七章 砂の都・一
「さて。じゃあそろそろ城に帰りますか。皓緋、俺は二人と一緒に行くから、回って行くよ」
陽織が頃合いを見計らい、皓緋に声をかけた。
「ああ」
陽織は彩音と愛華、二人を連れて行こうとしたが「待て」と皓緋に呼び止められる。
「ん、何?」
陽織が首だけ皓緋の方を向ける。
「やっぱり彩音は俺が連れていく。来い、彩音」
彩音は自分の名が呼ばれたので振り向くと、皓緋が来いと手招きしている。
「わかった」
特に疑問に思わず彩音は皓緋の方へ行こうとしたが、それを陽織が慌てて止めた。
「待った! 皓緋、それっていつもの道ってことだよな?」
「ああ、そうだ」
皓緋はニヤッと笑んだ。
陽織はその表情を見て悟った。
(あ、興味もたれちゃったな……この子)
陽織はちらっと彩音を見て、また視線を皓緋に戻す。
そうなると、周りが何を言っても絶対に聞かない。
「はぁ……。わかった」
あきらめのような溜息とともに、それだけ言うと陽織は愛華を連れて城に向かおうとしたが、愛華は何か感じたのか、彩音の方を振り返り声をかける。
「彩音様、私もご一緒いたしましょうか?」
「こいつは俺がちゃんと連れて行くから心配ない」
「ですが……」
それでもやはり心配なのか、愛華はこちらを見て中々動こうとしない。
「大丈夫だよ。それよりも愛華の方が心配だよ、早く建物の中に入らないと……」
愛華の肌は先程よりも赤さがまし、水ぶくれもぽつぽつと出来始め、顔色も悪くなっている。
逆に彩音の方が心配顔になり、早く城に行けと急かす。
心配してくれるのはとても嬉しいし、出来れば自分も愛華と一緒にいたい。
陽織の慌てぶりや皓緋の雰囲気から察するにきっと、いや絶対に何かありそうなのはわかる。
だがここでゴネても、無理矢理皓緋に連れて行かれるのは明白だ。ならば、大人しく従った方が後のためにもいいだろうと思う。
愛華も主人である彩音にそう言われては、動かないわけにはいかない。
不安は残るが、一時の別れを告げる。
「申し訳ございません、彩音様……。それではまた後で」
(彩音ちゃん、頑張ってね)
そんな三人のやり取りを見守りつつ、心の中で陽織が応援の言葉をかけた。




