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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
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EP17 俳諧する潜入妨害工作員ミュー

動画ウエブサイトでは、ある動画が世界中から注目を浴びた。

治癒魔法により完全治癒した村人たちが、裸踊りをしながら随喜の涙を流し、女神様を称える動画が、あっという間に拡散したのだ。


 コンゴのとある村は、女神様発祥の地として礼拝堂が建築された。

財政状態の良くない村であっても、村民が惜しみなく財を提供した結果だ。


「女神様は御身の事をウィルマと申された。我々村民は、尊き御名"女神ウィルマ教"を信仰することを世界に宣言する!」

この村長宣言が元になり、女神ウィルマ教の名が拡散していくのは早かった。


世界の受け取り方は様々。CG合成だ、マジックショーだ、新手のmytuberだという懐疑論者がネットで持論を展開している。


しかし次はどこに降臨されるのか、不治の病を抱える家族たちは、祭壇を作って祈ったり、祈祷師を呼んだり、果てはイワシの頭にまで祈るのだった。


祈りの波動はSHADOが全方位で受信しているため、次なる降臨場所を富永が決定している。

 UFOヴリル・オーディーンを使えば、あっという間にどこへでも行けるため、世界を平等に降臨する計画だが、001の任務とウィルマの体調も考えて、週休二日で一日1回の降臨とした。


 リモート状態のウィルマ自身は特に何もしていないのだが、SHADO本部に帰還する度に、

「ご主人様ぁ、私少々疲れました。ご褒美にアレを頂けませんでしょうか?」

と甘えるのだ。

アレとはチューのことだ。

 俺はいつも傍らに徘徊しているマゴロクを捕まえる。


「ウィルマ、目を閉じろ」

「っつ はひ」


マゴロクの口をウィルマの口に合わせる。


キュゥゥ スッポン

便所が詰まった時に使う、例のゴム吸盤が出す音そのものだ。


 途端に溶解していくウィルマ。

『こんなもんでか!!』


毎回おねだりされる度にマゴロクキッスをしているのだが、当人は極度に目が悪いのもあってか、全く気づかないのが幸いだ。

『気づけよ!』


今日も床に蕩けてしまった。

「これ、いつかバレるんだろうな」と思いながら、お詫びにとマゴロクと戯れるのだった。

「マゴロク、いつもすまないな」


ニャーゴロ (仕方ないわね・・・・)


**************


 カロヤン大佐は満足していた。

「これなら、アセンション計画に弾みがつく。よくやった富永、001、おっとウィルマもな」


 偽女神様だけ退場させ、アセンション計画人員のミーティングが始まる。


「主任技術者である関野芽衣、状況説明を求める」

ホログラム参加の関野芽衣の映像が、テーブル中央に映し出された。

芽衣は専業主婦であるため、夫が出勤した後に、地下に密かに作ったSHADO製ラボで研究をしている。


「現在アセンション計画の要である、シューマン共振理論を応用した特殊な電磁波発生装置は、ハンディープロトタイプが完成しています。タワーが完成すれば、試験運用が可能になり、運用結果でバグ修正し、今後完成版を建造できます」


**************

 ここでアセンション計画とは何か、解説しておこう。

Xデー到来による人間のパニック、暴動を抑止するため、事前準備として「偽女神で地球を救え」作戦がまずまず順調に進んでいる。


 前者は信仰による効果を狙うためであり、アセンションに使う特殊電磁波は、人間の脳に直接作用し、半強制的に改変させる洗脳波だ。

効果は永続的なものではなく、一時的なものだが、Xデーが収まる時間を稼げればよい。


 そして仮称アセッション波をソフィアの会社屋上に立てられたタワーから発信するのだ。

アセッション波を浴びた人間は、エゴや暴力を否定した悟りの境地に至る。

女神ウィルマ教とアセッション波の相乗効果により、パニックを起こさずXデーに対処するという計画なのだ。


**************


「よし、続けてSETI新藤かほり、プログラム開発はどうなっている?」

中央のホログラムが新藤かほりに切り替わる。

「ママ」

ソフィアが呟く。


「制御プログラムは、ソフィアたちが開発しているタワーと密接な関係にあります。従って一度プロトタイプの発生装置とタワーを接続した状態で、プログラムを動かす必要があります。

 適当な場所で運用テストが必要かと思いますが」


「3つのプロジェクトが同時進行している。可能なものからテストを始めよう。

テストはG-ツェッペリン3000の甲板で行うとしよう。関野芽衣は特殊電磁波発生装置、ソフィアはタワー設計図、新藤かほりはプログラムを用意してくれ。後ほどヴリル・オーディーンを迎えに送る。関野芽衣にも迎えをやる。準備してくれ」


「「「ラジャー」」」


こうして、アセンション計画は一歩前進したのだった。


だが、一人、心の奥底で葛藤するものがいた。


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