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第二章 第七話   第一部 最終話



   7



『神殿』は天使長たちが住んでいる『聖域』のひとつであり、そこにルナの祖父にあたる『天使長ソフィア』は暮らしている。そんな『神殿』へとルナは初めて足を踏み入れた。

 この『神殿』は『聖域』のひとつなので、通常の『天使程度』では『物理的』に足を踏み入れることは絶対にできないが、『天使長』の血を引く『ルナ』や『マリア』であれば『神殿』へ足を踏み入れることができる。


 すると、ちょうど『神殿』の入口にルナの祖父であり、マリアの父にあたる『天使長ソフィア』がルナたちが来ることを知っていたかのように出迎えてくれた。


「おじいちゃん、久しぶり~! ねぇ、聞いて、聞いて~!」

「おお、ルナか。相変わらず元気じゃのう」

「おじいちゃん、あたしデスティニージャッジ(運命の審判)で『第0番エリア(ロストエリア)』を引いたのね。それでアタシその課題を引き受けることにしたの~!」

「ほっほっほ…………そうか『第0番エリア(ロストエリア)』を引いたのか。それは大変そうじゃの~」

「大丈夫! おじいちゃんやお母様の血を引いているアタシなら絶対に課題クリアできるわ。そして、アタシ、『養成所創立以来の快挙』という功績で歴史に名を刻むの~!」


 ルナは瞳をキラキラと輝かせ、興奮気味に語った。


「ほっほっほ……そうか、そうか。すごいな、ルナは。それにしても『第0番エリア(ロストエリア)』を選ぶなんてのぅ……では、その『第0番エリア(ロストエリア)』の惑星が『地球』であるということも、もちろん知っていて選んだのだな? えらいのぅ~」

「………………………………えっ?」

「まあ、どうせ後から娘のマリアから『課題』は伝えられるはずじゃが、ついでじゃからわしのほうから今、伝えておこう。ルナ、お前のデスティニージャッジ(運命の審判)で決まった課題とは、『第0番エリア(ロストエリア)』である『地球』へ行き、『人間』と一緒になって『浄化活動』を行う、というのが『卒業課題』じゃ」


「……ち、地球?」


 ルナは固まった。


「そうじゃ。あ、それと今は『公務中』じゃから、わしのことは『おじいちゃん』ではなく『天使長』と呼びなさいって……アレ? おーい、ルナ~?」


 ルナはしばらく固まっていたが、少しするとおそるおそる天使長ソフィアに確認してきた。


「あ、あの、おじいちゃ…………いえ、天使長。すみません…………もう一度言ってもらえます?」

「だから~……おぬしの『課題』は『人間』と一緒になって『第0番エリア(ロストエリア)』の浄化活動をすることじゃ」

「なんでですか~! どうしてですか~! 納得いきません!!」



 以後、今章の冒頭に続く。



 そうしてルナは、しぶしぶだが、母と祖父に強制的に『第0番エリア(ロストエリア)』である『地球』へと旅立つことになるのだが、しかし、この後には続きがあった。


 それは、ルナとマリアが去ったあと、後ろで隠れて様子を見ていたノアの横に『天使長ソフィア』がフッと現れたのだ。


「!!…………て、天使長!」

「ひさしぶりじゃの、ノア・リンズバーク」

「す、すみません……隠れてコソコソと」

「いやいや、問題ない、問題ない。それにしても、どうした? なぜ、こんなところにおるのじゃ?」

「あ……あのう、そのう…………」


 ノアは言葉に詰まってしまった。


 ちなみに、もう一度説明するが、ここ『神殿』は『聖域』なので通常、一般の『天使程度』では入れないエリアである。

 にもかかわらず、ではなぜノアが『聖域』に立ち入れるのかというと、実はノアの両親は元々この『聖域』に所属していた『天使長』であった。

 なので、その『血を引き継ぐ』ノアも、ルナやマリアと同様、また、この『聖域』へと足が踏み入れることができる『天使』の一人というわけである。


 しかし、その二人の両親は今ではこの『聖域』にはいない。それは…………この話はまた次の機会にするとしよう。


 とにかく、ノアはそういった血を引き継いでいる者であり、また『大天使ソフィア』はノアの両親との『関係』もあるので、ノアをルナと同様、我が子のようにかわいがっていた。


「ほっほっほ…………わかっとるよ、ノア。ルナが心配で追っかけて来てくれたのじゃろ? ノアはルナのことが本当に好きなんじゃからな」

「そ、そんなことないです! なんでわたしがルナなんかを……好き……だなんて。ただ、あたしはルナがあまりにも何も考えないで、あんなバカな選択するもんだから説教してやろうと思ってきたんですぅ~!」


 と、ノアは『怒って』なのか、『見抜かれて』なのか、顔を頬を真っ赤に染めて反論した。


「ほっほっほ、そうか、そうか。そりゃ~失礼したのぅ…………ではな」


 そういって天使長ソフィアがノアから去ろうとしたとき、


「て…………天使長様!」

「んっ?」

「あ…………あのう…………」


 天使長ソフィアはニヤニヤしながら、


「ふふ、なんじゃ?」

「もう!…………天使長のいじわる! ど……どうせ、わかってるでしょう!」

「ほっほっほ…………そうか、そうか。では、『本当にいいのだな』……ノアよ」

「……」


 ノアは、神妙な顔で……まるで『覚悟を決めた顔』で、その後に続く天使長ソフィアの話を聞いた。


「……本当に、おぬしが先ほど引いた『第31エリア』である『恩寵エリア』というこれまた『かけがえのない経験』ができるとてもすばらしいエリア…………それを『反故』にして『第0番エリア(ロストエリア)』行きにしても良いのじゃな?」

「は、はい! だって…………あのバカルナ一人を『地球』へなんて行かせたりしたら、こっちの身が持ちませんわ。まったく……『養成所創立以来の快挙』だなんて言われて調子に乗ってるみたいだから、あたしがガツンと説教してやらないと!」


 と、ノアは『何か』を『ごまかす』ように、早口で捲くし立てた。


「ほっほっほっほっほ……………………ノア。お前は本当にやさしい子じゃのう」

「もうっ! 天使長様のいじわる………………………バカ」


 こうして、ノアとルナの『第0番エリア(ロストエリア)』……『地球行き』が決定した。




ここで第一部は終了です。


また続きは機会があったときに投稿したいと思います。

ありがとうございました。

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