


 ズビズバー・パパ・パパ・パヤー

「なんじゃ、その効果音は、左卜全でも出てくるんかの?」


スイッチが入ると全身が痺れた。目の前がチカチカしているのだが、視線の高さが段々と低くなる。

胡散臭い効果音と煙が消えると、一匹の可愛らしい猫がいた。ミューである。


「成功です。パンツ王女」

「パンツ言うなって言っとるじゃろ! ボケ!」

用は済んだとばかりに、技術者はさっさと追い出された。


 あっけに取られているミューに、王女は囁く。

「いいか、ミュー。お前を惑星連邦の宇宙船に乗せる。裏から手を回して、連邦の隊員のペットとして乗船させるから、餌の心配は不要じゃ、それに下着の替えもいらんしのう、身軽でよかろう」


 身軽ではない、裸だと思うミュー。

それにミューは知らなかった。ミューを元に戻す方法を、技術者も王女も知らない事を。


 ミューは秘密潜入工作員として、直ちに地球に向かう惑星連邦宇宙船に乗り込んだ。

 数日後に、運命の出会いが待っているとも知らず、だだ王女の命令に従うためだけに。


 ジャンプドライブした先は、地球衛星軌道上にステルス状態で滞空している母船アンドロメダ2000。

 ミューを乗せた宇宙船は、アンドロメダにドッキングする。

ミューの潜入任務はここから始まった。


**************

 解説ミュー

 ミューは本当は言葉を話せるが、猫を演じている。

母船アンドロメダ2000に主人公が拉致され、地球に戻される時に、UFOに紛れ込んで主人公と共に地球に降り立つ。

 気絶している関野 武の顔を舐めまわしたり、ネコパンチで彼を起こしたのはミューだった。

 そしてミューは地球では老化が遅い。


 捨て猫だろうと思った主人公だったが、傍でミャーミャー鳴く三毛猫が忍びなく、家に連れ帰ったのだった。

 彼は三毛猫にマゴロクと名付け、以後ストレス解消に毎日モフるのだった。


 この時ミューは思った。

私を拾ってくれたまだ若い彼こそ、私の最愛のダーリンであると。そして毎日モフられる快感に、自分が秘密潜入工作員であることを忘れたいと思うのだった。

 ご主人様に拾われてから、33歳で亡くなるまでの16年間は、本当に幸せだった。人間だったら古女房なのに・・。


だが、ご主人様が亡くなったあの日、ミューは死を覚悟した。

関野芽衣に引き取られ、毎日生きる希望を失っていた時、芽衣の会話に小躍りした。

『惑星連邦と会話している! ご主人様がクローンで復活した! マゴロクを連れて来て欲しい! ご主人様の希望で?』


会える! またご主人様と! 長年生きてきたミューだが、これほど歓喜に打ち震えたことは無かった。

「生きてて良かった! 私の運命はご主人様と共にある!」

願わくば人の姿になって、ご主人様の胸に飛び込みたい。

そう願うミューであった。


**************

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