キングダムプリンセス パイロット版
試作的に作者が書いただけなので、連載予定はいまのところはごさいません。
続きが気になる人は、コメントやレビューなどで、もしかしたら・・・検討します。
やあ、初めまして皆さん、これは俺に起こった話なんだが良ければ聞いてくれないか。
話の始まりはそうこの会話から始まるんだ。
「GUUUOOO」
「はあ、はあ、どうだ魔王」
「見事だ勇者よ、よもやたった一人にこの魔王が倒されるとは」
え、なんで魔王との戦いが最初だって、そこはまだ問題無かったんだ。
じゃあなんで魔王と戦っているって言われると、よく有る?異世界召喚で魔王を倒せってやつ、あれをやってどうにかこうにか魔王の城に行ってさ、それでようやく魔王を倒せたんだよね、ん、なんで一人なのかって?
いや、俺はボッチじゃないよ、ほらテンプレの魔王を倒せば元の世界帰れるからさ、親しい人物は作らないようにね一人で来たんだよ。
そうこうしていたら魔王が消滅していく、それと同時に俺の足元に転移魔方陣が展開される、俺の視界が白く染まっていく、目を開けば地球に戻っているだろう。
転移が終わった感覚がしたから目を開くと、そこで問題が発生したんだ。
「あれ?ここ何処だ」
あ、言っとくけど、地球の知らない所に飛ばされたオチじゃ無いんだよ。
俺が知っている地球ならば、あり得ない物がそこら中に有るんだ、足元には転移用魔方陣で壁に灯りは電気では無くて、俺の見立てが正しければあれは魔石燃料で光っている。
あれ?、異世界から異世界?、おかしい魔王を倒せば本来の自分の世界に帰還の転移魔法が発動するって、俺も転移の際に現れてた魔方陣を思い出すが、確かにあれは帰還用にだった。
俺が混乱していると、衛兵さん達が俺を取り囲んでいた。
「大人しくしろ!!」
あ、良かった言葉は分かる、衛兵さんが叫ぶけど俺は今の処は抵抗する気は無いし、俺の今の装備は魔王城から転移する際に装備はBoxって魔法で仕舞ったから、今の俺の服装はシャツにズボンとスニーカーの地球では一般人の服装だし、それに前の世界の魔法が使えるか分からないから、つまり俺非武装だよ、だからそんな恐い顔で睨まないで欲しいな。
「王様に報告だ急げ!!」
「はい!!」
あ、王様いるんだ、偉そうな人が色々指示を出していた、俺は両手を挙げてとりあえずは反抗の意思が無い事を示しておこう。
それから大人しくお縄について王様の前にしょっ引かれていく、衛兵さん痛いよ、もう少し優しく扱ってくれないかな。
「王の入室である、皆の者面を下げよ」
宰相の人らしい人が進行していく。
「皆の者面を上げよ」
因みに俺はまだ下を向かされているよ、衛兵さんに槍で人の首を押さえつけられながらだけど。
「その者が報告に有った者か?」
「は、転義の間に侵入を計った者です」
「転義の間とは、あそこは厳重に鍵が掛かっているはずだ」
「は、この者が現れた時も鍵の掛かったままでした」
「何故この者が侵入した事が分かったのだ?」
「衛兵の証言ですが、転義の警備中、突然部屋の中から光が漏れ出したと、それで鍵を管理していました私の所に報が入りましたので急行して捕縛した次第です」
「目的や進入経路は?」
「ここに連れてくるまでこの者は沈黙を守っていまして一言も喋りません」
「ふむ、この者の面を上げさせよ」
王様の号令で顔を上げさせる、やあ王様、ふむふむ、絵に描いたような王様の格好をしているなと思う、死刑判決されても困るから魔力を練っていつでも動けるようにしとこ、うん、この世界でも魔力が使えるようだと思ったら、王様がガタと玉座から立ってこっちに来る。
あれ、王様ご乱心ですか?やっぱり首跳ねられるの俺?流石に抵抗するよ。
「王危険です」
そう衛兵さんが叫ぶけど、王様の危険よりも、王様が危険だと思うんだ俺、すごい迫力で迫ってくるギリギリで障壁の展開すれば隙が有るかなとスタンバイだけにしてる。
すると王様は俺の肩を掴んで叫ぶ
「レオンハルト!!」
「は、はい?」
急に呼ばわりされて焦って返事をしてしまったが、誰それ?、レオンハルト?、俺はそんな中二的な名前じゃないよ忘れたけど。
「間違えない、やっと帰って来てくれたのか!!」
「すいません、レオンハルトさんって誰ですか?」
「ああそうだな、兎に角宰相、人払いと部屋の準備を」
「は」
宰相の一声で皆退席していく、俺は宰相と王様に連れられて豪華な部屋に案内される。
「落ち着いてよく聞け、お前は私の息子だ」
えーと、なんだ何処の星の戦争だ、落ち着け俺は貴方の子供ね・・・What?え、すいません言っている意味が分かりません。
「混乱するのも無理は無いレオンハルト、お前にこの世界の記憶は無いはずだ、お前が赤子の時に何者かの手によって別の世界に飛ばされたのだ、私は呼び戻そうとしたが異界転移は禁術でな、この世界が脅威にさらされていなければ召喚出来ず、しかも召喚した場合は別の者が召喚されるために、私は諦めるしかなかったのだ」
「あ~すいません、俺が貴方の子供で有る証拠は?」
「あ、ああこれだ」
王様が手の甲を俺に見せながら魔力を練るすると、手の甲に紋章が浮かび上がる、あれこの紋章は!?
俺も魔力を練ると俺にも同じ紋章が浮かび上がる。
「そう、その魔力回路が息子の証拠である」
そうなんだ、俺はてっきり前の世界に飛ばされた時に付属されたチート能力の何かだと思っていたよ。
「はい、質問です」
「何が聞きたい?」
「この魔力回路は偽造出来ないんですか?」
「それはムサ」
「は」
宰相さんは返事をして扉を開けてローブを纏った爺さんを部屋に招き入れる、宰相さんはムサって名前なんだ。
「王様、この老いぼれに如何様で」
「魔力回路の偽造に付いての説明をしてもらえんか」
「畏まりました、ではまずは魔力回路とは魔力を扱う者が長い年月を掛けて刻む家紋のような物でな、この世界に同じ魔力回路は無く近親者は限りなく似た魔力回路が発現するがよく見ると細部に違いがある」
王様の魔力回路と俺の魔力回路を見比べると確かに似ている違いが分かったので、爺さんに向かって頷く。
「だから、見る際は司紋を確認する、司紋とは我らの祖先が初めて魔力回路を発現して時の紋である、それから交配や更なる回路の発現で複雑化したが司紋だけは不変である、ここまではよろしいか?」
爺さんが聞いてきたので俺は再び頷いた、なるほどね司紋を見れば何処の家の人か分かる訳ね。
「次に魔力回路の偽造は答えから言うなら不可能である、何故ならば我々が魔力を行使する際は必ず本当の魔力回路が出現する、が隠蔽は衣服などで隠すことは出来る」
なるほど偽造は無理なのか、そうなると話よると目の前の王様は俺の親父になるのか、え、俺王子様、ちょっと待て、急展開すぎるだろう状況が。
「状況は分かりましたが理解出来ないです」
「うむ、突然で混乱するだろう、レオンハルトを部屋で休ませよ、夕刻には他の家族と合わせよう」
王様が部屋を出て行き時に更なる爆弾を落として行きやがった、いや、待て待て、冷静に考えればそうだよな親父一人で俺を産めないよな、両生類じゃ無いもんな、だよな?
使用人に案内された部屋に到着して直ぐにベットに倒れ込んだ、あー疲れた、魔王と戦ってから休み無しだからな、瞼重たい、色々考えなければ成らないことがあるが取りあえず、お休み。
コン・・・コンコンコン
うあ、あーどの位寝てたんだ、うわ、バキバキすると言うかさっきから誰かが扉をノックしているような
、取りあえずは返事すればいいか。
「はいーよ」
返事をすると扉がガチャと音を立てて開くいたらそこには王様がいた。
うわお、王様がわざわざ扉をノックするってよく考えるやばくない?
「どうかしましたか?」
俺は平穏を装うって親父に聞く、いや、親父って言っても王様に扉をノックはないでしょ、うん、無いな、俺は早速処刑か?
「疲れている様だな」
「そう・・・ですね」
「ふむ、流石に会ってから直ぐには父とは認められんか」
「すいません」
「やむえんよ」
「俺の母親は?」
王様の顔が一段と暗くなる、なんだろう地雷を踏み抜いたか、それとも不発弾が突然爆発させた感じだが聞かない訳にもいかないよな。
「アンリは、レオンハルトお前を出産して」
「・・・・・・そうですか」
やっぱり地雷か、俺は余りピンと来ないな、うーん会ったことがなければ親って言われても違和感しかないな。
「すまんな、先に会場に行っていてくれ」
王様が手を叩くと使用人が入って来て、此方にと言われて後を付いていくと衣装室に通された、俺正装って嫌いなんだよな、しかも、着替えさせられるって俺の常識には無い、あ、あれが使えれば何とかなるかな、この世界で前の世界の魔法が使えますように。
俺が魔力回路を出現させると使用人の人達は困惑してる。
まあ、着替えさせようとした人物がいきなり魔法をぶっ放そうとしたらビビるよな、うん、この感じ行ける、俺は呪文を唱える。
「《Convert》」
一瞬で俺の服装が替わり、正装の出で立ちになる。
このコンバートは前の世界で俺が作ったオリジナル魔法でBox内に入っている物を瞬時に入れ換えることが出来るから、戦闘中とかに装備変更なんかで役に立った魔法だ。
因みに地球に帰れて魔法が使えたら一発芸で早着替えでもやろうと考えていた。
「服はこれで良いかい?」
着替えさせようとした使用人はお辞儀して退室していく、部屋を出ると待機していた案内役の使用人が驚いていた、まあそうだよな、着替えに行った人が一瞬で着替えて出て来たらそら驚くわ、脅かしてごめんよ。
会場前の扉に到着すると部屋の中ではいつの間にか談笑する声が聞こえてきた、先に入室した使用人の人が大声で。
「レオンハルト様のご入場です」
会場が静寂に静まり返ってから俺の目の前の扉が使用人達の手で開けられた。
うわ、プレッシャーが半端ない、帰っても良いですかってここが家になるのか、しょうも無い事を考えても好転しないから入るか。
うん?部屋の中は予想していたのとは違っていた、俺の予想だと大人が沢山いて社交辞令の飛び交う場所をイメージしていたが、部屋の中にいるのは俺よりも年下の女の子達がいた。
これは俺の感覚が正しければ物凄く嫌な予感が・・・いや、いや、大丈夫だ違うだろう
俺が思考の旅に出掛けていたら揺すられる感じがした、いつの間にか俺は女の子達に囲まれていた、そして揺すられたの方を見ると130㎝ぐらいの女の子が俺の服の裾を引っ張っていた。
「レオンハルト様」
「あ、え、ああ俺か」
声を掛けられた方には黒髪をサイドアップに簪の様な髪飾りを着けた少女が立っていた。
「何か用かい?」
「ここにいる皆はレオンハルト様の魔力回路を見せて貰いたくて、本当にレオンハルト様なのか確認したいので」
黒髪の少女に言われた通りに魔力を練って魔力回路を出す、ここにいる女の子達全員が魔力回路を眺めていく。
するとここにいる女の子達の顔色が色々な表情になる、説明してもらいたいと思っていると。
「私が説明しよう、此方にレオンハルト様」
声のする方を見ると宰相さんが少し離れた場所に立っていた、俺は宰相さんに近付いてと少女達がいる部屋の隣の部屋に場所案内される。
ソファーに座って何も分からない俺は、とりあえずあの女の子達について宰相さんに向かって話を切り出す。
「あの女の子達は何ですか?」
「あの子達はレオンハルト様のお妃候補です」
「ちょっと待ってください」
あの会場にいた子達を思い出すが、かなり小さい子もいたぞ。
「質問です」
「何でしょうか?」
「あの子達から選ぶんですか?」
「レオンハルト様が気に掛かる女性が他にも?」
俺が言いたいことは他にあるだ、俺の倫理観が許容していない。
「選ばなければダメですか?」
「直ぐにとは申しませんが、選ばれることをお薦めします」
「嫌がっていそうな子もいましたけど?」
「確かに仕方無しで居られる方もいるでしょう」
「と言うよりも、今会ったばかりであの子達の事を何も知らないのに選べないよ」
「今回は顔合わせが目的ですので、そこまでは求めていません」
「じゃあ本題だけど、いきなり帰ってきた男に結婚相手を宛がうその目的と理由は?」
宰相さんが少しだけ言い淀んでから、静かな口調で語り始めた。
「レオンハルト様、貴方がご帰還される少し前ですが、父君である国王様は突然何者かに呪いを依り、その呪いで余命が片手で数える年数しか残っておらず、継承争いが勃発するかと思った矢先に王位継承権一位レオンハルト様がお帰りになられました、ので継承問題は一先ずは問題は先送りに出来ましたから、次の問題の婚姻、そしてお世継ぎをと言うわけです」
「何者か?呪いを掛けた呪術者は分かっていないのか?」
「はい、国の総力を上げて呪い調べましたが、これ程強力な呪い例が無く」
「なるほど、じゃあ違う話で嫌そうな表情した子がいた訳を知ってる?」
「思い当たる候補者ですと、その候補者の兄君が王位継承権で勢力争いをした際は、有力候補だった為にレオンハルト様を逆恨みしているだけでしょう」
「いや、だけって、初対面の前から嫌われているってどう言うことだよ」
「兎に角、顔合わせを済ませましたら、本日はお休みくださいませ、明日は王都から学園都市に移動ですので」
「え、学園都市?」
「はい、本日はお越しになっている候補者達も学園都市で勉学に勤しんでおりますので、先程申されました相手を知るには丁度宜しいかと」
宰相さんの説明を聞くと学園都市では、小等部、中等部、高等部に別れていて俺は高等部に配属されると説明を受けた。
さっきの部屋に戻ってくると色々な子が自己紹介をしていったが、俺は今日の事で頭の処理が追い付かない感じで挨拶していた、そしてどうにかこうにかベッドに辿り着いて倒れ込んだ。
「つ、疲れた~」
その言葉を最後に俺は眠った。
目を覚ますと外は薄明かりになっていた、俺は身体をお越し柔軟すると関節が音を立てる、身体をほぐした終わりベッドから降りて部屋から廊下に出る、遠くで使用人や見回りをしている衛兵以外は未だ寝静まっている様だ、俺は廊下を歩き外を目指す。
しばらく歩き回ってようやく、外に出れた邪魔な物が無い芝生の上に立ちBoxから手頃な剣を取り出す、本当ならもう鍛練はしなくてもいいのだが、それは地球に帰った場合であり、現在の世界でも肉体言語が成立するのならば鍛練をしておく事に越したことは無いと汗だくになるまで剣を振るって区切りを付けると陽は昇り周囲は明るくなっていた。
汗だくで不快に成っている上着を脱ぐと視線を感じ、視線の方を見ると金髪をツインテールにして首当たりでおさげにした髪型の少女が立っていた、俺は昨日の顔合わせの時にいたがしたがそれどころではなかった俺は少女の名前が出て来ない。
少女は立ったまま動こうとしない、どうしようかな名前を出て来ない、気が付かない振りが出来ればよかったが、既に目が合ったからそれは無理だから、無難に挨拶だけを交わして部屋に帰ろう。
「おはよう」
「・・・・・・」
少女から返事は無かったが好都合だ、さっさと部屋に戻ろうと通り過ぎようとした時、少女が此方に振り向いて。
「お」
「お?」
「おはようございますレオンハルト様」
思いがけない大きい声でそう言うと少女は顔を真っ赤にして去って行った、まさかの不意打ちに耳がキーンとする上にあっけにとられた、結局少女の名前が不明のまま部屋まで戻ってシャワーを浴びて着替えていると使用人が入って来て朝食の準備が出来たと知らせて俺は食堂に足を運んだ。
食堂に着くと国王が席に座っていた、使用人に対面する席に案内されて着席する。
「おはようございます国王様」
「公式の場で無いから父と呼んでも構わんよ、昨日の今日では無理とは言わないが」
「そうですね、今だに実感が来ないですね、いきなり親だと言われてもずっと一人でしたから」
「色々と済まないな、兎も角食事にしよう」
国王が手を挙げると食事が運ばれて黙々と食事を済ませてから、食後のお茶を飲みながら会話する。
「術者に心当たりは無いのですか?」
「敵が中にも外にも居るからな絞りきれん」
「中は分かりますが外とは?」
「うむ、今我が王国は和平で隣国とは停戦状態であるが、隣国の強硬派は今の状態をよしとせずにおるのだろう、お主の嫁の中に隣国の上位者の娘も含まれておる」
「え」
あれ、やばい昨日の顔合わせで会った記憶が無いぞ。
「昨日の会場には出席しておらぬから分からんだろうが、学園に席を置いておるからその内会うことも有ろう」
良かった、昨日会っていた気まずかった、今朝の件も有るから気を付けよう。
「そうですか、まだこの世界の勝手が分からないから失礼がなければいいんですけど」
「お前には苦労を掛けるな」
国王様が涙が零れた、どんだけ心弱いんだよガラスハートか、まあこの人が実の親と思うと人間らしいから悪くはないかな。
そう思いながらお茶を飲んでいると、廊下の方が騒がしいと
思っていると食堂の扉が勢いよく開かれた。
「食事中に申し訳ありません」
鎧を纏った如何にも騎士風貌をした人物が入ってきた。
「構わぬ申せ」
「は、エリザ姫の姿が見当たらない為に現在捜索中ですが、捜索時に何者かが侵入した形跡と、それを手引きした者の死体が発見されました」
エリザと言うお姫様の姿が見えないと聞くと親父はテーブルから力無く立ち上がる。
「何て事だエリザ」
「侵入者の形跡と死体の場所まで案内してくれ」
俺は騎士に捲し立てる様に言う、俺の言葉に騎士がポカンとしている。
「早く、エリザを助けたいんだろう」
「は、はい」
俺の一喝で慌てて現場に案内される、現場はエリザが使用している部屋だった。
「異変に気が付いた時の状況は」
「朝の散歩に出ていたエリザ姫が戻られて、朝食の準備が出来た事をエリザ姫に伝えに言った使用人が、部屋から聞き慣れない物音がして部屋に入った時には、エリザ姫の姿が見当たらない為に此処で誘拐去れたと思われる、壁や床に付着物が有る」
壁や床を見ると確かにゲル状の物がこびり付いていた、このゲル状の物を見て俺は一つ思い当たる事が有った。
「次に死体を見たい」
「此方です」
城の死体安置所に案内され死体とご対面する、死体を見ると使用人の一人で、この死体にもゲル状の物がこびり付いていたのを見た。
「成る程、それじゃあエリザ姫の所に行ってくる」
「はい?」
騎士が何を言っているのか分からない表情で此方を見るが、俺はお構い無しに魔法を発動させる。
「《Search》《Accelerator》」
俺は二つの魔法を同時併用する、そしてエリザの元に向かうと王国からみるみる離れていき、王国から一番近い山の洞窟に辿り着く。
「おーいエリザ姫、いたら返事をしてくれ」
俺の声は洞窟内に響き渡る、俺はBoxから剣を取り出して洞窟内に足を踏み入れる。
光源の魔法を発動させ明かりを確保して洞窟内を見渡す、空気は乾燥して外との気温差が有り若干肌寒などと思って歩くと、気配を感じて立ち止まり。
「誰だ!?」
俺の声に驚きながら出てくる少女の姿、この少女は俺も見覚えが有った、朝の鍛練時に挨拶をした金髪の少女だった。
「エリザ姫?」
俺の言葉に少女は頷いた、そして俺はエリザ姫を剣を抜いてそのまま縦に剣で一閃する。
俺の目の前にいたエリザ姫は形が崩れて人成らざる者に変化していった、俺は最初からエリザとエリザを拐った者を追う魔法を発動させていた、洞窟内でエリザを観た時の反応が本物では無いと俺は知っていた。
ゲル状の物の正体は擬態能力を持つスライムで、それがエリザに擬態していてから剣で切り裂いた、擬態スライムは擬態するとコアが中心に移動する為に擬態していて方が楽に倒せる。
犯人はこの擬態スライムを使い、使用人を取り殺し擬態させ城内を移動してエリザを拐ったのだろう、俺は発動させる魔法でエリザ元に急ぐ。
* * *
「い、いや」
洞窟内深部ではエリザが中心いて、それを囲むように巨大なスライムが覆っている、エリザはスライムの溶液で服が所々溶けていた、エリザは身体を薄い膜のような防御壁を張っている為に体は無事で有ったが、魔力の無駄遣いが出来ない為に、服にまで魔力壁を張れない、その姿が犯人達を楽しませていた。
「たまんね~な、おい、ちょっとだけ味見してもいいかな」
「馬鹿野郎、下手に手を出したら即殺されるぞ」
「くそ~、こんな上玉一生に一度でいいから、いでー」
「おい下衆野郎、エリザを解放しろ」
「レオンハルト様」
エリザは俺の姿が見て安堵の表情になる、俺はそのまま犯人の片方の腕を切り落として脅す、最初は手加減をしてやろうかと考えたが、先に手を出したこいつらは既に使用人の一人を殺害とエリザの誘拐を考えて、判決・・・Guilty・死刑執行。
「む、無理だ俺達はただの見張り役だ」
「そうか・・・なら、ただ死ね」
「と、溶ける、助け、うぎゃー」
俺は犯人二人の首を掴んでスライムの壁に放り込むとみるみる溶けていた。
俺はBoxから、全身を覆うように大きい外套の服装にConvertして、魔力回路に魔力流し込むと、そのままスライムの壁に突っ込む。
「レオンハルト様ーー」
エリザは犯人達と同じ様になると思い、悲鳴を上げるが俺は構わず突き進みスライムの壁を越える。
「ぷはー、ふー」
俺はスライムの壁を突き進む際に、息を止めていたから呼吸を整えてから、エリザを見ると泣き顔であられもない姿になっていた、俺は外套を脱いでエリザに掛けて、ようやく俺が無事だった事に気が付いた。
「レオンハルト様」
「もう大丈夫だ」
涙声で俺に抱き着いて来た、俺は声を掛けながらエリザの頭を撫でて落ち着かせる。
「落ち着いたか?」
「はい、お恥ずかしい処を見せて申し訳ありません」
「何時の間にかネズミが入り込んでやがるな」
声のする方を向くと、手下を連れた厳つい輩と一人だけローブに身を包んだ、明らかに他とは違う者がいた。
「テメー何処から潜り込みやがった」
「何処からと言われたら、正面からだな」
「ふざけた野郎だな、おい、スライム壁を狭めろ」
ローブの人物が一歩前に出て来て魔力の気配がすると、スライムの壁が狭まって来る、不安なのかエリザが俺の服を掴む。
「エリザ姫安心しろ、君を護ってやるから」
俺は剣を地面に突き刺し両の手をパンと鳴らす、合掌の格好で呪文を唱える。
「FirstLimitDrive」
その瞬間、俺の周りを金色の光が漂い何処からともなく風が吹きすさみ、黒い髪が金色に、瞳の色も黒から青に変色する。
俺とエリザを護る様に吹きすさむ風がスライムの壁をズタズタに切り裂いた、それを観ていた敵は唖然として立ち尽くす。
「綺麗」
「何者だテメー」
エリザは俺の状態を見て呟く、急変した俺を敵のリーダーが聞いて来る、俺はこの状態になったら誓約の為に、口上しなければいけない、ガチで厨二病だから止めて欲しい。
「我の光は敵を撃ち、我の光は味方を守護する、我が名は金色の雷、我を恐れぬのなら掛かってこい」
「何が金色だ、野郎はぶっ殺せ、女は殺すなよ」
やられ役の台詞を吐く奴だな、リーダーを残して措けば良いだろう、エリザの視線を遮ってから俺は呪文を唱え敵を迎え撃つ。
「意思無き物よ、我が意思に応えよ、我を守護せよ、stonebullet」
周囲に落ちている石が散弾の様に敵に飛んでいく、此方に向かって来ていた者達の五体の至る所を吹き飛ばす。
残ったのはリーダーとローブの人物だけになる、剣を地面から抜いて攻撃を仕掛けようとしたら、思いもよらない事が起きた。
「ば、馬鹿な、何故?」
リーダーの男は背後から尖ったスライムが貫いていた、リーダーは信じられない顔でローブの人物のローブに手を伸ばして絶命する。
ローブの下から現れたのはこの世界の敵だった、容姿は目は複眼で髪は蛆で蠢いて肌は鱗状で腐敗臭が立ち込める、つまり悪魔であった。
俺は予想外の敵の登場に、急いでエリザの前に障壁を構築して悪魔の攻撃に備える。
「まさかこのような場所で金色の使者と会うとは、今回の計画はこれまでの様だな、金色のよ次はこうはいかぬぞ」
「あ、待ちやがれ」
悪魔が消え去ろうしたので、俺は手に持っていた剣を投擲するが、悪魔をすり抜けて壁に突き刺さった。
「逃げられたか」
悪魔が消え失せ俺は戦闘状態を解く、俺を包んでいた金色の光は収まり髪や目も黒に変色する。
「ありがとうございますレオンハルト様」
「エリザ姫が無事で何よりですよ、さて城に帰りましょう」
俺はエリザに手を差し出しエリザはその手を握る、エリザを立ち上がられて壁に突き刺さった剣を回収していると、エリザが話し掛けてきた。
「レオンハルト様」
「ん~」
「れ、レオン様とお呼びしてもよろしいですか?」
「え、ああ、ああ」
「ありがとうございますレオン様」
洞窟内から出ると近衛騎士達が接近していた、俺は手を伸ばして合図すると、向こうも此方に気付いて足を速めた。
「ご無事ですか!?」
近付いてきた近衛騎士の隊長はこちらの安否確認してくる。
「はい、レオン様のお蔭で傷ひとつありません」
「まさかレオンハルト様お一人で解決なされるとは、これでは我々の立場がありませんな」
「今回の解決したのは隊長達が、解決した事にしてくれると助かる」
「はぁ、いや、しかし」
「訳は国王に話しておくから、エリザ姫も頼むよ」
「分かりました、レオン様がそう言われるのでしたら」
「姫様がそう申されるのでしたら、部下達に徹底して措きます」
近衛騎士の隊長は苦笑しながら頭を掻く。
「それにしても皆さんはどうやって此処が判ったのですが?」
「それもレオンハルト様の召喚獣が此処まで導いて」
近衛騎士の隊長が上空を指差すと一匹の召喚獣がレオンハルトの肩に舞い降りた。
「ありがとう、また力を貸してくれ」
俺は頭部を撫でてやると、気持ち良さそうな顔なり、それから召喚獣の足元に魔方陣が現ると共に消えていく。
「さあ、帰ろうか」
「レオンハルト様では、此方の馬をお使いください」
近衛騎士の隊長は馬から降りて、俺に手綱を委ねてくる。
「でもそれだと貴方は?」
「私は重量の軽い部下と相乗りで行きます、しかし、レオンハルト様申し訳ありませんが、エリザ姫と相乗りでお願いしたいのですが」
「私は構いません、よろしくお願いいたしますレオン様」
申し訳なさそうに言う近衛騎士の隊長と、嬉しそうに手を伸ばして微笑むエリザ、俺は騎乗してエリザの手を掴み引き揚げて、俺の前に乗せる。
そして俺とエリザを囲む様に馬を走らせて王国に向かう。
俺は馬上で今後の事を考えるが、問題が山積みだ、学園都市、悪魔、妃、継承問題、俺の本当にいるべき世界、まったく退屈しないな。
では、また別の作品で