表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

昨日の彼と、今日の彼 (前)






"--‥‥俺はアンタにオチた。今度は俺がアンタをオトす番だ”



そう言って不敵に笑った彼。


彼は大切な友達で。良き相談相手で。そんな関係がずっと続くと思っていた。‥‥思っていたんだよ、私は。








****話は、少し前に遡る****









「し‥‥四季ちゃん、おはよう」


「おはよう。‥‥ってユミ、目の下の隈すごいわよ?」


「あははは‥‥そんなにすごいかな?」





屋上に顔を出すと、そこには"いつも通り”の四季ちゃんの姿。やっぱり昨日のことは夢だったのかな、そんな現実逃避を交えながら私は四季ちゃんに近寄っていった。





‥‥昨日、"あのあと”私は逃げた。それはもう脱兎のごとく。途中廊下ですれ違った関秋紘(セキアキヒロ)に「廊下は走るな!」とお決まりのセリフで注意されたが、スルー。ごめんね、会長。心の中で謝罪申す。


家に帰ると夕飯を食べに来ていたらしい氷雨(ヒサメ)がいた。私の顔を見て「なに"ぶさいく”な顔してんの」と不機嫌な声を出した。不細工は承知してますけど。おいこら、なに笑ってんだ母よ。「氷雨ちゃんは可愛いわねぇ」「‥‥うるさいよ、優子さん」‥‥私は2人のやり取りについていけないんだけど。ねぇ。

そのあと「ゲーム、しよ?」と言い出した氷雨とテレビゲームをするはめになり‥‥父、母、兄まで巻き込んで白熱したバトルを繰り広げた。言い出しっぺの氷雨は途中で夢の世界へと旅立ったけどね。




---‥‥おかげで四季ちゃんのことは頭の中になかった‥‥けれども朝目覚めの一言は「四季ちゃん‥‥!」だったよ。何故か隣で寝ていた氷雨にそれを聞かれ「あのオカマのとこ行ったら監禁するよ」と天使の笑みをいただいた。朝から色んな意味で心臓に悪い。








「昨日、家に遊びに来ていた氷雨とゲームしてさぁ」



「‥‥ふーん?」




あれ、四季ちゃんの声のトーンが下がった気がする。あえて昨日の四季ちゃんには触れない話題でいこうと思ったんだけど‥‥なにかまずいことした!?






「ひ‥‥氷雨ってば自分からゲームしようって言い出したくせに先に寝ちゃってさ」



氷雨の寝顔は天使みたいに可愛い。たまに見せるヤンデレ感がなければ、ほんと天使。






「そういうとこはかわい、っ」


「--ユミ、」





抱き寄せられ、気がつけば四季ちゃんの腕の中だった。あ、あの腕が腰に‥‥っ。しかも彼の綺麗な顔が近すぎる。





「し、四季ちゃんんんんん?」


「嫉妬させて、楽しい?」


「ぅえ?‥‥嫉妬?」




なんのことだと四季ちゃんを見上げる。そんな私を見て「‥‥‥無自覚、ねェ」と四季ちゃんは呟く。嫉妬?四季ちゃんが?誰に、






「っ、」


「考え事なんてまだ余裕があるじゃないの」


「みみみみ、耳元で囁かないで‥‥ッ」


「そんなの知らないわ。‥‥昨日のことで少しは意識してくれると思ってたんだけど」


「昨日ってやっぱり夢じゃなかったんだ‥‥」


「‥‥‥‥‥‥アンタねぇ、」




夢だと思ってたの、と呆れたように問われ口をつぐんだ。夢だと思っていたというか、夢だと思いたかったというか‥‥昨日の四季ちゃんは色々と反則すぎだ。






「だ、だって四季ちゃん、オチタとかおとす?とかいきなり言い出すし‥‥四季ちゃんは友達だし、それに‥‥」



彼の口から"好き”という言葉は一度も聞いたことがない。私が好きと言っても良くて「あっそ‥‥」、悪くて「気持ち悪い」だった。






「‥‥ユミがなに考えているか当ててみましょうか?」


「え、?」



「"本当に私のこと好きなの?一度も好きって聞いたことない”‥‥でしょう」


「っ、」


「あら?図星のようね」




クスクスと笑う四季ちゃん。間違っては、いない。いないのだけどもそれを言い当てられるとなんとも言えない気持ちになる。何だか恥ずかしくて顔を俯いていると四季ちゃんから「ユミ」と名前を呼ばれた。






「なに、っ」


「そのまま聞いてて」



顔は彼の胸板に押し付けるように抱き寄せられた。これでは四季ちゃんの顔を見る事が出来ない。









「--‥‥好きだ」



言葉が、すとんと胸の中へと落ちてきた。








「一度でもアンタに"好き”だなんて返したら、我慢出来そうになかった」


「四季ちゃん、」


「アンタは俺のこと友達ぐらいにしか思ってないって自分でも分かってる。それでも‥‥どうしようもないくらい俺はアンタのことが、」





好きなんだ、と甘く掠れた声が私の頭の中を支配する。それと同時に心臓の音は早くなっていくし‥‥私だけドキドキされっぱなしじゃな‥‥ん?





「四季ちゃんも、ドキドキしてる?」


「っ、‥‥!」




胸元に顔を寄せると、四季ちゃんの心臓の音もやはり早い‥‥そして見上げた彼の顔はほんのり赤い。



うわーうわー、四季ちゃんが照れてる!貴重なデレ!


‥‥‥‥なんて数秒前まで騒いでいた自分を殴りたい。








「ほんと、いい度胸してる」


「っ、あの、四季ちゃん」



さっきまで照れていた可愛い四季ちゃんはどこへ行ったんだろうか。その素敵な笑顔はきっとよくないことを考えているよね!?










「いいよ、俺がどれだけアンタのことを好きか分からせてあげるから」




後編へと続きます‥‥!明日の20時に投稿予約済みです。

ブクマありがとうございます!!(感謝)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ