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第二章 第五話



   5



 ノアは箱から光輝く『玉』を取り出した。


 そこには、現在の天使界で使われている言葉ではない文字が浮かび上がっていた。いや、細かく言うとそもそも天使界では人間界で使われているような『言語』というのは存在しない。言語ではなく、テレパシーのようなものを使って会話をしている。

 なので、正確に言うとノアやルナ、またその他すべての天使界の住人たちが、さきほどまでやり取りしていたのは「言語」ではなく「テレパシー」のようなものである。

 そして、今回の取り出された『玉』に浮かんでいた「現在の天使界では使われていない文字」というのは、正確に言うと、「現在の天使界では使われていない文字イメージ」と解釈される。


 ノアはその『玉』を理事長のマリア・インフィールドに手渡した。マリアはその『玉』をじっとみつめると、何かその『玉』から情報を読み込んでいるようなしぐさをした。しばらくそうやっていたマリアだったが、一分ほどするとノアのほうに顔を向け、そしてニッコリと微笑んだ。


「おめでとう、ノア。あなたは『第31番エリア』よ」

「えっ…………? 『第31番エリア』…………それって…………」

「ええ、そう……『第31番エリア』、別名『恩寵エリア』。すばらしい経験をしながら卒業できるとされる『大いなる神からの贈りギフト』のエリアよ。おめでとう」

「ほ……本当ですか…………。ありがとうございます!」

「いいえ、とんでもない。これはあなたが『引き寄せた必然』なのよ。じっくり楽しんでいらっしゃい」

「はい!」


 ノアは満面の笑み&スキップで戻ってくる。そして、当然のようにルナにこれ見よがしに報告してきた。


「ふふん。どう、ルナ。これがあたしの『本当の実力』なのよ、わかった?」


 ノアは、自信たっぷりに報告した。


「ふ、ふん。まあ、そのくらいの『ハンデ』、別にくれてやってもいいわ。それにまだ『恩寵エリア』以上のものがあるかもしれないしね」

「ふーん、あ、そう。それじゃあ、よ・ろ・こ・ん・で……その『ハンデ』いただくわね~」

「……くっ!」


 そう言って、ノアはニヤリと『してやったり』のような笑顔を浮かべた。さすがに、ルナもノアが引いた『恩寵エリア』には驚きを隠しきれなかったが、しかし、できるだけ悟られないようにと、何とか気丈に振る舞っていた……が、しかし、その振る舞いは端から見ると、わかりやすい『強がり』にしか映っていなかった。


『お……おい。ノアが《恩寵エリア》を引いたぞ! やっぱり持ってるよな~』

『でも《恩寵エリア》なんでここ数千年出ていなかったんだろう? やっぱ、ノアってタダものじゃねーなー』

『でもよ~、そうなると次のルナは一体何を引くんだ?』

『う~ん、成績2位のノアがあんな《超大物エリア》を引いたんだ。ルナならそれ以上のエリアなんじゃねーか?』

『でも、そんな《恩寵エリア》以上のものなんてあったか?』

『う~ん…………聞いたことないな~』


 ギャラリーはノアの結果への賞賛と、次のルナの引くエリアについてまたざわざわと色めき立っていた。


「静かに! それでは、今年度最後のデスティニージャッジ(運命の審判)を行います。ルナ・インフィールド、前へ」

「は……はい!」

「ルナ様~がんばって~~!!」


 ボルタ・ニドムがルナに大きな声で声援を送った。それを皮切りにギャラリーからも理事長のマリアのところへと向かうルナへ声援を送った。


 ルナはマリアのところへと向かい、そして対峙した。


「これより…………今年度、最後の者、ルナ・インフィールドのデスティニージャッジ(運命の審判)を始めます!」


 いよいよ最後のデスティニージャッジ(運命の審判)が始まった。


「ルナ・インフィールド…………『ディメンションボックス(次元箱)』に手を」

「はい」


 ルナは、マリア・インフィールドが持っている『透明なボックス』の中へ手を入れ、そして精神を集中し始めた。すると、ノアと同様にルナにも変化が現れ出した。

 ルナが精神集中を始めると、箱の中が強烈な眩しさの光を出し始めた。


 その光は、さきほどのノアのように拡がっていくということはなかったが、ディメンション・ボックスとルナの身体の周りを目を閉じてても眩しいと感じるほどの強烈な光となって、その『輝度』を増していった。


 ギャラリーは皆、その光をマトモに見る事ができず、また、目を閉じても眩しいので少しパニックを起こしていた。しかし、そんな強烈な光を理事長のマリア・インフィールドと、校長のジュピターはしっかりとルナの光を受け止め、感じていた。


「理事長…………これは…………」

「ええ、そうね。予想はしてたけど、まさかこれほどまでの光の『輝度』だったとは…………」

「となると、やはりルナ様は…………そのう……」

「そうね…………覚悟はしているわ、ジュピター。大丈夫、この子ならきっとやり遂げるわ」

「理事長………………」


 ある意味、『凶器のような輝度』を発したルナの光は徐々に薄くなり、そして消えていった。


 そして、それと同時にルナはディメンションボックスから『玉』をつかみ取り出した。





ご拝読ありがとうございました。


更新は不定期ではありますが、一ヶ月に2~3回投稿できればと思ってます。


今後とも、よろしくお願いいたします。


m(__)m



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