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君を想いながら
冷たい雨に打たれ
舞いながらひらひら落ちる事も出来ずに
川面に落ちて流れて行くさくらの花びら
透きとおったビニール傘を通して
ぼくはそれを観ていた
少し流れた所で
それらの花びらは水のなかに沈んでいく
花びらは後から後から落ちては沈んでいく
さくらの枝に桜の花が有る限り
冷たい雨は落とし続けるだろう
既に色あせたさくらの花びら一枚
詩集に挟んである
君の肩に舞い落ちた花びらだ
君のことばで綴られた詩集は
今細かくちぎられた
さくらの花びらよりも
軽く雨のなかを舞い落ちて行く
白い紙吹雪に交じって
一枚のサクラの花びらも
ひらひらと舞いながら落ちて行く




