第4話:別れ
あたしたちが付き合うのに、時間はかからなかった。
初めて会ってから1ヶ月後にはもうカレカノ状態。
別に、どっちから告るでもなく、自然とそういう関係になった。
幸せ度はいつもMAX。
その頃は“今”“その瞬間”がすごく大切で、近い未来、すぐに引き離されることになるなんて考えてもなかった。
あの時、少しでも考えていたなら、あたしのショックはもっと軽かっただろうか………。
暁は3年で一応受験生。とか言いながら、しょっちゅう一緒にサボってた。
だけど、ほんとに羨ましいことに、暁の成績は並ではなかった。
暁は進学、あたしはそのまま2年に進級。
引き離されることは、確実に決まっていた。
そんな時だった。
暁が別れ話を持ちかけてきたのは。
あたしには、暁を引き止めることはできなかった。
あたしのために、暁が将来を壊したりしてほしくなかった。
夢もなく、したいこともなく、ダラダラした生活を送るあたしと違って、暁には夢があった。
その夢を叶えるためには、暁は外国へ留学しなければならなかった。
あたしは暁にその夢を叶えて欲しかったから。
別れをちゃんと決意した。
あの日から、ちょうど5年経つ。
あの時、ちゃんと決意したしたはずなのに、未だあたしの心のなかは暁でいっぱい。
どんなに忘れようと思っても、ずっと暁のことを忘れられずにいるんだ。