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第1話:思い出の場所で

暑い夏。

 昔はよく、あなたと

過ごしたよね。

 その日々は、

もう来ることが、

 ないのかな?

ねぇ、信じてちゃだめ? また、あなたと

過ごせる日が

 来るって………。

8月。

学校の裏にある木陰。

上を見上げると、青々とした葉っぱの天井。 

 

そこは、あたしの一番お気に入りの所。

ジメジメしているけど、心地のいい涼しさ。

蝉がミンミンうるさいけど、夏を感じられる。

暑いけど夏は好きだから。

暑いなか、汗をかくのが好きだから。

時々吹く風で、葉っぱがささめく。

細い光の筋が何本も差し込む。

あの有名な“枕草紙”の言葉をつかうなら、 

 

『いとをかし』 

 

が一番しっくりくるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“サァァァー”

って風が吹いた。

目にかかるくらいまで伸びた前髪がなびく。 

 

(あーそろそろ切らないとなぁ………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

もぅ、5年も経つのか。

 

“あいつと別れた日” 

 

から………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ…な。」あいつ(以下・暁)はそぅ、寂しげな表情で言った。

いつものように、あたしの前髪を、優しく触りながら。

あたしはただ、下を向いているしかなかった。

静かに“うん”とだけ言った。

暁はもう一度、あたしの前髪に触れたあと、静かにその場を去っていく。

今のあたしに暁を引き止める権利はない。

何度も何度も、心の中で唱えた。

まるで、呪文のように………。

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