一、強風と穴
◇でサイド切り替え、*で場面とかの切り替えです。
退屈だ。
朝起きて、学校へ行き、授業を受け、部活をし、帰って寝て、また朝起きる。
延々とこの繰り返しだ。
高3になった今になっても進路が定まらない。人の悪口をコソコソと話し、くだらない事に笑う周りの人間が気にいらない。やりたいことが何一つとして見つからない。部活や人と喋るのだって楽しいとは思えない。
なにもかも、退屈だ…。
「あっち~」
蝉が鳴く季節ではないけれど、5月だというのにかなり暑い。雨上がりの湿気のせいもあり、…はぁ。
思春期特有の鬱な思考にじっとりとした空気が合わさって、モヤモヤした塊のようなものが胸の中に渦巻く。
誰でもいい。
この退屈な日々に刺激を与えて欲しい。
そんなありがちな事を考えながら学校からの帰り道を歩く。
数人の通行人がいる道で、なんとなく風に揺れる木の葉を眺めた。
ザワザワザワァ………
異様に風が強い気がする。…いや、強い。強すぎるんだ。
強い風に、なぜか不安を覚える。こんな風、いつもならどうということもないはずだ。
「な、何…?」
近くにいた女子が風によろめきながを呟いた。
全くもってその通り。嫌な予感しかしない。
ボワンッ
破裂音のような音がして、地面に穴が開いた。しかも…僕の下というね(笑)
「わあああああっ」
「きゃああっ」
「っ!!」
落ちる…。そう思ったのに、落下が止まった。
何もない真っ黒の虚空から上を見ると、僕の腕を掴む華奢な手がある。涙目の女子が必死に僕の腕を掴んでいるのだ。
「君、無理だよ!はやく離した方が身のためだ!」
「そんな!落ちちゃいますよ!?」
「それは嫌だね」
「うぅぅぅっ」
ついに涙がいっぱいになったのか、僕の頬に彼女の涙が落ちてきた。
女子は泣きながらうめき、僕を引っ張りあげる。この名前も知らない女の子は、制服がうちの学校と同じだ。長い髪を二つ結びにして、未だに吹き荒れる風に踊らせている。
ついに、僕の手が地上に届いた。
手をついて上半身を地上に上げる。
ほっとしたのか、女の子は笑顔を浮かべた。
助かった…。
地上に上がりながら、僕も笑顔になりかける。
しかし、世の中上手くいかないものだ。
「あっ」
どっちの声だったのか…ともかく、全てがスローモーションになっているように見えた。
無音の世界…
風が吹いたのだ。強い、風が。
膝立ちになっていたあのこがぐらりと倒れる。
僕はとっさに、無我夢中で、必死に手を伸ばしていた。
それからどうなったのだろう。
僕は腕の中に温もりを感じたまま、背中や後頭部に激しい痛みを感じた。
◇◇◇◇
「おーい少年♪」
放課後の校門前。まわりには誰もいない。
私は先生の方に顔を向けた。
「わ、私、です、か?」
「他に誰か見えるか?」
真剣な表情で手をかざしながらあたりを見渡す先生。
福留聖、男43歳独身(HRで言ってた)、1年B組…私のクラスの担任の先生で、なんというか、うん、面白い先生だ。
国語の先生なのになぜか白衣を着ていて、こげ茶色の髪をピンク色のカチューシャで後ろにながしている。少したれめの目に無精髭、大人な雰囲気だが、ちゃらんぽらん。生徒たちには好かれている。
女だろうが男だろうが、いつだって「少年♪」と呼びかける癖があるようだ。
「わ、私、女ですっ!それに、私以外いないですっ!わかりましたからいつまでもしないでっ!」
「そうかー?わかったならよしとする!穂積鈴乃女子!部活は休みなのか?」
「は、はい」
わあ、名前覚えてくれてる…!、じゃなくて、それがどうしたんだろう?
「そうかそうか、美術部だったよな~。どうだ、友達できそうか?」
「は、はい、なんとか…」
「うんうんならならいいね~」
「は、はあ…。そ、それで、うーん、それだけ、ですか、?」
「………」
先生は急に空を見上げだした。
「いや、とくに何も?風が強くなりそうだなーと思って出て来たらいたから声かけただけ」
「は、はあ…」
なんなんだこの人…
「ま、気を付けて帰れよ。風に飛ばされて行方不明になるなよー」
「そ、そんな、大袈裟な…」
「いやいや、じょーだん抜きで。センセーアレだぞー?なったことあるんだぞー?」
「ええっ、行方不明、ですか!?」
「うん。召喚されちゃったんだって」
「しょうかん…?」
しょうかんって召喚?
頭の中で勇者や異世界の文字が踊る。
「嘘だけど」
「…で、ですよね」
そんな、非現実的な。ありえなさすぎる。
「じゃあまた明日な、しょーねん♪」
「は、はい、さようなら」
本当にへ…面白い先生だ。
****
「がっ」
頭の上でおかしな音が聞こえた。
何!?って、あっ、私たちは…ああっ!
私は急いで起きて、さっきの人から降りた。
ここはどこ…?
なぜか、ここの空気(?)に拒絶されているような気がする。
そんなことよりこの人だ。
「大丈夫ですか!」
揺すっても起きない。
…ま、まさか…
「う、嘘っ、そんな!!起きて!起きてくださいいっ」
まさか、ホントに死んじゃった…?
「いっ、いやあっ!!嫌!!誰か!誰かこの人を…」
助けて…、そういう前に、私は固まってしまった。
本当に、ここはどこなんだ…?
気が付くと周りには人がたくさんいるし、暗いけど、異様に自分や他の人たちは鮮明に見える。
私達がいる床には何か…魔方陣、魔方陣が描かれていてかすかに発行しているし、全ての光景が異様だ。
私達は、ココにいるべき存在じゃない…。この場を包む大気でさえ、私がいつも吸っていたものじゃない気がする。
私をつつむ空気が拒絶を強くする。
苦しい、動けない…怖い…
ざわめいている人たちが急に静かになった。
一人の老人が近づいてくる。
老人は何かをぶつぶつと唱えると、私の額に手をかざした。
そして、意識が…
切り方がわからない☆
記念すべき第一話ですが、あまりにも話が微妙すぐる(泣)
ま、私のなんてそんなもんですもんねwww