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クジラの船で、いい夢を

作者: 暗式蓮
掲載日:2026/05/02

夜が、静かに深まっていくね……

今日の一日、いろんな気持ちが胸の中にあったよね。

楽しかったこと、ちょっと疲れたこと、嬉しかった小さな瞬間……

全部、ゆっくりと優しく抱きしめて、胸の奥にしまっていこう。

大丈夫だよ。

少しネガティブな思いが浮かんでも、それはただ心が「今日もよく頑張ったね」と、丁寧に記憶をセーブしてくれているだけ。

そのまま、そっと手放して……。

ふう……と、深く息を吐いてみて。

瞼が、だんだん重くなってきたね。

……ほら、想像してみて。

君は今、大きなクジラの形をした飛行船の甲板に、静かに立っている。

船体は淡い藍色と銀色に優しく輝き、夜空をまるで本物のクジラのように、ゆったりと泳いでいるよ。

ヒレがゆっくりと動き、尾びれが空気を優しくかき分けると、星の粉のような柔らかな光が、ふわっとこぼれ落ちる。

夜風が、君の頰をそっと撫でていく。

少しひんやりとして、でも心地よい温度。

船がわずかに揺れるたび、体が優しく包み込まれるような安心感があるよ。

最初に広がった景色は、黄金色の草原だった。

風に揺れる草の波が、月明かりを受けてきらきらと輝いている。

その真ん中に、白いワンピースの小さな少女が立っていた。

彼女は君の船を見て、目をキラキラさせて両手を大きく振ったよ。

「ねえ……私も、乗せてくれる?」

君が静かに手を差し伸べると、少女は軽やかに飛び乗ってきた。

彼女の笑い声が、風に乗って優しく響く。

「わあ……本当に飛んでる。気持ちいいね……」

飛行船はさらにのんびりと進み、紫色に淡く光る森の上へ。

木々の葉が、柔らかな光の粒をゆっくりと舞い上げている。

そこに、静かな目の青年が立っていた。

「……僕も、一緒にいいかな」

彼は穏やかな声でそう言って、船に乗ってきた。

君の近くに立ちながら、「この風、すごく優しいね」と呟いたよ。

その声は、聞いているだけで胸の奥がすうっと温かくなっていく。

船は雲の上の花畑を横切った。

白やピンク、水色の花が、ふわふわの雲の上で静かに咲いている。

手をつないだ老夫婦が、そこで穏やかに微笑んでいた。

「おやおや……素敵な船だねえ。

私たちも、連れてってくれるかい?」

二人が乗ると、少女が甘えるようにおばあさんに寄り添った。

おばあさんが小さな歌を口ずさみ始めると、みんなの声が重なって、子守唄のように優しく広がっていく……。

さらに、霧に包まれた静かな湖の上を滑るように進む。

湖面が鏡のように空を映し、遠くで小さな波の音がする。

そこで出会った女性は、静かに微笑んで船に乗ってきたよ。

「みんなと一緒にいると……なんだか、心が軽くなるわ」

今、君の周りは温かい人たちでいっぱい。

みんな、ただ静かに景色を眺めたり、時々優しい言葉を交わしたりしながら、

時間というものを忘れて、のんびりと空を旅している。

白い雪の山脈を優しく越え、

宝石のように輝く海の上を滑り、

夜桜が静かに咲き続ける谷も、ゆっくり通り過ぎた。

どの景色も美しくて、

どの出会いも、ただ温かかったね。

……ねえ、もう瞼がほとんど閉じてきたね。

クジラの飛行船は、君を優しく守るようにゆっくりと旋回している。

風の音、遠い歌声、船の柔らかな揺れ……全部が、君を深い安心感で包み込んでくれるよ。

怖い夢も、忙しい思いも、今夜は遠くへ。

ここは、ただ温かくて優しい世界。

ゆっくり、深く息を吸って……

そして、ゆっくり吐いて……

今日の頑張った自分を、そっと胸の中で抱きしめてあげて。

もう、目を閉じていいよ。

良い夢を。

……おやすみなさい。

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