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SF 正妻の座争奪戦争   作者: やまじじい
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EP11 SERN(サーン)のナイスバディ美人エージェント

関野芽衣 (旧姓緑川芽衣)は、今は主人公の弟である蓮の妻だ。

芽衣もまたソフィアの母、新藤かほりと同じようにプログラム技術に秀で、IQ180の頭脳を駆使すれば、電子工学の分野でも天才と言われる筈だった。

だが、そうはならなかった。


 芽衣が惑星連邦にアブダクションされたのは埼玉県の某中学2年の時。

それは夕暮れ、部活の超常現象研究会から、ふんふん鼻歌混じりで帰宅途中のことだった。


「♪ふんふんふん、鹿のふん♪」何故か吉永小百合の歌が芽衣のお気に入り。


そろそろ街路灯が点灯して、民家の少ない公園前に差し掛かった時、聞きなれない昆虫の羽音のような、ヴビー ヴビー という音で鼻歌が止む。

 何気なく視線を上に向けると、薄黒いお皿が黒煙を吐きながら浮かんでいた。


 超常現象研究会の会長である芽衣には、その正体がすぐ分かった。

「あれは、あのシルエットはヴ、ヴリル・オーディーン!」


 第二次世界大戦末期、ナチスドイツ第三帝国が秘密裏に開発したという反重力エンジンを装備した秘密兵器である。

 ナチスドイツ帝国陥落後には、その設計資料を奪わんと、米国、英国、ソビエト連邦の秘密諜報員が血眼で探し回ったことは、多くの証言により今では真実だったとされている。


 芽衣はUFOの知識をいろいろな文献から読み取っていて、IQ180が全ての情報を記憶している。


 「このパターンだと、私はアブダクションされるのね。着替え持ってないし、お腹も空いてるし・・・・・・」


 なんて考えているうちに、アブダクションされた。

黄色い便所の球のような光線が伸びてきたかと思うと、なんの浮遊感もなく上昇していった。


 「あれ、エレベーターに乗っているのと同じじゃん」

 冷静な分析である。

『頭の中は、中で何か甘いものでも出してくれないかな』などと呑気なこと考える芽衣だった。


 ヴリル・オーディーン? に吸い込まれると、STATRE(スタトレ)に登場するような転送ルームに出た。

「こ、これが転送装置! 興味沸くわ~」

アブダクションされた事に、何の不安も感じていないらしい。無邪気な子供そのものだ。


「オホン、ようこそ緑川芽衣さん」


 声にはっとしながら振り向くと、軍服にブーツという長身の男性が立っていた。

『この人物はUFO文献に出てくる、オットー・スコルツェニー大佐?』


「緑川君、君がそれ程に我々に理解してくれて、とても助かる」

『このおっさん、テレパシー使ってる。SF物の定番だわね』


 オットー・スコルツェニー大佐というのは、ナチスドイツ帝国に実在した軍人だ。とっくの昔に死亡しているのだが、なかなかの博識に感心する。


「私はカロヤン大佐という。よろしく頼む」

「え~とですね~、私お腹が減って脳が死にそうなんですよ~。何か甘いものありませんかぁ?」


「アブダクションされて、ここまで肝が据わっている人間、少女は私は初めてだよ」


腹が減っていて、この後の面談に差しさわりが出ると任務遂行に支障が出る。ここは彼女の言う通り、備品のカロリーメイドイケメン甘々バージョンを3個ほど差し出す。

 

 それをバリバリ食べ始めるや否や、急に眼を白黒させて痙攣が始まる。

「なんや、面倒な少女やな、ほれ」

と言って強炭酸スッカリスカットを無理やり飲ませるカロヤン大佐であった。


「プハーっ 川の向こうで、死んだ爺ちゃんが手招きしてたわ~、ゲふぅぅ」

『なんやねん、この中学生は。本当にIQあるんかいな』


 肝心な話が出来ず、ちょっとイライラするカロヤン大佐。

「君が思った通り、この機体はブリル・オーディーンだよ。それとオットー大佐とは昔、面識がある。第三帝国の軍人だったから、とても面倒で残忍な奴だったな」


「ドイツの秘密兵器に何故我々が乗っているかって?」

『また、心を覗かれた。おっさんの前では、Hなことは考えないようにしなくては』とH思考にシャッターを降ろす。


「うん? H ? 少し訂正しておこう。ブリル・オーディーンに搭載されている反重力エンジンは、我々が提供したものだよ」


「ふーむ」

 カロリーメイド イケメン甘々バージョン3個分が効いてきたのか、IQが本来の仕事を開始する。


「私は不思議に思っていたのよさ。大戦末期にあの科学技術はあり得ないとね。それに、ブリル協会とかトゥーレ協会という秘密結社が、反重力理論を持っていたと噂されていたんだよね」


**************

 その時アラームが鳴り響いた。

要注意警報レベル3だ。最高レベルは10だというので、黄信号くらいの感覚だろう。

 すぐに別の乗り組員が入室して来たので、大佐は芽衣との面談を一旦中止し、報告を受ける。


「南極上空のオゾンホールが拡大し、大量の紫外線が降り注いでいます。このままでは、オーストラリア、ニュージーランドの住民と動植物に影響が出るのは必至です」

 

「うむ」

鷹揚に返事をし、芽衣と面談を再開する。

芽衣の頭脳が今の状況とキーワードを分析する。

『反重力エンジンは我々が提供した。第三帝国、オゾンホール拡大による被害』この3つから連想されるもの・・・・IQ180が高速演算してある推論に辿り着いた。


「地球環境の破壊を齎すのは紫外線。それにより将来人類に大きな影響が出る。そのための反重力エンジン、第三帝国への供与は、エンジン開発を早めるための前準備、UFOは地球脱出のために人類が必要としている脱出艇、或いは移民船?」


 この導き出された推測に大佐は大いに感心する。

「見事だ芽衣、80%正解だよ」

 芽衣の高速演算は素晴らしい。大佐が説明する事柄を的確に把握し対策を考えている。


「大佐、つまり私はこのIQを駆使して、未来の地球環境を守れと」

興奮して目に炎が宿っている。

「その通りだ芽衣。そのために君にはある組織に入ってもらう予定になっている」


 もう就職先まで斡旋してくれるとは、とても親切なおっさんだ。それにやり甲斐度100%、スーパーヒーローのようなお仕事なのだ。


 「SERN(サーン)欧州合同素粒子原子核研究機構だよ」

スイスのジュネーブにあり、我々の計画を実現するのに重大な役割を持っている組織だ。


「それともう一つ。SERNは我々が所属するSHADOの下部組織だよ。その他にもSETI協会や色々な研究機関、組織、企業がSHADOの下で動いている」


 SHADOという途轍もない組織の全貌は、まだ芽衣には想像できない。ましてや救世主の存在を知ることになるのは、また後の話であった。


「芽衣、君はまだ中学生だ。正式にSERNに配属するのは高校を卒業してからになる。それまでに我々は、君を受け入れる準備をしておくし、連絡はテレパシーで行うので、秘密が漏れることはない。それに課題も出しておくので、精進してくれたまえ」


 知らされた任務の重大さに驚くとともに、自分のIQが地球救済の役に立てると思うと、目の前に光明が差した想いだ。

この時既に芽衣は決心していた。


 「芽衣が地球を救う」と

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