後日談1 四季side
後日談1です、
「‥‥あら?」
職員室で用事を済ませ、教室まで向かう途中。ふと窓の外に目を向けると可愛いあの子の姿を見つけた。そういえば今日は中庭で友だちとお昼ご飯食べるって言っていたのを思い出した。
「‥‥かーわい」
あんなに可愛い笑顔振りまいちゃって、と嫉妬みたいな感情を友だちに抱きながらも彼女が笑っていることに安心した。
一時期女子生徒と色々あったが、今では落ち着いているらしい。彼女の笑顔が何よりの証明だ。
「何だか幸せそうな顔をして‥‥どうやら今井さんとうまくいったみたいですね」
「!泉心ちゃん‥‥」
突然の低音ボイス---その声の持ち主は養護教諭の泉心先生だった。物腰が柔らかく、誰に対しても敬語口調で生徒‥‥特に女子生徒からの評判がいい。目が合うとニコリと笑みを浮かべる彼に、条件反射のように笑みを返す。
泉心ちゃん、なんて親しげな名前で呼んでるけど‥‥彼の本心はよく分からない。笑顔はよく見掛けるけれど、たまに目が笑ってないように見えるんだよ‥‥
「それにしても恋敵の応援‥‥なんて本当は嫌でしたけどね」
「‥‥‥‥え?」
今、なんて言った?
聞き間違いかしら、と慣れつつあるオネェ口調で自分自身に言い聞かせた。
「まぁでも‥‥略奪というのも一興ですよね?」
「‥‥はあぁ?」
自分の口調も一瞬にして忘れ、もう一度彼を見る。
いずみ‥‥‥って『朝霧泉心』か!
今まで下の名前で呼んでだから気にしなかったけど、 コイツも隠れキャラだ。しかも『好感度』は何故かマイナスから始まるはっきり言ってめんどくさいキャラ。
‥‥‥そういえば前世でも妹が『コイツめんどくせぇ‥‥!』とゲームのコントローラーを床に叩きつけていた気がする。まぁ攻略後は『泉心様ぁ‥‥』とご褒美スチルに態度が一変してた‥‥女って怖い。
「えと‥‥泉心ちゃん?」
「本当に今井さんは可愛らしいですよねぇ。あの警戒してるようでしてない無防備さ。純真無垢なところ。‥‥‥‥汚したくなる」
はい、アウトー。
もう目が据わってるんだけど。乙女ゲーム的にはアウトじゃないの、これ。え?セーフ?‥‥彼氏側としてはアウトだよ。ユミってばどうして厄介な奴らに目をつけられるかな。あの4人はともかく、どうして好感度マイナスから始まるコイツに執着されているんだ。
「いず、」
「あ!四季ちゃん!」
やっほー、と呑気に手を振ってくる彼女はどうやらこちらに向かおうと歩き出してきた。いつもは大歓迎なんだけど‥‥
「アンタはこっちに来ないで!私がそっちに行くから!」
「う、うん?分かった」
首を傾げてはいるものの、納得したらしく素直に友だちのところへと戻っていった。その姿を見届けて、ちらりと隣にいる男へと目を向けた。
「‥‥‥‥絶対譲らねぇから」
「クスクス‥‥ではお相手お願いしますね」
彼氏になったはずなのに、いつになったら周りは落ち着くんだ。‥‥とりあえずユミに癒してもらおう。そうしてもらおう。
--そして愛しの彼女がいる中庭に向かうが、その姿を見ている人物がもう一人いたことに‥‥気付かなかった。
end
「泉心先生なに見て‥‥あぁ、松山クンね」
泉心の隣には、長身の生徒が一人。自分から珍しく近付いてきた彼に内心驚きつつも泉心は問いかける。
「‥‥‥‥夜羽斗君が名前を覚えているなんて珍しいですね」
「んー、まぁ。‥‥おれは"彼女”の方に興味があるけど」
「ほぅ‥‥彼女、ですか」
っていう、あれ。
きっと四季ちゃんの苦労は続くでしょう(笑)