グラアン
岩波文庫さんよりお借りしたグラアンで超解釈で~~~~す とってもとっても短い
先に断っておこう、これは夢だ。
僕は静寂のうちに目を覚まして色々なことを悟った。ここの居酒屋はバリケードの一部として今の今まで機能していたこと、今では僕の多くの友人の墓となったのだということ。勿論寂しいとか悲しいとか虚しいとか、そういう情は生まれたがしかし、それより気にかかることが存在したゆえに、残念ながら涙は後回しになった。彼はどうなったか。まだ生きているか。もう死んでいるか。
「ねらえ。」
「待て。目を隠すことは望まないか」
「いや。」
ああ、将校と彼の声だ。不思議なことに、妙な聞き覚えのある声だが、ともかくそうか、まだ生きているのか。そしてもうすぐ死ぬるのか。ならば最後にも少し罵声を浴びておこう。そうしておかなければ、次にいつ聞けるかも分からないのだ。ここにいる限り僕もそのうち死ぬのだろうが、そんなのは実に小さなことであるから、どうだっていい。僕にかかれば死後の世界など、殆ど疑わしいものだ。
僕は死ぬほどに酔っていたが立つことが出来た、歩くことができた。さらには強く叫ぶことさえできた。素晴らしいことである。
「共和万歳!吾輩もそのひとりだ。」
一斉にたくさんの目がこちらを向いたが、厳かな顔つきを作るのはもうやめだ。ニヤリと微笑んで彼の隣に立つ。さあ存分に冷たい毒を注いでくれよと言うように。
「一打ちでわれわれ二人を倒してみろ。」
さあほら、何でもいい、アンジョルラス。
「承知してくれるか。」
だから僕は本当に驚いたのだ。君が微笑むから、僕の手をとるから、そのまま発射の音が聞こえ、倒れながら最後に見えた君の頬に、微笑と、そして一筋透明なものが見えたから。
もう一度断っておこう、これは夢である。
これは、夢である。
夢である。
僕は、夢だと、信じたい。
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