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最近の彼女、






「優美さぁ‥‥最近何だか綺麗になったよね」


「っ‥‥は、い?」




唯一の女友だちである凛子(リンコ)の思いがけない言葉に私、今井優美(イマイ ユミ)は飲んでいたミルクティーを吹き出しそうになる。



え、待って。綺麗になった?‥‥‥‥誰が。






「なに、その疑いの目」


「いや‥‥幻聴かと思いまして‥‥」





本当にそう思ってるのかと尋ねれば彼女は首を頷かせる。だって滅多に人を褒めない凛子が「綺麗になった」って‥‥幻聴としか思えないでしょ。






「その綺麗になった理由、当ててあげようか?」



---「恋、したんでしょ?」







こい‥‥コイ、こい‥‥コイ‥‥恋?




---そして、その言葉で思い浮かぶのは彼。









「ぶっ‥‥」


「優美!?」



私は今度こそミルクティーを吹き出したのだった。







******







「‥‥こい‥‥いや、鯉?」



凛子から言われた言葉があまりにも衝撃的で、それは放課後まで私の頭の中をグルグルとまわっていた。


おかげで"雑務”が終わりそうにない。






「‥‥今井さん、どうしたんでしょうね?」


「ハッ‥‥拾い食いでもしておかしくなったんじゃないか」




ばっちり聞こえてるからね、関秋紘(セキ アキヒロ)。人のことなんだと思っているんだ。


キッと奴を睨みつければ、「ほら元気だろ」と鼻で笑われた。隣にいる春宮結(ハルミヤ ユイ)は苦笑している。






「それ終わったら今度はこれな」


「‥‥はい?」



そもそもただの副委員長が生徒会の仕事を手伝う義務なんてない。春宮結は後期から生徒会メンバーに入るので、今から生徒会の仕事を手伝うのは分かるけど。



なんとも解せない。目の前の書類はなんだっていうんだ。






「あの、関会長、」



これは奴に一言申さないと、と抗議の声をあげようとするが途中でとめてしまった。それを不審に思った関会長に「おい」と声を掛けられるが、今はそんなのに構ってられない。





「すみません、今から私はいないものとしてください。ではお願いします」


「は?‥‥お、おい‥‥っ」


「え、今井さん?」




会長の戸惑いや春宮結の声をスルーして、私は生徒会長専用の机の下に身を隠した。


そして数秒後に聞こえてきたのは扉の開けられる音と‥‥







「--‥‥あら?ユミはいないの?」





その声にドキッとする。久しぶりに聞いた"彼”の声はどこか元気がないような‥‥そんな気がした。






「?アイツなら、ッ」


「今井さんならさっき出ていったよ。入れ違いだったね」




は、春宮結ナイス!会長が私の居場所を言おうとした瞬間、彼は咄嗟に会長の言葉を遮った。‥‥ようにも見えるけど、本当は春宮結が会長の足を思いっきり踏むのが私の場所から見えた。



幼馴染同士じゃなかったらそんなこと会長には出来ないよ。うん。






「そ、う‥‥入れ違いだったの。ありがとうね」



邪魔したわ、と出ていこうとする"彼”。そんな彼を「待って」と春宮結が引き止めた。どうしたんだろ、と思いながらもここから--机の下からでは彼らがどんな表情で会話しているのか分からない。








「今井さんと、何かあった?」




っ、ちょ、なに聞いてるの!?


思わずそんな視線を彼に送ったが、"静かに”と人差し指を立て唇に当てている。



春宮結の問いに"彼”が何て答えるのか知りたいようで‥‥知りたくない。







「‥‥別になにもないわよ」





なにもない、か。



ほんの一瞬だけ"彼”からの返事が遅れるも、春宮結は特に気にすることもなく「そっか。ごめんね、引き止めちゃって」とあっさり"彼”を解放した。



---パタン、と扉が閉まる音が聞こえるの確認して私は机の下から出ようとする。


そう、そして出たのはいいんだけどさ、







「さぁ、今井さん。何があったのかな?」


「説明してもらおうか」




面倒くさそうに溜息をつく関秋紘、そんな彼とは正反対に笑顔の春宮結。






「あはは、は‥‥」



むしろ私にも説明して欲しい。"彼”のここ最近の行動について。





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