第一章 第五話
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ピィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~~~~~~!!!
「な……なんだよ!?…………うるせーなー」
と、俺が耳を塞ぎながら豪徳寺さやかに文句を言おうとしたとき、いきなりドアがいきおいよく開くと、ガタイの大きな黒服の男たちが四~五人ほど入ってきて、俺をあっという間に押さえつけ、地面に這いつくばらさせた。
「えっ? えっ? な……何?」
俺は突然のことに頭が混乱していた。
すると、豪徳寺さやかがニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら、俺の頭に足を乗っけてきた。
「おいヨージ、よ~く聞け。ワタシはこれからお前を警察に突き出す」
「え?」
「ヨージ……きさま言ったよな。先ほど“もしそれでもムカツクなら警察でも何でも行ってやるよ!”…………と」
「そ……そう? 俺、そんなこと言った?」
「言った」
豪徳寺は冷酷な目をして俺を上から見下ろし、さらにおそろしい笑みを浮かべながら語りだした。
「きさまに今ある選択肢は二つ…………ひとつは、このまま警察に行き、“不法侵入”とさらにワタシへの“強姦未遂”も含まれ、“執行猶予無しの実刑判決”で刑務所行きが“確定”となる」
「はぁ?! “強姦未遂”って、そんなのただの“濡れ衣”じゃねーか!! それにこの程度の事件で“執行猶予無しの実刑”なんてそんなことありえるかよ!」
「フフフ……警察がどう判断するかという問題ではない。こちらが、ただ“そういう事件にする”……ただそれだけのことだ。ちなみに、証拠がある・なしも関係ない」
「なっ…………?!」
「無理だと…………思うか?」
豪徳寺は、深遠な笑みをより一層浮かべて呟いた。
俺は青ざめた。
「では、もうひとつの選択肢だが、それはさっきも言ったようにお前がこのサークルの部員になる……それだけだ。どうだ?」
「わ……わかりました。それでお願いします」
降参しました。完全敗北です。歯向かってごめんなさい。
「ふむ、それで良い」
豪徳寺はまたピィーっと笛を鳴らした。
すると、今まで俺を押さえつけていた圧が無くなり、俺はすぐに後ろを振り向いた…………だが、そこにはさっきまで俺を抑えていたはずの黒服のヤツらは消えていた。
「な……何者だよ……あいつら」
「あれはワタシの護衛だ」
「豪徳寺……お前、一体何者だよ」
「案ずるな。ワタシの言うとおりにすればきさまに危害は加えん」
「な……何なんだ、このサークルは」
かくして俺は、晴れてこの 「ヘミシンク研究サークル」 の一員となった。