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第一章 第二話



   2



 今から『二週間前』――――


 俺……『日向陽司ヒナタヨージ』は、ある『災難』に巻き込まれていた。


 俺は、この春から、東京の大学に通っている。

 四月に沖縄から上京し、アパートで一人暮らしをしながら、大学に通っているのだが…………まー、自分で言うのも何だが、よく東京の大学に受かったもんだと驚いているのである。

 沖縄の学生で、東京の大学に受かるというのは、よっぽど勉強熱心な奴らくらいなので、俺みたいな沖縄の普通の高校生で、勉強も良くもなく、悪くもない『中間』程度の学力では到底受からない、とても『ハードルの高いモノ』なのである。

 そんな『一般生徒』である俺が東京の大学に受かったのは…………


『センター試験のマークシートが予想以上に高確率で的中したこと』

『二次試験も"ヤマ"がズバリ的中したこと』


という二つの『神懸り』的な『偶然』が重なり、俺は、晴れてこの大学に合格し、通うこととなったのだ。


 入学式を無事終え、今日は特に授業は無いので、俺はアパートに戻ろうと大学の中庭を歩いていた。

 中庭では、ちょうど部活やサークルに所属している学生たちが、新入生を一人でも多く獲得しようと、『勧誘』にいそしんでいた。

 ま、俺も例外なく新一年生ということもあり、いろんなところから勧誘を薦められたのだが、俺にはサークルなどにうつつをぬかすことなどできない理由があった。

 それは、生活費を稼ぐために、学校が終わるとバイトをしなければならなかったからだ。

 両親は、俺がまさか東京の大学に合格するなんて、まったく予想していなかったので、いざ、合格してしまったことにより、俺が大学に通うための『お金』を工面する必要に迫られた。

 両親は合格した『うれしさ』と、これから『お金』をどう工面しようかという『現実の問題』という相反する感情にグラグラ悩み、揺れていた。

 俺も…………変な話だが『予想外の良い結果』に対して、非常に申し訳ないというまた妙な『罪悪感』があったので、何とか自分の『生活費』は、自分で工面するということで、仕送りはしなくていいから、学費だけを負担してくれるようお願いした。

 なので、俺は、周りの学生のように、サークルに入って、彼女作って…………などという『キャンパスなライフ』からは縁のない身分であったので、勧誘の学生達には、当たり障りのないよう、『ヤンワリお断り術』を駆使し、その場を何とかやり過ごし、何とか中庭の『サークル勧誘の森』を潜り抜け、目的地である『裏門』に着いた……………………と思ったら、どこぞのサークルのドアが目の前に出現していた。

 「あれ? 何で俺、こんなところに…………? ちゃんと裏門に向かって進んでいたはずだったけどな~…………なんで、いつの間にサークル棟の建物へ入ったんだ? おかしいなぁ~……?」


 見ると、正面のドアには、『ヘミシンク研究サークル』と書いてあった。


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